エア抜きしたのに、ブレーキがスカスカ……これって解決できる?

日々のお手入れとして大切な、バイクのブレーキのメンテナンス。

バイクいじりが大好きな方の中には、自分でブレーキフルード液の交換をしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ですが、フルード液を交換した後、ブレーキレバーが固くならず、焦ってしまうこともありますよね。

そこで今回は、ブレーキのエア抜きをしたあと、ブレーキレバーが固くならなかったときの対処法について解説します!

「レバーを握ってもスカスカで怖い」という方は、この記事の対処法を一つずつ試してみてくださいね。

対処法①:シリンジ(注射器)を使ってフルード液を追加し、空気を追い出す

ここでは、シリンジ(注射器)を使ってフルード液を追加して、エア(空気)を押し出す方法を紹介します。

通常、バイク屋さんや整備業界ではブレーキフルードを上にあるサブタンクに入れて、レバーを握りながら下側にあるキャリパーからエアを抜いていくという方法が一般的になっています。

DIYで作業するなら、キャリパー側から注射器でブレーキフルードを注入して上からエアを抜く方法が効率的です。

①注射器とホースを購入する

この方法では、注射器とホースをそろえれば道具はほぼそろいます。

百均やホームセンターで注射器とホースを購入しましょう。

バイク屋さんに行くと、注射器やホースが売られていることがあるので見に行ってみましょう。

大きな注射器のほうがエア抜きが早く簡単に終わることがあるのでオススメです。

サブタンクのブレーキフルードを抜くための小さな注射器もあると良いですよ。

②ブレーキフルードを購入する

注射器に入れるブレーキフルードも購入しましょう。

ブレーキフルードには種類があります。

DOT4やDOT5、DOT3などさまざまな種類があり、間違えるとブレーキの機構が壊れてしまい、ブレーキが効かなくなってしまいます。

サブタンクのフタにはフルードの種類が指定されているので確認しましょう。

③キャリパーのブリーダーボルトにホースを接続する

キャリパーの上や中ほどにはブレーキのエア抜き用のブリーダーボルトがついています。

そこのフタを外してホースを差し込みましょう。

その際、ブリーダーボルトを緩めるためのメガネレンチを用意しておきましょう。

④ブリーダーボルトを緩めてフルードを注入していく

ブリーダーボルトを緩めたら、注射器を持ってブレーキフルードを注入していきましょう。

フルードを注入していくときには、注射器の先を逆さまにせず、下に向けておくことでエアが入らないようにしましょう。

入れていく最中は焦らずにゆっくり注射器を押し込み、余計なエアが入らないように注意しましょう。

⑤サブタンクの様子を見てフルードが多くなったら抜く

キャリパーからフルードを注入しておくと、上にあるサブタンクからボコボコとエアが抜けてきます。

それと同時にフルードも増えていきます。

フルードが溢れないように様子を見て、多くなっていたら、もう一つの注射器で吸い取りましょう。

フルードは劇薬のため、タンクやカウルにかかると塗装を痛めてしまいます。

絶対にこぼさないように新聞紙やタオルなどで周りを養生しておきましょう。

最終的にサブタンク底面にある上限レベルにフルードの量を合わせてフタをしましょう。

対処法②:バンジョーボルトまで空気を移動させ、そちらから抜く

ここでは、バンジョーボルトからエアを抜く方法を紹介します。

①ブレーキレバーを握ってフルードを上に持ってくる

注射器でフルードを送ったり、ブレーキレバーを何回も握っていても感触がゆるくて微妙なときにはエアが抜けきっていないことが多いです。

ブレーキレバーを握ったり、ブレーキホースをつまんだり、ハンドルを切ったりして、ホース内のエアを上のバンジョーボルトまで移動させましょう。

②バンジョーボルトを緩める

バンジョーボルトのところにエアがたまっているので、バンジョーボルトを緩めましょう。

バンジョーボルトは12mmや13mm、14mmの大きさが多いので、そのサイズのレンチを用意します。

バンジョーボルトを緩めたらエアとともにフルードが垂れてきます。

周りを養生しながらウエスやタオルで受け止めましょう。

その後はブレーキレバーを握りながら感触を確かめて作業を繰り返しましょう。

ブレーキレバーを握りながら緩めない

バンジョーボルトを緩めるときにはブレーキレバーを握らないようにしましょう。

ブレーキレバーを握ると圧力がかかります。

