バイクの電装系ってみんなさらっと言っているけど……そもそも何のこと!?

バイクが故障したときによく聞く「電装系」という言葉。

「ネットの記事にはさらっと『エンジンが動かないときは電装系を確認しましょう』と書いてあるけど、どこのことか分からない……」と感じている方も多いのではないでしょうか。

ですがご安心ください!この記事を読めば、バイクの電装系の初歩的なところが分かるようになりますよ。

今回は、バイクの電装系とはどのパーツのことを指しているのかと、故障したときの症状・対処法について解説します!

バイクの知識を深めて、一歩ステップアップしましょう!

バイクの電装系ってどこのこと?どんな仕事をしているの?

「電装系」とは、ヘッドライトやウィンカーなどの灯火類や、エンジンをかけたり継続して回転させたりするための電気装置のことなどを指します。

ここでは各パーツの働きについて紹介します。

セルモーター

セルモーターはバイクのエンジンをかける時に回る部品です。

バイクの鍵を「ON」の位置まで回して右スイッチのボタンを押すと、エンジンをかけることができます。

エンジンの近くに付いていて、クランクシャフトを直接回します。ヤマハのSR400など、セルモーターがなくキックのみの始動方式のバイクもあります。

イグニッションコイル

イグニッションコイルは、「エンジンが圧縮した空気」と「ガソリン」の混合気に火花を供給するための部品です。

通常の12Vから数万ボルトまで電圧を上げることで、エンジンがスムーズに回るように点火させることができます。

イグニッションコイルはエンジンの上部についていることが多く、そこからプラグコードを伸ばしてスパークプラグに接続しています。

最近のバイクは、イグニッションコイルがプラグコードと一緒になっている「ダイレクトイグニッションコイル」になっているものもあり、その場合はスパークプラグの上についています。

スパークプラグ

スパークプラグは、エンジンの混合気に着火させるため、火花を散らす役割をする部品です。

イグニッションコイルで発生させた数万ボルトの電圧を、プラグコードを通じてスパークプラグに通電させると、スパークプラグの先に火花が散ります。

火花が散ることで混合気が爆発し、エンジンが回ります。

オルタネーター

オルタネーターは、エンジンと一緒に回転し発電する部品です。

バイクにはバッテリーが付いていますが、バッテリーだけで点火をしたりヘッドライトやウィンカーを動かしたりすると、バッテリーがすぐに使えなくなってしまいます。

オルタネーターはバッテリーから使われている電気を補って、電力不足にならないようにしてくれます。

オルタネーターに付いているレギュレーターは、発電された交流の電気を直流の電気に変換し、各部品に電気を供給する役割を持っています。

バイクの電装系が故障したらどうしたらいい?故障したらどんな症状が出る?

先程紹介したパーツごとに解説します。

セルモーター

セルモーターが故障すると、セルボタンを押してもエンジンがうんともすんとも言わず、バイクのエンジンをかけることができなくなります。

そうなってしまった時は、バイク屋までレッカーをするか、キックスターターでエンジンをかけてバイク屋まで自走し、セルモーターを注文、交換してもらいしょう。

壊れかけているときは、音が通常時よりも高めになり、ミニ四駆やラジコンのようなモーター音になるか、ゆっくりと回ります。

キックスターターがあればいいのですが、セルモーターしかないバイクは、高めの音が鳴り出したら注意しましょう。

イグニッションコイル

イグニッションコイルが故障すると、火花を散らすための電圧が発生しないため、エンジンはかかりません。(セルモーターが回るのでエンジンがかかりそうな感じはしますが、かかりきりません。)

イグニッションコイルはめったに壊れるものではありませんが、高年式のバイクになるとこの故障が原因でアイドリングが不安定になったり、エンジンの調子が悪くなったりする時があります。

かろうじて動くならば、バイク屋に行き部品を注文、交換してもらいましょう。

完全に故障してしまった場合、バイクが全く動かなくなってしまうので、その時はレッカーで運びましょう。

スパークプラグ

スパークプラグは定期交換部品です。交換しないでいると、アイドリングが不安定になったり、エンジンのかかりが悪くなります。

走行距離や年数に応じて交換しましょう。

電装関係の中では安い部品に分類されるので、エンジンの調子が悪いときやかからないときには、まずスパークプラグの状態を確認しましょう。

確認して状態が悪ければ、悪いものだけでなく気筒分全て新品に交換しましょう。

オルタネーター

オルタネーター(ジェネレーター)が故障すると、エンジンがかかっていても発電ができなくなります。

発電ができないため、エンジンをかけたりヘッドライトやウィンカーを使ったりするのにバッテリーの電気だけで行うことになり、走行中にバッテリーを使い切ってしまうとエンジンが止まってしまいます。

バッテリーが上がってしまっている状態なので、再度エンジンをかけることができなくなります。

バッテリーを交換すればエンジンはかかりますが、発電ができないのでまたすぐにバッテリーが上がってしまいます。

バッテリーを充電すれば短い距離であれば走行可能なので、オルタネーターが故障した場合は近くのバイク屋まで自走していくか、レッカーで運びこみ、部品を注文、交換してもらいましょう。

バイクの電装系って、そもそもどんな仕組みで動いているの?

