みなさ~ん、駐輪場の2段式ラック、使ってますか?

重い!上がらない!でお馴染み、2段式の自転車ラック。

 

当社は駐輪場もお貸出しをしておりますので、自転車駐輪場の借り換えを考えているお客様から、2段式ラックについてのご不満をお伺いすることもございます。

 

「電動自転車だから、とても上段には上げられない」
「女性や高齢者は停めるだけでも一苦労」
「ラックを引き出すときに下段の自転車に当たりそうで、毎回気を遣いながら利用している」

 

ふーむむ。どれも利用している方々からすると、切実なお悩みです。

しかし、これだけ世に2段式ラックから多くのお悩みが生まれているのなら、そろそろ姿を消していてもおかしくないと思うのですが……。
なぜ、駐輪場の2段式ラックはなくならないのでしょうか?

というわけで、今回の記事では「2段式ラックがなくならない理由」について調べてみました。

 

2段式ラックは、条例や建築基準法に対する苦肉の策?

調べてみると、「2段式ラックは条例や建築基準法に対応するために設置されている」ということが分かりました。
 
さらに詳しく事情を調べてみたところ、次の2点が問題になって設置されていることが多いようです。
 
①条例による駐輪場の設置義務
②建築基準法上の延べ床面積の問題

 
上の2点について、順番にご説明させていただきますね。

 

①条例による駐輪場の設置義務

地域によっては、新たにマンションを建てる際、「〇戸当たり△台の駐輪場を設置してください」と、条例で定めていることがあります。

そのような条例がある場合、必要な台数の駐輪場を作らないとマンションを建てることができないのです。
 
 
実際の例を出すと、大阪市では条例で「マンションを建てる際は、1戸当たり1台の自転車駐輪場を設置すること」と定めています。

建築物における自転車駐車場の附置について(共同住宅)-大阪市
 
 
仮に大阪市で40戸のマンションを建てるとすると、自転車40台分の駐輪場を用意しなければなりません。
 
しかし、土地の形によっては、平面スペースを必要台数分用意するのが難しいこともあります。


狭い土地を活用しつつ、条例の基準を満たすために、2段式ラックを採用するケースも少なくないということですね。

 

②建築基準法上の延べ床面積の問題

また、2段式ラックが採用される理由としては、「建築基準法上の制限があるから」というのも理由として挙げられます。
 
建築基準法では、「車の駐車場・自転車の駐輪場は、延べ床面積の5分の1を限度として延べ床面積に算入しない」と定められています。
 
 
そのため、マンションの部屋数を増やして収益を上げたいオーナーさんからすると、駐輪場はできるだけ小さくしたいところなのですが……。
このままでは、少し事情が分かりづらいですよね。
 
ですので、図を使って解説します。

 

 

マンションのオーナーさんからすると、「マンションを建てるのに必要な台数を満たしつつ、駐輪場の面積は小さく(延べ床面積の5分の1以下に)して、できるだけ部屋を増やしたい」という感じですね。

必要台数を満たした上でどういった駐輪場をデザインするかは、オーナーさんの意向次第ということになります。

 

……「2段式ラックはマンションオーナーさんの都合で設置されることもある」といった書き方になってしまいましたが、筆者としてはそういう発想に至ること自体は別に不思議ではないと思います。
 
 
仮に駐輪場を全台平面にして使いやすくしたところで、入居した方が自転車を使わないのであれば無駄になってしまう(お部屋にした方が良かった)ということもあるでしょうし。

※実際、駐車場・駐輪場を専門に取り扱っている弊社としても、オーナー様・管理会社様がマンションを設計する時点で「どんな駐輪場が、何台分必要か」を予測するのは非常に難しいと感じます。
 
最初はご夫婦2台分で良かったのが、「子供が生まれてもう何台分か必要に……」ということもございますので。

 

結局のところ、「入居者の方が、どんな自転車を何台使う予定か」と「マンション内にどれだけ駐輪場に割けるスペースがあるか」のバランスの問題ではないかと思います。

 

2段式ラックの上段しか空いていないとき、どうする?

