ツーリングに出かけると、山道や峠で「動物注意」の看板を見かけるようになります。
最近ではサルやイノシシが街中で暴れ、人にケガをさせる事件があったり、熊が畑を荒らす姿が目撃されるなど、どこを走っても動物に出会う可能性が高まっています。

動物はバイクなどの大きな音を聞くと、フリーズしたり、怯えて突進することもあり、それを避け転倒したバイカーが大ケガをするケースも少なくありません。

どんなに注意していても、止まれないのはバイクも動物も同じですが、事故を報告できるのはバイカーだけです。「人じゃないからいいだろう」と動物を放置したまま、バイクを走らせていいのでしょうか?

今回は、バイクの運転中に動物と接触事故を起こしてしまった場合の対処、動物を巻き込む事故を起こさないようにライダーが気をつけるべき事柄について解説します。

万が一動物とぶつかってしまったら?まずは警察に連絡しよう!

人身事故を起こすと、人はパニック状態に陥り動悸が早くなり、警察を呼ぶまでに時間がかかると言われています。ところが、相手が動物の場合には、自分にケガがないとわかるとその場を立ち去ってしまい報告をしないままにする人が非常に多いそうです。

この様に、「自分さえよければいい」「飛び出してきたから避けようがない」と、倒れた動物を放置したまま走り去ってしまうのはよくありません。「動物注意」の看板がある場所は多くの動物が生息していますから、バイクで通過するならば細心の注意を払って走行しましょう。

シカやイノシシなどの大型動物を巻き込んだ事故は、バイカーの命を危険にさらすだけでなく、二次被害にも繋がってしまいます。万が一、バイクで動物にぶつかってしまったら、警察に連絡をしてください。

警察に連絡する理由は2つあります。

  • 二次事故防止の為
  • 事故証明書をもらうため

事故があった道路が一車線であった場合、事故があったことで交通の流れが止まってしまいます。
二車線あったとしても、見通しが悪く車の走行が多い道路の場合には、交通整理をお願いしなければいけません。二次被害を防ぐためにも、速やかに警察に事故の報告を行いましょう。

事故によってバイクが破損した・自分もケガをしてしまった場合には、保険会社にも連絡をすることになります。自賠責や任意保険に未加入では、バイク修理代はすべて自己負担になり、ロードキルで二次的な対人被害が発生した場合は、バイカー責任です。

どちらにしても、事故証明書が必要になりますので警察への連絡は必須です。

自分にはケガはないけれど動物が瀕死の状態の場合、直接触れずにタオルやシートでくるみます。
小動物であれば、路肩に一度移動させてから、野生動物の保護施設に連絡をして担当の病院に運ぶ手筈を整えましょう。

野生動物の治療を行っている病院であれば費用は無料ですが、そうでない場合には実費になるので、事前に確認してください。野生動物の保護施設に連絡をし、すぐに運べない・自分もケガをしていることを伝えれば担当者が現場に急行します。

死亡してしまった場合には、路肩に移動させられるなら移動します。
大きな動物であれば、後続車にひかれないように注意を払い、事故があった道路の管轄(市町村及び道路緊急ダイヤル#9910)に電話をして対応してもらいましょう。

山道を走るときは動物に気を付けて!

春は新緑、秋は紅葉が美しい名所は、ツーリングスポットとしても有名です。
バイクは特に事故を起こしやすい乗り物ですし、ちょっとした油断が危険に繋がる可能性を持っています。

筆者もカーブを曲がり損ねて非常に危ない思いをした経験があります。「どんなに注意を払っても、バイクは事故を起こしやすい」ことを心に刻んでください。山道は考えもつかないようなハプニングが起こりますし、巻き込まれると大ケガをしてしまう可能性もあります。

それが、野生動物との遭遇です。坂道やカーブが多い山道では、細かいギアチェンジと安定したハンドル操作、そしてブレーキングにコツが必要です。シーズンによっては、バイク以外に自動車も増えるので、より安全運転で走らなければなりません。

どんなに運転に気をつけていても、野生動物の飛び出しに瞬時に対応するのは難しいものです。
「ロードキル」と呼ばれる野生動物の死亡事故が多発する場所には、道路標識があるので注意しやすくなっています。

ところが冒頭でも紹介した通り、街中にも野生動物が降りてくるようになり公道や高速道路でも事故が非常に増えています。

夜行性のタヌキは、単体よりも家族で移動することが多いので、一匹をやり過ごしても後から飛び出してくる可能性が高いです。バイクのライトが当たると動きを止めてしまいますから、急ブレーキを掛けてバイクが転倒しないように注意しましょう。

シカやクマなど重量の大きな野生動物によるロードキルでは、死亡事故に繋がる危険性がより高くなります。シカやクマの絵が描かれた道路標識を見たら、減速し左右に注意しながら走行しましょう。

