車はオートマ(AT)が多いのに、バイクは未だにマニュアルが多いのはなぜ!?

自動車はオートマ化がどんどん進んでいますが、バイクはまだまだマニュアル車が主流ですよね。


そうした状況を見ていると、つい

「なんでバイクはオートマが主流にならないの?」
「オートマの方が楽そうなのに、どうしてバイクはマニュアル車ばっかりなんだろう?」

という疑問が湧いてくる方も多いのではないでしょうか。


そこで今回は、バイクではなぜマニュアル(MT)車が多いのか、有力な説を調べてみました!

バイクならではの事情を知ると、マニュアル車が多いのにも「なるほど!」と納得できると思いますよ。

説①:オートマ化すると車両重量が増えるから


バイクにマニュアル車が多い理由としては、「オートマ化すると車両重量が増えるから」というのが真っ先に挙げられるのではないでしょうか。

オートマのバイクは通常のギアに加えて、自動でギアを変速する装置を積まなければならないので、その分重量が増えてしまいます。

バイクは重量があるほど低速走行が難しくなる(ふらついてしまう)乗り物ですから、できるだけ車体は軽くしたいところです。

車両の重量が操作性に直結するバイクに載せるなら、重いオートマよりも軽いマニュアルの方が適していますから、バイクは今もマニュアルの方が主流になっているのではないでしょうか。


とはいえ、ここまで読んでくださった方の中には
「マニュアルとオートマでそんなに重さって違うの?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。


ですが実際、筆者が教習所でマニュアル車のCB400Four(207kg)と、オートマ車のスカイウェイブ400(227kg)の引き起こしをやったときは、スカイウェイブの方が重く、起こすのに大変苦労しました(汗)

同じ排気量でも、やはりオートマ車の方が車体も大きい上に重く、取り回しもしづらかったです。


また、発進するときの不安感も、マニュアル車よりオートマ車の方が大きかったように思います。

車両が重いとどうしても、ヨタヨタした感じの発進になってしまいますからね……。

その点、車両が軽いマニュアル車は、発進時の操作にさえ慣れてしまえば、比較的安心して走り出すことができました。


バイクに乗る上で、「発進するときふらついてしまう」というのは、意外と恐怖を感じるものです。

そういった理由からも、車体が軽くてふらつきにくく、スムーズに発進できるマニュアルバイクが人気を集めているのではないでしょうか。

説②:マニュアル(MT)バイクの方が思い通りに運転しやすいから


バイクにマニュアル(MT)車が多いのには、「マニュアル(MT)バイクの方が思い通りに運転しやすいから」という理由もあります。

オートマのバイクは機械が自動でギアを合わせる仕組みなので、「思った通りのタイミングで加速・減速ができない」ということもあるんですよね。


通勤通学や、休みの日の買い物など、普段使いではあまり気になる点ではないと思いますが……

ツーリングでワインディング(峠道での走り)を楽しんでいる方なら、カーブで思い通りにスピードがコントロールできない(あるいは、タイミングが遅れる)恐ろしさがお分かりいただけるのではないでしょうか。


バイクはタイヤが2つしかないので、転倒を防ぐためにはシビアな操作が求められることも多いです。

そんな乗り物だからこそ、乗っている人の操作にすぐ応えられるマニュアル車が今も支持されているのではないでしょうか。


また、現在のオートマ(AT)バイクにはスクーター型のものが多く、タンクを足で挟むニーグリップができません。

そのため、ニーグリップのできるマニュアルバイクと比較すると、低速で走行するときにふらつきやすいという欠点が生じてしまいます。

バイクはバランスを取るのが重要な乗り物ですから、「ふらつきにくいバイクに乗りたい」と考える人の間では、マニュアル車が選ばれるのも頷けますね。


加えて、マニュアルバイクはアクセルをひねっても適切なギア操作をしないと加速できないので、オートマのバイクよりは暴走しづらいという利点もあります。

オートマ車はアクセルをひねるだけですぐに加速できるので、簡単に暴走してしまうんですよね……。

筆者も実際にバイクの教習で中型のオートマ車に乗りましたが、軽くスロットルを開けただけで早いスピードが出てしまいました。

スピードに乗ったときは「バイクに乗れた!」と面白くなった反面、「もしこれが公道だったら……」と怖くなったのを覚えています。


バイクでオートマがなかなか主流にならないのには、「オートマバイクは機敏な操作が難しい・不意の操作で暴走しやすい」という部分もあるのかもしれませんね。

説③:マニュアル(MT)バイクは操作感があって、乗っていて楽しいから


「マニュアル(MT)バイクは操作感があって、乗っていて楽しいから」というのも、マニュアル車が支持される理由としてよく挙げられます。


この説に関しては、先に紹介した2つの理由のように、何か物理的・科学的な根拠があるわけではなく、気持ちの部分の話になってしまいますが……

バイクは趣味として楽しむために乗る人が多いので、

「操作していて楽しい!」
「ギアをガチャガチャ変える、この面倒臭さがいいんだよ」
「オートマだと、操作が単調だから少し退屈」

という意見が出てくるのも、不思議なことではないと思います。


また、個人の意見になりますが、元々「オートマの方が楽では?」と思っていた筆者も、教習所に通ってからは「マニュアルの方が面白いな」と感じるようになりました。


今でこそ少しはギア操作の面白さが分かりますが、最初の頃はギア操作に慣れていなかったので、面白さもヘッタクレもなかったです。

教習の初めの方は、頭の中で「ブレーキ、クラッチ、ローギア……」を繰り返しながら、停止操作を覚えることでいっぱいいっぱい……。


しかし、教習を進めていくにつれて、スムーズにギアチェンジができるようになると、「頭も使うし、操作に慣れた人なら楽しいのかも」と感じるようになりました!

発進時のローギアから、スピードを落とすことなく2速、3速とチェンジできると、なかなか気分がいいんですよ。
※慣れている方からしたら、「それぐらい当たり前だよ~(笑)」という感じかもしれませんが(汗)


マニュアル車は運転する人の技量によって、加速がスムーズになったり、カーブを綺麗に曲がれたりしますので、オートマ車と比べて「自分の操作でバイクを上手く動かしている!」という楽しさを感じやすいのではないでしょうか。


そう考えると、趣味として乗る人が多いバイクでは、
「自分の操作で、200kgもあるバイクが自由に動いている!」
という楽しみを感じやすいマニュアル車が支持されているのも、納得がいきますね。

まとめ


今回の記事では、「なぜバイクではマニュアル車が主流なのか?」について、よく挙げられる理由について解説しましたが、いかがでしたか?


今もマニュアルバイクが主流なのには、車両の重量や操作性などの理由がありますので、その点が解消される技術が出てきたら、バイクもオートマが主流になるかもしれませんね。


ですが、マニュアルバイク特有のギア操作の楽しさは、オートマバイクでは味わえないものでもあります。

今後オートマバイクが主流になっても、マニュアルバイクにしかない魅力を求める方々がいなくなることはないでしょう。


もしこの記事を読んでくださった皆さんが、バイクに乗ることがあれば、マニュアルとオートマの違いを理解した上で、自分に合うスタイルのバイクを選んでみてくださいね。