春は桜、夏は涼を求めて街道沿いをツーリング、秋には紅葉狩りに温泉とバイクの醍醐味は四季を通していろいろな楽しみ方があります。流れるような美しい景色の中を、愛車で走りぬけるときの爽快感は何ものにも変えがたいものです。
ライダーにとって、ツーリングはパラダイスでしかありませんが、機械である以上はトラブルがないわけではありません。特に気温が急激に下がる冬場は、バイクのバッテリーが上がりやすくなります、急なバッテリー上がりに対処ができずに立ち往生してしまわないように、万が一の対処方法を覚えておきましょう。
目次
【バッテリーの役割】バッテリーが上がるとどうなるの?
バイクのバッテリーが上がると運転できなくなります。バッテリーは、バイクの電装品に使用する電力の供給やスターターモーター電力を供給する働きを担っています。バッテリーがないと、エンジンはおろかライトもつきません。
バッテリーは極端な温度差に弱いため、急激な気温の上昇や低気圧で上がりやすくなってしまいます。高温になるとバッテリー液が活性化してしまい劣化を早めてしまいます。急激に気温が下がるとバッテリー液の容量が低下し本来の性能を発揮することができなくなります。
新しいバッテリーであれば問題はありませんが、そうでない場合には温度差によって急にバッテリー機能が働かなくなってしまうので注意が必要です。
バッテリーが上がると以下のような症状があらわれます。
・エンジンが掛からなくなる
・ライトが点灯しない
・メーターの停止
セルモータースイッチを入れると「キュルキュルキュル」という音がするけれどエンジンがかからなくなります。電気系統にエネルギーが供給されませんので、メーターも動きませんしライトもつかなくなります。昼間であれば安心ですが、夕刻から夜にバイクバッテリーが上がると最悪です。そうならないように対策を考えておきましょう。
【解決方法】バッテリーが上がってしまったらどうすればいいの?
バイクバッテリーが上がってしまって充電もできない状態になっていたら交換するしかありません。
買い物中で、近くにホームセンターやカーセンターがあれば自分で購入して取り付けできますが、ツーリング途中の山道や街道でバッテリーが上がってしまったらJAFや自賠責保険のロードサービスに頼んで駆けつけてもらいます。
バイクバッテリーは車と比較すると値段が安いです。取付け方法も簡単で、向きを間違えずに該当箇所に差し込むだけになります。「急な出費は…」という方は、自分で解決するしかないので、しっかり対策を考えておきましょう。
対応① キックスタートを試す
バイクバッテリーが上がってしまった場合、キックスタートを試してみましょう。キックスタートはキックペダルを足で回しエンジンを掛ける方法です。キックペダルはエンジン横に装置されていますが、最近のバイクはセルスターターなので、ない機種もあります。
対応② 押し掛けしてみる
キックペダルのついていないバイクでバイクバッテリーが上がった場合、押し掛けを試してください。ただし、押し掛けは1人ではできませんのでツーリング仲間がいるケースでしか使えません。先ずはキルスイッチをオンにして、クラッチを2速か3速に入れます。クラッチが上手く動かないようなら、クラッチを軽く動かしたり、繋ぎ直したりしながら入れていきましょう。
しっかり入ったらクラッチを切ったまま、バイクを動かしていきます。小走り程度の速度でバイクを動かし、スピードに乗ったらクラッチを繋ぎます。バイクにまたがって、後ろから押してもらうとスムーズにエンジンがかかります。安全に走るためには、2速で小走りしてエンジンがかかったら3速にするのがおすすめです。慣れている人は、シートに体をあずけるようにすれば1人でも押し掛けができます。
対応③ バッテリー充電
どうにもこうにも動かない場合には、ロードサービスを使います。任意保険のロードサービスで対応できるので、バイクのバッテリー上がりで困っていると伝えます。1時間ほど待機しなければいけませんが、バッテリー上がりは解決できます。バイクが動くようになったら、バイクショップやスタンドに向かい充電をお願いしましょう。
バイクショップやスタンドには充電器が準備されているので、「バッテリーが上がったので充電させてください」といえば充電器を借りられます。急ぎであれば、数時間で充電してくれますが通常は半日から1日預けることになります。工賃として1,000円~2,000円必要になりますが、事故にあう可能性を考えれば安いものです。
できれば簡易充電器を用意しておくと良いでしょう。簡易充電器は値段も安いですし、万が一の時には役に立つアイテムです。自分で簡単に充電できれば、面倒なキックスタートや押し掛けをする必要はありません。手間も時間もかかりませんし、充電器は耐用年数も長いのでおすすめです。