その状態でバンジョーボルトを緩めると隙間からものすごい勢いでブレーキフルードが飛び出してきますので注意しましょう。

対処法③:ブレーキをロックして一晩置く

ここでは、ブレーキをロックさせて一晩放置する方法を紹介します。

①ブレーキレバーを握った状態にするとエアが上に溜まる

ある程度エア抜きが終わると、ブレーキ操作をしてもしっかりと止まることができます。

この状態でもいいのですが、ブレーキレバーを握ったまま、1日放置していると、細かなエアが上まで上がってきます。

ブレーキレバーのロックにはさまざまな方法があります。

ゴムバンドやタイラップでの固定方法がありますが、専用のパーツもあるのでバイク屋さんで探してみましょう。

②次の日にもう一度エア抜きをする

当日はエアが出てこなくなっても、ブレーキレバーを握りっぱなしにしておいて一晩おけば、翌日のエア抜きでは残ったエアが出てくることがあります。

レース用やカスタムパーツのラジアルブレーキマスターシリンダーを装着しているバイクでは、マスターシリンダーのところにもブリーダーがあります。

そこを緩めると、プシュッといった具合でエアが抜けます。

ブレーキパーツに漏れがないかも確認できる

ブレーキレバーを握りっぱなしにしていると、圧力がかかるのでエア抜きをしっかりとできます。

また、圧力がかかり続けているので、ブレーキホースが劣化していたり、バンジョーボルトやブリーダーボルトが緩んでいたりすると、ブレーキ液が漏れてくることがあるため、エアを抜きながらブレーキ系統に異常がないかを目視で確認できます。

エア抜きを一発で成功させたい!成功させるためのコツはある?

ブレーキのエア抜きは大変です。

エアがなかなか抜けなければ、時間がかかったうえに疲れてしまうので、できるだけ簡単に効率的に終わらせたいですよね。

ここではエア抜きに役立つ方法をいくつか紹介します。

サブタンクにつながるホースを透明にする

ブレーキマスターシリンダーからサブタンクが分かれているものがあります。

サブタンクとマスターシリンダーをつなぐホースは黒いホースになっています。

そのホースを透明にすると、エア抜きの時に下から上に向かってエアが抜けていく様子が観察できます。

また、赤や緑などの色付きのフルードにするとワンポイントカスタムになりますよ。

エア抜きで使うホースを透明にする

キャリパー側でエア抜きをするときには、ホースを透明にしましょう。

ホースを見ながらブレーキレバーを握ると、ブリーダーボルトを緩めた時に透明なホースからフルードが出てくる様子を確認できます。

エアが抜けているときには、透明なホースからフルードが出てきません。

感触がよくなると、ホースの中に気泡が入っていないフルードが流れていきます。

サブタンクのフルードは絶対に切らさないようにする

下からブレーキフルードを注入するときは、サブタンクのブレーキフルードの量が増えていくので、定期的に回収しなければなりません。

最終的にはブレーキレバーを握ってキャリパーからフルードを抜くことが必要ですが、そのときにサブタンクに入っているブレーキフルードの量をしっかりと確認しておきましょう。

サブタンクのブレーキフルードがなくなってしまうと、エア抜きをしているはずが、さらにエアを吸い込んでしまうので注意が必要です。

ABSのバイクのエア抜きは時間をかける

ABSはアンチロックブレーキシステムのことで、急ブレーキをしてもタイヤがロックしないように電子制御してくれる機械です。

ABSの制御ボックスは、バイクの真ん中付近やタンク下に取り付けられています。

ブレーキを握るとABSまで油圧が発生してからフロントブレーキやリアブレーキまで油圧が発生します。

そのため、ブレーキフルードの量が多くなります。

また、ABSの機械にエアが入ってしまうと、DIYではエアが抜けなくなり、チェックランプが点灯してしまう可能性があります。

ABSのバイクでエア抜きをするときには、サブタンクのフルードをいつも以上に切らさないようにし、ブレーキ液の量も多く使って、万全な体制にしておきましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回はバイクのブレーキのエア抜きの方法を紹介しました。

DIYでバイクのメンテナンスやホース交換などのカスタマイズをする際に、フルード交換を行うことが多いです。

そのとき、なかなかブレーキのタッチが出ずに困っているライダーは多いです。

機械を使わずにエア抜きをするのは時間がかかります。

今回紹介したブレーキのエア抜き方法や注意事項を理解し、ブレーキのエア抜きを効率よく、正確にできるようになりましょう。