パニアケースには要注意?危ないの?

車載工具やキャンプ道具を入れたりと、長距離ツーリングを楽しむ人の味方であるパニアケース。

ですが実は、注意して装着・運転しないと危ないと知っていましたか?

そこで今回は、なぜ「パニアケースには要注意」と言われるのか、どうすれば安全に使うことができるのかについて解説します!

バイクにパニアケースの取り付けを検討している方は、ぜひ最後まで読んでいってくださいね。

「パニアケースには要注意」はどこから出た話?

そもそも「パニアケースには要注意」という話は、どこから出回り始めたのでしょうか。

それはおそらく、Youtubeにアップされていたこちらの動画がきっかけだと思われます。

約30秒ほどの短い動画ですが、バイクで曲がるときにパニアケースが港沿いの道路のポールにぶつかり、バイクごとライダーが海に落ちていく一部始終が撮影されています。

場所が悪かったのもあると思いますが、この動画を見ると、パニアケースの取り扱いには注意が必要なのが、直感的にお分かりいただけるのではないでしょうか。

こちらの動画は、事故の原因がパニアケースだとはっきりしており、その結果ライダーがバイクごと海に落ちていくと、かなりインパクトのある動画になっています。

そのため、動画を見た人に「パニアケースには要注意」という印象を与え、「パニアケースには気をつけないと」といった話が広がっていったのだと推測します。

パニアケースのデメリット・要注意な点

パニアケースは積載量を増やせる便利なパーツである一方で、使い方を誤るとライダーを危険に晒してしまう面もあります。

この見出しではパニアケースのデメリット・危険な点について解説しますので、取り付けを検討している方は、これらの点を頭に入れておいてくださいね。

要注意な点①:車幅が大きくなる

パニアケースはバイクの側面につけるものなので、バイクの車幅(全幅)が通常よりも大きくなります。

どれぐらい大きくなるかは取り付けるケースの大きさによりますが、どちらにせよ純正の状態よりかは車幅が大きくなるのは確実です。

ですので、パニアケースをつける前の感覚で運転してしまうと、ケースを周囲にぶつけてしまったり、ケースが引っ掛かって通り抜けができなくて転倒……といったことも十分考えられます。

パニアケースをつけるときは、どれぐらい車幅が増えるのかを確認し、車幅にゆとりを持った運転をするよう心がけましょう。

要注意な点②:つけ方が甘いと脱落する

まずはこちらの動画をご覧ください。

上の動画は高速道路でトップケースが脱落してしまった瞬間を捉えた動画ですが、パニアケースもトップケース同様、つけ方が甘いと脱落する可能性があります。

また、パニアケースを落下させてしまうと、道路交通法違反となり、違反点数と罰金が課されます。

※道路交通法第71条第4号により、5万円以下の罰金が課されます。
高速道路の場合は、道路交通法第75条の10により、3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金となります。

落下したパニアケースが原因で事故に発展した場合は、さらに重い罰則になる可能性がありますよ。

ですが、そもそも罰則がなかったとしても、パニアケースが脱落してしまったら危険なのはすぐ分かると思いますし、皆さんも大切な荷物が壊れてしまうのは困ると思います。

パニアケースを取り付けるときは、しっかりネジが締められているかなどをよく確認しましょう。

要注意な点③:後ろが見えづらくなる

パニアケースを取り付けると、ミラーで見たときの視界に影響を及ぼすことがあります。

こちらもパニアケースの大きさによるところが大きいですが、あまりにも大きなものを取り付けてしまった場合、ミラーで後ろが見えなくなってしまうことも……。

そこまで大きくなくとも、ケースがミラーに映りこんでしまうことは考えられるので、取り付ける際は後方の安全確認にも十分注意してくださいね。

要注意な点④:前後のタイヤにかかる重量が変わり、安定しづらくなる

パニアケースを取り付けると、前後のタイヤにかかる重量が変わり、通常の状態と比べて安定しづらくなることがあります。

ノーマルの状態では前後のバランスが取れていたところに、後ろにだけ重い物を載せてしまったら、前後のバランスが崩れてしまうのはすぐ分かりますよね。

荷物入りのパニアケースを取り付けると、後輪だけ接地面積が増え、前輪が地面から浮いたような感じになってしまいます。

そのため、パニアケースに物を詰め込みすぎないなどの対策を取らないと、車体が安定しない状態が発生してしまう可能性がありますよ。

パニアケースを取り付ける際は、「前後のバランスを崩すカスタムなんだ」ということを頭に入れた上で行うようにしてください。

要注意な点⑤:跨りにくくなる・取り回しが難しくなる

パニアケースを取り付けると、跨りにくくなったり、取り回しが難しくなったりします。

パニアケースを取り付ける位置やケースの大きさにもよりますが、跨ろうとしたとき、ケースに足がぶつかって上がらなかったり、反対側のケースに引っ掛かって足が下ろせないといった事態が発生することもあります。

また、駐車場でも他のバイクにぶつけてしまいやすくなったり、他のライダーさんからぶつかられてしまうことも多くなります。

バイクにパニアケースを取り付ける際は、走っている最中のことだけでなく、止まったあとのことも考えるようにしましょう。

 