バイクの代表的な電装系を紹介しました。ここではそれらがどのような仕組みで動いているのかを紹介します。

電装品が動く順番

電装品が動く順番は以下の通りです。

まず、バイクの鍵を回すとメーターやヘッドライト、テールランプなどの電気周りの部品が動き出します。

次に、セルボタンを押すとバッテリーからセルモーターへ高電圧が流れます。

セルモーターが回ると、エンジンのクランクシャフトが回ります。

クランクシャフトにはオルタネーター(ジェネレーター)が取り付けられていて、その回り具合をセンサーが感知し、イグニッションコイルに電気が流れます。

その後、空気とガソリンの混合気が入っているシリンダー内に、スパークプラグが着火をし、エンジンがかかるという流れです。

エンジンがかかった後はオルタネーターとレギュレーターが重要

エンジンがかかると同時にオルタネーターで発電され、バッテリーへの充電が始まります。

オルタネーターは数十ボルトの交流の電圧を発生しますが、それをレギュレーターが直流の12Vに調整してくれます。

この2つの部品によってバッテリーが安定して充電でき、各電気周りの部品が正常に動きます。

バッテリーの充電電圧を点検、整備することで各電装品の不具合を解消できることもあります。

電装系が動く仕組みがわかれば見えない電気の流れが大まかにイメージできます。電装品が故障したときも順を追って点検することができますよ。

バイクの電装系をカスタムすると、スマホの充電もできるように!

バイクの電装系をカスタムすると、今までよりももっと快適にツーリングをすることができます。

ここでは電装系のカスタムについて紹介します。

USB、シガーソケット電源

USB電源を取り付けると、スマホやインカムの充電などをバイクに乗りながらすることができます。

USB電源はハンドルに巻きつけて取り付けることが多いです。

スマホホルダーにスマホを固定してナビを使っていると電池の減りが早いので、充電できると便利です。

シガーソケットは、ナビの電源やレーダーなどの電源に使うことが多く、最初からバイクについているものもあります。

シガーソケットに変換アダプターを接続すれば、USB電源としても使うことができます。

最近はスマホをナビとして使い、充電の為にUSB電源を使う人が多くなっているので需要は少なくなりましたが、専用のナビやレーダーを使う人にはオススメです。

グリップヒーター

冬のバイクツーリングは手に冷たい走行風があたるので、分厚いウィンターグローブをしていても感覚がなくなるくらい寒くなります。

そんな時はグリップヒーターを取り付けると、スイッチで数段階で暖かくでき、快適にツーリングができますよ!

最近のバイクには標準でグリップヒーターが付いていることがありますが、付いていないバイクに乗っている人は取り付けてみましょう。

ドライブレコーダー、スマートモニター

近頃はバイクでもドライブレコーダーを取り付けることが多くなりました。

ドライブレコーダーを取り付けると煽り運転や事故の様子を記録できたり、旅の様子を振り返ることができます。

スマートモニターはスマホの画面をモニターに映し出して、マップやオーディオの画面を操作することができます。

ドラレコ付きのモニターであれば、走行中も後ろの様子を確認することができます。

また、ドライブレコーダーはキーオンにしていなくても、振動やバイクの傾きの変化で録画を開始できるので、いたずらや盗難対策にも有効です。

常時電源にも繋いでいても、電力消費はほぼありませんので安心です。

ETC

ETCをバイクに取り付けると、料金所で毎回財布を探したりせずに通過することができて便利ですよ。

最近の大型バイクには標準で付いていることがありますが、それ以下の排気量では基本的には後付けとなります。

高速道路を使うツーリングが多い人はETCの取り付けをオススメします。

このように電装系のカスタムをするとより快適にツーリングができます。

基本的にバッテリーに直接は繋がずに、キーオン時に通電するように配線するので、バッテリー上がりの心配はありません。

また、電装系は様々なものがありますが、フォグランプやヘッドライトのカスタムは違法改造になる場合もあるので、バイクショップなどバイクのプロに確認しましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回はバイクの電装系の仕組みや便利なカスタムを紹介しました。

電装系といえばバッテリーをイメージしますがバッテリー以外にもヘッドライトやセルモーターなど数多くのものがあります。

電装系が故障するとライト類が付かないだけでなくバイク全体の調子が悪くなることがあります。

そうならないよう、電装品の仕組みやトラブルの対処方法を理解しておき、バイクの知識をさらに深めていきましょう。