バイクの充電器にはいくつかの種類があるので、自分のバイクバッテリーに対応しているかを必ず確認して購入してください。レンタルバイクを利用する人は、対応バイクが多い充電器を選ぶといいでしょう。バイクに頻繁に乗らない人は「充電器は必要ない」と思うかもしれませんが、放置されている時間が長いとバッテリーは上がりやすくなります。普段バイクに乗らない人の方がトラブルに弱いことからも、充電器購入を検討すべきでしょう。
また、緊急事態だけに使うのであれば急速充電器があります。この場合には、短時間で急速充電はできますが、長時間の運転はできませんので注意しましょう。それだけでなく、緊急事態を繰り返しているとバッテリーの寿命が短くなります。あくまでも急速充電器は、トラブルにあったときの一時しのぎです。
充電器とは別に「ジャンプスターター」というものがあります。ジャンプスターターは、予備バッテリーのことです。バイクはジェネレーター(発電機)内蔵ですから、エンジンがかかれば走行中の電力には問題がありません。スマホで充電できるジャンプスターターもありますので、このようなものを用意しておくのもバッテリー上がり対策の1つです。
値段は4,000円~15,000円ですが、スタンドやバイクショップがないところでバッテリー上がったり、ロードサービスを待ったりする時間を考えるとそこまで高い買い物ではないはずです。ツーリング前に充電して持ち運べば、安心して出掛けることができます。
対応④ バッテリー交換
バッテリーを充電してもバイクが動かないようであれば、諦めてバッテリー交換しましょう。バッテリー選びが不安、純正のバッテリーが良い場合にはバイクショップで交換もできます。ですが、バッテリー料金に工賃がかかりますので、合わせて10,000円程度です。バイクバッテリーの値段は、ピンキリですが5,000円程度で購入できます。
女性でも初心者でも取り付けは簡単ですから覚えておくといいでしょう。
・バッテリーのネジに対応したプラスドライバー
バッテリー交換方法
バッテリーが金具で車体と繋がっていたらそれを外して、バッテリーと車体がプラス端子とマイナス端子で繋がっている状態にします。ドライバーを使って、必ずマイナス端子から先に外します。プラスから外してしまうと、ショートの危険性があるので注意してください。あとは速やかにバッテリーを外しましょう。
バイクのバッテリーの取り付け方
バッテリーの向きを確認して、バイクバッテリーを差し込みます。次に端子を繋いでいきますが、今度はプラスから繋いでいきます。しっかり根元から差し込まないとエンジンがかからなかったり、ショートの原因となったりするので注意してください。金具があったものは、金具もキチンと締めます。バッテリーがぐらつかない程度に締めたらシートを戻して完了です。
【バッテリー上がりを予防】バッテリーを上げないようにする
バッテリー上がりは、日常的な動作で予防することができます。なにげなくやっていることがバイクバッテリーに負荷をかけていることになりますし、頻繁に乗らないのであれがしっかりした対策が必要です。
長期間バイクに乗らない場合
冬季期間はバイクに乗らない、何かの理由で半年以上はバイクに乗れない・乗らない場合には特に注意しましょう。バッテリーは人間でいう心臓部分なので、放置すると上がって動かなくなります。1年未満であれば、車庫などの気温や環境に左右されない場所にバイクを保管します。バッテリーのマイナス端子側を外したら、先をビニールテープなどで巻いておきましょう。
1年以上バイクに乗らない場合、バッテリーを外し気温の変化が少なく、湿度が低い場所に保管します。バッテリーは定期的に充電しておくと、乗りたい時にすぐ乗れますし安心ですよ。
寒地の場合には室内で保管
バイクは倉庫に入れても外は雪で気温が低い場合には、室内での保管が安心です。バッテリー上がりの大きな原因は、冬季の自然放電が原因です。春にツーリングに出掛け、バッテリーが上がったなんて経験がある人も少なくないはずです。生活空間にバッテリーを置くのは抵抗があるかとは思いますが、バッテリーが上がらないための対策と考えて室内温度10℃〜30℃の部屋で保管してください。
日常的な対策
小まめに乗っていれば問題はありませんが、そうでない場合には定期的な充電がおすすめです。週末だけバイクに乗るのであれば前日に充電するなどメンテナンスをしっかり行いましょう。小休憩でのライトの消し忘れもバッテリーを消耗しますので注意してください。
まとめ
バイクを走行させていれば、滅多なことでバッテリーが上がることはありません。
ただ、頻繁にバイクに乗らない人は、定期的にバイクバッテリーを充電するなどの対策が必要です。自宅に充電器があれば、こまめにメンテナンスを行えますし、外出先でのバッテリー上がり対策としても万全ですね。また、バッテリーにも寿命がありますので、3年を目安に交換しバッテリーが上がらないようにしてください。