ここまで「パニアケースには要注意」と言われる理由を解説してきましたが、いかがでしょうか。

パニアケースを使うときは、上記の点に十分注意するようにしてくださいね。

パニアケースを安全に使うための注意点

ここからは、パニアケース付きでも安全に走るための注意点を解説していきます。

安全に走るための注意点①:車幅を十分把握して走る

パニアケースをつけて走るとき、最も重要なのが車幅を十分把握して走行することです。

特に気を付けていただきたいのは、カーブや狭い道を通り抜けるときなど、バイクの車体を傾けて走るときですね。

まず後方に重い荷物が積まれているので、バイクを倒すと後ろに振り回されてしまうのは確実です。

また、狭い道を抜けようとするときも、車幅が大きくなったことを忘れて「これくらいいけるだろう」と油断して走ってしまうと、ケースが周囲に引っかかってバランスを崩してしまいます。

対策としては、車幅がどれだけ大きくなっているかを十分把握したり、細い道は避けるといったことが挙げられるでしょう。

カーブを曲がるときは、早めに減速してあまり傾かずに曲がれるようにして、後ろの荷物に振り回されたり、ケースを擦ったりしないようご注意ください。

安全に走るための注意点②:しっかり装着する・定期的に点検する

パニアケースを装着した上で走るときは、ケースがしっかり装着されているか確認してからにしましょう。

自宅のガレージでつけたときは問題なくとも、時速60kmで走り続けて、路面からの振動が伝わり続けると、ネジが徐々に緩んでくることもあります。

そうならないよう、取り付けの際には注意を払い、ケースに付属している取り扱い説明書に従って、脱落しないように取り付けましょう。

 

また、取り付けた後もつけっぱなしではいけません。
定期的にネジが緩んでいないかなどの確認を行いましょう。

普段からパニアケースつきのバイクに乗っていると、つい「前も大丈夫だったから、今回も大丈夫だろう」という気持ちになりがちですが……

パニアケースを留めているネジは、バイクの振動などで緩んでくることもあります。
それに気づかないまま運転し続けていると、ある日突然いきなり脱落、といったことにもなりかねません。

 

パニアケースを装着したあとも、定期的にしっかり取り付けられているかを確認する習慣をつけるようにしてくださいね。

安全に走るための注意点③:後方の視界を確保する

パニアケースを選ぶ際は、ミラーに映る視界を妨げない大きさのものを選びましょう。

ミラーに映る視界の大部分を埋めてしまうようなパニアケースは、流石に大きすぎます。

利便性も大事ですが、後方確認ができないと車線変更の際などに事故を起こしかねないので、ケースの大きさは後方の視界を遮らない程度の大きさに留めておきましょう。

 

また、どうしても大きなパニアケースを装備したい場合は、ミラーの交換も視野に入れましょう。

問題なのはパニアケースが邪魔で後ろの視界が確保できないことなので、ミラーを交換して高さを調節したり、補助ミラーを取り付けたりするのもアリです。

 

ケースの大きさを考えたり、ミラーを調節したりなどして、後方の視界を確保できるようにしましょう。

安全に走るための注意点④:荷物を入れすぎない

パニアケースには、荷物を入れすぎないようにしましょう。

パニアケースの説明書を読むと、必ず「〇kgまで」や「〇Lまで」といった容量制限が書いてあると思います。

説明書に書かれた容量制限を超えて荷物を入れるのは、前後のバランスを崩すばかりか、取り回しにも影響が出てくるので、控えるようにしてください。

後ろに荷物を入れすぎると、前輪が浮き上がってしまい、運転が後輪の方に振り回されやすくなってしまいます。

ケースの隙間にはゆとりがあったとしても、規定の重量以上の重さの荷物を入れるのは、なるべく避けるようにしてくださいね。

安全に走るための注意点⑤:足回りのセッティングを調整する

一時的にパニアケースをつけるのではなく、今後もパニアケースをつけてツーリングに出かける機会が多い方は、バイク屋さんで足回りのセッティングを調整しましょう。

何もセッティングしないままだと、後輪の接地面積だけが増え、前輪が浮き上がってしまった状態になってしまいますが……

バイク屋さんにプリロードのセッティングをお願いすることで、前輪が浮いている状態を解消することができる場合があります。

そうすると前後のバランスが取れ、走行中の安定性がアップしますので、

「今後ずっとパニアケースをつけている予定だ」
「後ろに荷物を載せて出かけることが多い」

という方は、バイク屋さんに足回りのセッティングをお願いしてみてくださいね。

まとめ

ここまでバイクのパニアケースはなぜ要注意と言われるのか、どうしたら安全に走れるのかを解説してみましたが、いかがでしょうか。

バイクのパニアケースは積載量を増やすことができる便利なアイテムですが、注意して扱わないと運転が安定しない・バランスを崩してしまうなどのリスクがあります。

これからパニアケースを取り付ける方は、今回の記事で紹介した安全に走るための注意点に気をつけて、取り付けを進めていってくださいね。