バイクのあだ名、あなたはいくつ分かる?バブ・ナナハン・ゴキなど

日本国内で大流行した歴史的なバイクには愛称があります。バイクの全盛期ともいえる80年代、現在でいうところの「旧車」にあたるネイキッドバイクを中心に愛称が付けられました。バブ、ナナハン、ゴキなど、現在では名車との呼び声も高いバイクの愛称です。

そこで今回は、バイクのあだ名についてご紹介。意外に納得のいく由来まで、詳しく解説します。

あだ名があるバイクと由来

今回は、バイクの愛称特集です。排気音を擬音化したもの、見た目が似ているものなど、その由来も様々ですが、まずは代表的なモデルからご紹介。ライダーとしてぜひとも知っておきたいところです。

バブ

最近では「東京卍リベンジャーズ」の主要登場人物の愛車としても脚光を浴びた「バブ」ことホンダのCB250Tが誕生したのは1977年のこと。排気量は250ccとなっており、ホークⅡ(排気量400cc)の兄弟車として販売されました。時代背景としては、1975年に施行された自動二輪の段階免許を見越して、ホークⅡをスケールダウンしたモデルの販売に至ったと考えられます。

特徴としては、ホークⅡ CB400T同様、最先端の空冷並列2気筒を取り入れていること。2気筒でありながら4気筒以上の性能ともいわれるほど。販売された当時は販売台数も好調の人気モデルとなっています。

さて、CB250Tの「バブ」という愛称ですが、察しのとおりCB250Tには「バブ」の「バ」の字もありません。それもそのはず、CB250Tの特徴的な排気音が由来だからです。空冷並列2気筒から発せられる「バブ―ッ!」という排気音から、いつのまにか「バブ」と親しまれるようになりました。

ちなみに、「バブ」にはパーツにもニックネームがあります。マフラーは「タヌキのシッポ」、タンクはヤカンのように丸みがあったので「ヤカンタンク」(初期型のみ)、シートは座布団のように厚みがあったので「ザブトン」(初期型)ともいいわれています。

ゴキ

スズキの名車との呼び声も高いGSX400Eには「ゴキ」という愛称があります。CT250T「バブ」同様、近年では東京卍リベンジャーズの主要キャラクターの愛車として再注目されている旧車です。
GSX400Eが販売されたのは1982年。翌1983年にはマイナーチェンジではありますがモデルチェンジをしています。このモデルチェンジでは、ブラック×ゴールドのカラーが追加されました。また、シルエットも初期型と比較すると丸みを帯びています。

GSX400Eに跨って真上からタンクを見下ろすと……黒光りする「ゴキブリ」を連想させるからと、誰ともなしに「ゴキ」というようになったそうです。
当時は、高性能ながらも比較的安価に購入できるバイクであったことから、暴走族からも人気があるモデルでもありました。

サンマ

レーサーレプリカブームにあって人気のモデルとして知られるTZR250(二代目)。1989年に登場したヤマハの2型後方排気のスポーツバイクです。当時のバイクとしては、給排気系が真逆のレイアウトとなったほかにはないルックスをしていましたが、これはヤマハのレースモデから一般向けに技術を流用したものです。

そのため、当時は一般的なバイクと比較すると、給排気系が真逆のレイアウトとなっているイレギュラーのバイクでもありました。エンジンの前側にキャブレターを設置することで、エンジンの排熱による影響を受けにくいのが特徴です。

この後方排気のことを「3MA」というのですが……TZR250は「3MA」と書いて「サンマ」と読ませることで、いつのまにか愛称として定着したのです。

ザリ

GSX400Eに引き続き、昆虫類のあだ名を付けられたのが、スズキのGSX250E。ザリガニを連想させる見た目をしていることから「ザリ」の愛称が付けられた、GSX400E「ゴキ」の兄弟車です。

GSX250Eの真っ赤なカラーディングと全体的なシルエットが、見事にザリガニを連想させたようです。GSX250E「ザリ」は1980年に販売されました。スズキとしては史上初となる4ストロークの排気量250ccバイクです。

ちなみに、GSX250Eのマイナーチェンジとして「カタナ」の外装を取り入れ「カタナ」名前を冠したモデルが販売されましたが、GSX250E本来のスタイルとは随分と変わっており、ザリとは言いません。

マッパ

500ssマッハⅢの販売は1969年、カワサキの排気量500ccバイクとして、当時はその圧倒的な加速力で人気となっています。この「マッハ」はいつのまにか「真っ裸」の「マッパ」に言い換えられており、あだ名として定着しました。

ゼッペケ

ホンダのディオZXは「ゼッペケ」という愛称のあるscooterバイクです。「ZX」を「ゼッペケ」と読んだものがそのまま愛称になりました。

当時は、原付免許でも乗ることができる50ccで、さらにパーツ類も安価で流通していてカスタムがしやすく、アクセルを全開にすればコール音のようなエンジン音を響かせることができるとあって、若者からの人気がありました。

ちなみに、バイクの愛称では「X」を「ペケ」と呼ぶものが数多くあります。代表的なモデルでは、ヤマハのXJ(ペケジェー)、ホンダのXL(ペケエル)などがあげられるでしょう。

通称があるバイク

ここまでは、CB250T「バブ」、GSX400E「ゴキ」、TZR250「サンマ」など、バイクの愛称とその由来について説明してきました。ここからも引き続き、愛称・通称のあるバイクについて、バイクの紹介を交えながらご紹介していきます。