体の大きな野生動物と衝突するのは、トラックに跳ねられるのと同じくらいの衝撃があり、バイクごと吹っ飛ばされてしまいます。

実際に、シカと遭遇したバイクによる死亡事故も起きており、深刻な問題として捉えられるようになりました。シカは団体で移動するので、1匹姿を見つけたら近辺に数匹のシカがいると考えて行動します。

このように体重が重く、数多く飛び出してくる可能性がある野生動物と遭遇した場合には、無理にハンドルを切って避けてはいけません。後続車を確認しながら、減速しブレーキを踏むのが得策です。そして慎重に、注意し過ぎることはないくらいに慎重な運転を心がけましょう。

春から夏にかけては、野生動物だけでなく鳥も活発に活動し始めるので山道や公道だけでなく、高速道路にも出没するようになります。野生動物が侵入しないように、防止柵や標識での注意喚起もされていますが、餌を求めて人のいる場所に降りてくるためにロードキルは避けられません。

よほどのことがない限り、急な減速やブレーキを避けたいのが高速道路です。高速道路での接触は、一歩間違えれば大惨事になりかねません。大型動物でない限り、ハンドルを切ったり急ブレーキをかけずに衝突するしか手立てはないのです。

ロードキルで死亡した動物に群がるカラスやトンビなどが高速道路に入り込むことで、大きな二次被害が深刻な問題として取り上げられています。

野生動物といえど、命に変わりはありません。標識のある区域ではスピードを出し過ぎないことや、夜間であればハイビームを使って発見しやすくする対策を取りましょう。

動物と事故を起こさない為の対策を解説!

不可抗力とはいっても、事故で動物の命を奪ってしまうのは忍びないものです。
特に山道の「動物注意」の標識を見かけたら、速度を落としながら周囲を警戒して走りましょう。

野生動物が生息する場所では、スピードを出しすぎると路上に動物が飛び出すのを避けることができません。バイクで急ブレーキをかける場合、減速してからタイヤがロックしないように前7:後3ぐらいの割合でかけるのがベストです。

いきなりブレーキをかけると、タイヤがロックして路面上を滑り、最悪は転倒の危険性もあります。事故を起こさないためには、このようにスピードを出さないように走り、急ブレーキをかけないようにしましょう。

野生動物の活動時間は夕方から深夜にかけて、日の出前後にロードキルリスクが最も高くなりますので、この時間を避けて走るなどの工夫も必要です。もし走行中に動物の姿が見えたら、できるだけ早くに判断しアクションを起こしましょう。

距離がある場合には、クラクションやヘッドライトをつけて動物に警告を与えます。音に反応して逃げてくれれば、無駄に命を奪うことも事故を起こすこともなくなるでしょう。

動物によってはクラクションの刺激で襲い掛かるケースもないわけではありません。そんな時には、動物用の警笛が便利です。動物よけ警笛は、バイクが走ると人には聞こえない周波数の音がでるようになっています。

バイク1台につき2個セットで使いますが、警笛自体はコンパクトでバイクの外観を壊すようなデザインではありませんので心配ありません。特に不快な音ではなく「何か鳴っているな」と立ち止まらせて、飛び出しを防ぐためのものです。

これに加えて、ツーリングする地域の山道情報を自治体で確認しておきます。
野生動物が出没しやすい時期には、自治体から危険地域や道路としてHPで発信されています。
事前に情報を集め、仲間とシェアすることで起こさなくてもよい事故を防ぐことができるでしょう。

夜間に事故が多いわけですから、バイク初心者ができるだけ山道走行を控えるのも対策です。
どうしても山道を走るのであれば、野生動物が活動を休んでいる時間を狙うなどの対策も検討しましょう。

山道以外にも、目的地に繋がる道路があるのであれば、そちらを使うなど自主的に野生動物との遭遇を避けるなども検討してみてください。

動物たちの生息地は、土地開発や森林伐採などで年々失われています。
私たちと野生動物は共存する間柄であり、環境問題を考える上でもロードキルについて真剣について考える必要があるでしょう。

まとめ

動物を巻き込んだロードキルは、山道や高速道路だけでなく、一般道でも起こりうることです。動物にケガをさせたり、死亡させるだけでなくバイカー自身もケガをしたり、心に深い傷を残してしまいます。

バイクの場合には、衝突による死亡リスクがあるという事実をしっかり頭に入れておきましょう。

各自治体や高速道路では、事故防止の対策もされていますが、それだけでは防ぎきれないのが、ロードキルの怖さです。動物も人間も同じ命です、動物だから…と軽んじないように、バイクで走る楽しさを事故で失わないようにしましょう。

 

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