バイクの燃料コックの向き……どれが正解なの!?

キャブレター車にしかない、燃料コック。

インジェクション車が主流になってはきているものの、まだまだキャブレター車も根強い人気がありますので、「一度は見たことがある」という方も多いのではないでしょうか。

ですが、「見たことがある」という方の中には、キャブレター車を買ったはいいものの、バイクの燃料コックの向きがいまいち分からない……という方もいらっしゃると思います。

そこで今回は、キャブレター車に初めて乗る人向けに、バイクの燃料コックの向きについて解説します!

使いこなせると便利な位置もありますので、ぜひ愛車への知識を深めていってくださいね。

通常は、ONでOK!エンジンがかからないときはコックをチェック!

ここでは、キャブレター式のバイクの燃料コックの基礎知識を紹介します。

タンク下周辺に取り付けてある

燃料コックは燃料の流れを制御するものですが、基本的にはタンク下周辺に取り付けてあります。

この燃料コックを操作することが、キャブレター式のバイクの乗り方です。

このタイプのバイクに乗るときには、コックの向きや目視点検が必要です。

通常走行ではONでOK

燃料コック「ON」はガソリンが流れる状態です。

通常走行なら、燃料コックの向きは「ON」で走行可能です。

ガソリン満タンから、ガス欠が近くなってきたときまでこのまま走行することができます。

RESはリザーブ

燃料コックを見ると「RES」とありますが、これはリザーブのことです。

コックの向きを「ON」の位置のまま走行していると、燃料が少なくなってガス欠をしてしまいます。

そのときにコックを「RES」に切り替えると、予備の容量が増えてガソリンを使うことができます。

OFFはガソリンの流れを止める

コックには「OFF」があるバイクがあります。

OFFはガソリンの流れを完全に止めるもので、整備のときにタンクを外したり、長期間乗らなくなったりするときに使います。

PRIはガソリンを強制的に流す

「PRI」はプライマリーといい、ガソリンを強制的に流すものです。

ONで走行時、ガス欠をしたときにキャブレター内のガソリンが空になってしまいます。

RESに切り替えた後、すぐにエンジンをかけられるように5〜10秒ほど「PRI」に切り替えます。

エンジンがかかったら「RES」に戻して走行し、ガソリンスタンドを探しましょう。

燃料コックのRESって何の略?いつ使うの?

ここでは燃料コックのRESについて、より詳しく紹介します。

RESはリザーブのこと

燃料コックのRESはリザーブと呼ばれるもので、ライダーによっては「予備タンク」と言われることがあります。

実際にタンクの中に予備タンクがついているわけではなく、燃料コックのONとRESでガソリンを吸い出す高さが変わります。

ONでエンストしたら(しそうになったら)RESに切り替える

コックをONの位置にして走行中、エンストしそうになったり、エンジンがかかりにくくなったりすることがあります。

このようなガス欠症状が出てきたら、RESに切り替えて使いましょう。

まれに、走行中にいきなりエンストしてしまうことがあります。

その場合は路肩に寄せて「RES」に切り替え、エンジンを始動してください。

ベテランライダーや器用なライダーの中には、エンストしても惰性で走行しながらコックを「RES」に切り替え、そのままエンジンをかけて走行を続ける人もいます。

ガソリンを入れたら必ずONに戻す

ガス欠し、コックを「RES」に合わせてガソリンスタンドに立ち寄ることは、キャブレター式のバイクではよくあります。

ガソリンを入れたら、コックは「ON」の位置に戻しておきましょう。

そうしないと、次にガス欠になったときにコックが「RES」のままだと、本当にガソリンがゼロになってしまいます。

キャブレター初心者は特に注意しましょう。

また、キャブレター式のバイクに慣れているライダーでも、たまに忘れてしまうことがあるので、コックの位置の確認を怠らないようにしましょう。

燃料コックのPRIって何のこと?どんなときに使えばいい?