Ninja H2/CARBON→エイチツー

カワサキのニンジャシリーズでも、特徴的なモデルである「H2」シリーズ水冷4スト4気筒エンジンのパワフルな走行性が特徴です。通称「エイチツー」として親しまれており、そのうちNinja H2 CARBONは、H2のプレミアムグレードとして位置づけられている、いわば上位モデルです。

Ninja H2SXシリーズ→エスエックス

カワサキのニンジャシリーズのH2SXシリーズは「エスエックス」といわれています。ロングツーリングを想定したばりばりのツアラーモデルであり、加速性と走行性を両立、長距離走行に優れています。

Ninja ZX-10RR→ダブルアール

またしてもカワサキのニンジャシリーズから取り上げるのは、Ninja ZX-10RR、通称「ダブルアール」です。ニンジャシリーズでもばりばりのスポーツモデルでありながら、レーシングシーンでのポテンシャルに加え、ストリートでの走行性も両立しているモデルだといえます。

Ninja650→ニンジャロクゴー

まだまだカワサキのニンジャシリーズが続きます。ニンジャには種類が多いからこそ、愛称・通称もたくさんあるといえます。Ninja650、通称「ニンジャロクゴー」は、車体を軽量化するなど、スピードを重要視したスポーツモデルです。

Ninja250→ニンジャニーゴー

カワサキのNinja250は「ニンジャニーゴー」と親しまれています。排気量250ccのコンパクトスポーツバイクとして、ツーリングでも街乗りでも、さまざまなシーンでその性能を発揮します。

Z900RS→アールエス

カワサキのレトロスポーツモデルであるZ900RSは、後ろの2文字から「アールエス」と呼ばれています。現代のスポーツバイクにはないレトロルックスながら、現代の技術が惜しみなく注ぎ込まれており、長距離ツーリングからスポーツ走行まで楽しむことができます。

Z900RS CAFE→カフェ

カワサキのレトロスポーツモデルZ900RS「アールエス」のCAFEはそのまま「カフェ」といわれています。カフェレーサーらしくビキニカウルが装備されているのが特徴です。

W800シリーズ→ダブハチ

カワサキの「Wシリーズ」のうち「W800シリーズ」は「ダブハチ」の愛称で親しまれるビックバイクです。歴代カワサキネイキッドの魅力的なビジュアルを引き継ぎながらも、現代の排気量800ccのモデルとしての力強さを兼ね備えています。

Z125PRO→イチニーゴー

カワサキのスーパーネイキッドの軽二輪モデルであるZ125PROは「イチニーゴー」といわれています。小型バイクでありながら装備は上位モデル並みとなっている高性能バイクです。

Ninja ZX-12R→ジュウニアール

カワサキのNinja ZX-12R、通称「ジュウニアール」は、スーパースポーツツアラーモデルです。カワサキの代表的なスポーツモデルである「ハヤブサ」以上の最高出力を誇っており、モデルチェンジなどを経て、最終的にはストリートスポーツとして後継モデルに引き継がれていきます。

Ninja ZX-7R→セブン

カワサキのニンジャシリーズのNinja ZX-7Rは「セブン」の愛称で親しまれる排気量750ccのスポーツレプリカバイクです。ちなみにZX-7Rはストリート向けですが、ZX-7RRはレース向けのモデルとなっています。

ZZRシリーズ→タブルジーアール

カワサキのスポーツツアラーを代表するZZRシリーズ、通称「ダブルジーアール」には、フラグシップのZZR1400のほか、排気量250ccから1200ccまでのモデルがラインナップされています。

ZRX1200R→センニヒャクアール

カワサキのZRX1200R、通称「センニヒャクアール」は、排気量1200ccクラスのビッグネイキッドとして登場。カワサキのスポーツバイクと比較すると、大排気量でありながら街乗りから市街地走行まで、幅広いシーンで活躍できるモデルです。

ゼファー1100→イレブン

カワサキのゼファーファミリーは、排気量400ccにはじまり、排気量750ccを経て、国内の750cc上限規制が撤廃されたことにより、1992年に大排気量モデルとして、ゼファー1100、通称「イレブン」が販売されました。

ゼファー750→ナナハン

レーサーレプリカブームからの原点回帰の先駆けとなったゼファー400は大ヒット、次にカワサキが販売したのがゼファー750、通称「ナナハン」です。

ちなみに、いわゆる「ナナハン」とは、ゼファー750だけでなく排気量750ccモデルのバイクを700cc+50cc(100ccの半分)からナナハンといいます。例えばヤマハのRZ350は排気量750ccバイクを追い越すくらい高性能であったことから「ナナハンキラー」などと呼ばれていますね。

Z750RS→ゼッツー

カワサキの旧車であるZ750RS、通称「ゼッツー」は、海外で販売され爆発的な人気となっていたZ1(排気量900cc)の排気量750ccモデルであり、その性能の高さから国内外のライダーから支持されるに至りました。

まとめ

今回は旧車といわれるような1970〜1990年代に販売されたバイクから、2000年代以降に販売された最新のバイクまで、様々なバイクのあだ名をご紹介しました。バブ、ゴキ、ナナハン……様々な由来のある愛称が登場しました。ライダーの皆さんにとって、バイクに対する愛着につながる知識としていただければと思います。