 
かといって、実際のところ「2段式ラックの上段を使うしかない」というときもありますよね。
お持ちの自転車が重量のあるものだと、なかなか厳しいものがあると思います。
 
 
そこでここからは、「2段式ラックの上段を割り振られたけど、入れるのが大変」というときの対処法について解説します!
 
 
オススメの対処法は、次の3つです。
 
 
①他のマンションの駐輪場を借りる
②空いているスペースに止めて良いか、管理会社・大家さんに確認する
③分譲マンションなら、ラックの建て替えを理事会で話題にする

 
 
それぞれの対処法について、順番に解説していきますね。

 

他のマンションの駐輪場を借りる

マンションによっては住んでいる方が使わない駐輪場スペースを、外部の方に貸し出していることがあります。
 
もし近所のマンションに空いている駐輪場がある場合は、建物の管理会社さんに「駐輪場だけ貸していただけませんでしょうか」と問い合わせてみると、自転車を置かせてもらえるかもしれませんよ。
 
また、当社の自転車駐輪場検索サイト「チャリ安」では、空き駐輪場を抱えたマンションさんからお借りした、自転車ラックの下段・平面式の駐輪場をお得な賃料でお貸し出ししております。
 
自転車置き場にお困りの際は、ぜひご利用ください。

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空いているスペースに止めて良いか、管理会社・大家さんに確認する

マンションの敷地内にデッドスペースがあるなど、自転車が置けそうな場所がある場合は、管理会社・大家さんに停めて良いか確認するのも一つの方法です。
 
大家さんの意向によっては、そのまま「停めていいですよ」と許可してくれたり、駐輪場を新たに作ってくださることもありますよ。
 
まずは、「大きめの自転車を購入するつもりなのですが、停められそうなところはないですか?」と相談してみましょう。
 
お持ちの自転車がラックの耐荷重を超えているにも関わらず、上段に振り分けられている場合は、「このままではラックを痛めてしまうので、別の場所に停められないでしょうか」と伝えてみると、相談に乗ってもらいやすいかもしれません。
 
自転車が既に手元にある場合も、実際に停めるのは管理会社・大家さんに確認してからにしてくださいね。
 
「空きスペースだし、少しの間ならいいだろう」と、勝手に停めるのはダメですよ!
 
一見何もないように見える空きスペースも、物を置いてはいけない場所(避難経路になっている、消火栓の前等)に指定されていることがあります。
また、廊下や通路などの共用部に自転車を置くと、他の方の通行の妨げになってしまいますのでNGです。
 
管理会社や大家さんに相談するにしても、悪い印象はなるべく与えたくないですよね。
 
建物のルール・マナーを守った上で、「自転車を置いてもいいですか?」と相談するようにしましょう!

 

分譲マンションなら、ラックの建て替えを理事会で話題にする

お住まいのマンションが賃貸ではなく、分譲マンションで理事会がある場合は、自転車ラックの建て替えを話題にするのもアリですよ。

 
最近は上段のラックを水平なまま地面まで下ろし、自転車を真っすぐ入れられるタイプの2段式ラックが製品化されています。

 

 
こうした「使いやすい自転車ラックがあるよ!」と周りの方に話してみると、案外興味を持ってくれる方がいらっしゃるかもしれません。

 
また、高性能で使い勝手の良い自転車ラックの設置は、マンションの資産価値を上げることにも繋がります。
 
自転車ラックの建て替えは、自転車に乗らない分譲オーナーさんにとってもメリットがあることを伝えると、話がスムーズに進むかもしれませんね。

 

まとめ

ここまで「なぜ駐輪場の2段式ラックはなくならないのか」と「2段式ラックの上段に振り分けられたときの対処法」について解説してきましたが、いかがでしょうか。

 
筆者もこの記事を書き始めるまでは、「2段式ラックより平面の方が便利だから、駐輪場は全部平面だったらいいのにな」と思っていましたが、そう簡単な話ではなかったようです。トホホ……。

 
おそらく、今後もなくなることはない駐輪場の2段式ラック。
重量のある自転車の購入を検討される際は、自転車の置き場についても事前にチェックしてみてくださいね。