ここでは、燃料コックの「PRI」について紹介します。

PRIはプライマリーのこと

「PRI」はプライマリーのことで、この位置にコックを合わせると強制的にガソリンを出すことができます。

自由落下式の燃料コックならエンジンがかかっていなくてもガソリンが流れてきますので「PRI」はありませんが、負圧式のコックならONやRESの位置ではガソリンが流れません。

そのため、「PRI」の位置にすることで負圧に関係なくガソリンをキャブレターに流すことができます。

通常はあまり使いませんが、特定の場面で活用できます。

ガス欠したときに使う

コックがONの位置でガス欠してしまった場合、RESに切り替えないとエンジンがかかりません。

しかし、そのままセルスイッチを押してもキャブレター内のガソリンが空なので、なかなかエンジンがかかりません。

そこで、数秒間コックを「PRI」の位置にしてガソリンをキャブレターに溜めてからRESに切り替えることで、エンジンをすぐにかけることができます。

久しぶりにバイクに乗るとき

バイクに長期間乗らないと、キャブレター内のガソリンが蒸発して少なくなったり、空になってしまったりすることがあります。

そのようなときは、エンジンをかける前に「PRI」にすると、エンジンがかかりやすくなります。

※「PRI」は強制的にガソリンを流すものなので、エンジンをかけた後は必ずONかRESに戻しておきましょう。

キャブレターにはガソリンが溢れないようにする機構がありますが、万が一故障していた場合、オーバーフローして地面にガソリンがこぼれ続けてしまうため、注意が必要です。

RESで走れるのは何キロ?早めにスタンドに寄るべき?

「RES」はコックの上に伸びる部品(ストレーナー)の高さの違いでタンクの容量を変えることができます。

「ON」の位置よりも「RES」のほうがストレーナーが低くなっているので「ON」では使えなかったガソリンを「RES」で使うことができます。

ここでは、燃料コックが「RES」の位置で走れる距離やガソリンスタンドに寄る目安を紹介します。

リザーブの量は2~5リットルくらいが多い

バイクやタンクの大きさにもよりますが、リザーブの量は大体2〜5リットルくらいが多いです。

バイクの燃費は10数キロから数十キロくらいで燃費は車よりもいいものが多いです。

そのため、「RES」にしてからでは最低で50kmくらいは走行することができます。

「RES」に切り替えたからといって、ほんの少しだけしか走ることができないという状態ではありませんので焦らなくても大丈夫です。

「RES」に切り替えたらガソリンスタンドを探しながら走行しましょう。

「RES」に切り替えたら早めにガソリンスタンドに寄る

「RES」に切り替えたとしてもすぐにガス欠になるわけではありませんが、それでも50kmくらいしか走ることができないと考えると意外と短く感じます。

「RES」に切り替えたら、その状態で今何km走行したのか、あとどれくらい走行できそうかを大まかに計算しながらできるだけ早めにガソリンスタンドを探して寄るようにしましょう。

また、ロングツーリングで知らない地域を走行すると、ガソリンスタンドがまったく見つからないことが多いです。

「RES」に切り替えてギリギリで走行するのではなく、早め早めにガソリンスタンドに寄って給油するように心がけましょう。

自分のバイクが満タンからどれくらい走行できるか確認しておく

自分のバイクがどのくらい走行したら「RES」に切り替えないといけないのかを確認しておきましょう。

キャブレター式のバイクは、燃料計や警告ランプがついていないものが多いです。

そのときにはメーターについているトリップメーターを使用しましょう。

ガソリン満タンでトリップメーターを0kmに設定してから「RES」になるまでの距離を覚えておきましょう。

そうすることでツーリング中でも突然のガス欠から「RES」に切り替えるのではなく、前もって「RES」に入る前にガソリンスタンドを見つけて入ることができます。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回はキャブレター式のバイクの燃料コックの向きや働きを紹介しました。

最近の車やバイクなどのエンジンを積んだものの主流は電子制御式のインジェクション式が多くなってきました。

中にはハイブリッドや電気のバイクも販売されています。

その中で、バイクのキャブレター式のバイクは少なくなってきましたが、まだまだ根強い人気で現役のものが多くあり、手に入れることができます。

キャブレター式のバイクにはインジェクション車にはない燃料コックの操作が存在しますが、若いライダーやキャブレター初心者ライダーの中で操作方法が分からないという人が多いです。

タンクの下やサイドカバー付近についている燃料コックはガソリンの流れを止めたり、流したり、一時的に強制で流したりするという機能があります。

今回紹介した燃料コックの機能や使い方を正しく理解して、不用意なガス欠を防いで楽しいツーリングにしましょう。