原付のエンジンがキュルキュル鳴るだけでかからない……これって直る?

通勤通学から普段の買い物と、何かと便利な原付バイク。

時々、エンジンをかけようとしてもキュルキュルという音だけがして、エンジンがしっかりかからないことはありませんか?

そうなると、「キュルキュルという音だけでは原因が分からない」「すぐ乗りたいのに困る」といった気持ちになることもありますよね。

そこで今回は、原付のエンジンからキュルキュル音がする原因と、それに対する対処法を4つご紹介!

エンジンがかからなくてお困りの方は、ぜひ最後まで読んでいってくださいね。

原付のエンジンからキュルキュル音がする原因

ここでは、原付のエンジンからキュルキュル音がする原因を紹介します。

ガソリンが入っていない

見落としがちな原因で意外と多いのは、ガソリンが入っていないことです。

原付には燃料計が付いていることが多いですが、それを見落としてガス欠になっていることがあります。

特に燃料計が下がってきても、ギリギリまで乗ってしまう人に多く見られる問題です。

ガス欠になると、走行中にエンストしてしまい、その後はセルを押してもキュルキュル音がするだけでエンジンがかかる気配はありません。

セルモーターが壊れている

セルスイッチを押した際、セルモーターのギヤがエンジン側に飛び出して、クランクシャフトを回すことでエンジンをかけることができます。

しかし、セルモーターが劣化してきたり、壊れたりしてギヤが飛び出さずにその場で回ってしまうと、エンジンのクランクシャフトにかみ合わずに空転し続けます。

スパークプラグやエアクリーナーの劣化

エンジンはよい混合気、よい圧縮、よい火花の3要素を満たすことで元気に回ります。

しかし、スパークプラグが劣化していると、よい火花を出すことができません。

また、エアクリーナーの交換を怠っていると、きれいな空気を取り入れることができずに、よい混合気を生み出すことができません。

どちらも定期点検をさぼってしまうことで多発する現象です。

ガソリンが古くなっている

ガソリンが古くなっていると、臭いがするだけでなくエンジンのかかりも悪くなります。

エンジンがかかっても排気ガスが黒くなったり、不完全燃焼で臭い排気ガスが出てくるので、すぐにわかるはずです。

後述する圧縮不良にも繋がります。

カーボン汚れで圧縮不良

エンジン内にあるカーボンがピストンリングに挟まったり、バルブと燃焼室の隙間に挟まったりすることで圧縮不良となり、よい圧縮ができずにエンジンがかからなくなってしまいます。

カーボン汚れを除去しない限りエンジンはかかることがないか、かかったとしてもすぐにエンジンが止まってしまうでしょう。

対処法①:原付のバッテリーを充電する

ここではバッテリーを充電することについて紹介します。

バッテリー電圧が低くなっている

原付には他のバイクと同じようにバッテリーが搭載されています。

しかし、原付はちょっとした買い物や短い距離の通学・通勤などでバッテリーを酷使してしまうことが多いです。

バッテリーの使用限度は3年くらいと言われていますが、原付の場合、早めに消耗してしまうケースも少なくありません。

バッテリーの電気はセルモーターを回すだけでなく、スパークプラグへの点火にも必要不可欠です。

そのため、バッテリー容量が不足するとエンジンを回す力は残っていても、スパークプラグに十分な電気を供給できないことがあります。

セルを押したときの回転が遅くなってきたり、エンジンのかかりが悪くなったりしたときには、バッテリーの充電を検討しましょう。

充電してもエンジンの調子が改善しない場合や、バッテリーの使用年数が長い場合は、交換も視野に入れることをオススメします。

エンジンをかけたら長めに運転する

エンジンをかけるとき、セルモーターではバッテリーから取り出した大きな電力を使います。

その後短時間でエンジンを切ってしまうと走行中のバッテリーの充電が間に合わずにバッテリーの消耗につながります。

セルを使ってエンジンをかけたときは、バッテリーを長持ちさせるために、数分ではなく30分から1時間程度は走行するのがオススメです。

こうすることで、バッテリーの消耗を抑えることができます。

キックペダルがない原付は注意

原付にはキックペダルが付いているものが多いですが、最近の原付にはセルスターターのみのモデルも増えてきています。

以前はバッテリーが弱ってきたら、交換せずにキックスターターでエンジンをかけるという対処法が一般的でした。

しかし、キックスターターがついていない最近の原付に乗っている場合は、セルスイッチでしかエンジンをかけられないのでバッテリーの充電をしっかりとしておきましょう。

対処法②:スパークプラグがかぶっていないか確認・交換する

ここでは、スパークプラグがかぶっていないか確認・交換することについて紹介します。

スパークプラグがかぶる

スパークプラグが「かぶる」という現象は、スパークプラグにカーボンや汚れ、ガソリンやオイルが付着して火花が散らなくなってしまい、混合気に着火できなくなる現象です。

キャブレター式のバイクであれば、特に冬場にエンジンがかかりにくく、チョークを引かずにセルを回し過ぎて、ガソリンでプラグが濡れてかぶってしまうケースが多いでしょう。

また、2ストロークのバイクであれば、オイルがプラグに付着することでエンジンがかかりにくくなることも珍しくありません。

最近のインジェクションのバイクでは起こりにくい「かぶる」問題ですが、古いガソリンの使用や、オイル管理の不備があると発生しやすくなります。

スパークプラグを外して確認・交換する

エンジンがかからないときには、スパークプラグを外して確認しましょう。

かぶっているとスパークプラグの先端が湿っています。

湿っている場合は、スパークプラグを交換しましょう。

プラグの先端の湿気は放置していると乾いてくることがあるので、プラグを外し、自然乾燥するのを待つことで、エンジンがかかることがあります。

どうしてもすぐにエンジンをかけたいときには、応急処置として、プラグの先端をライターなどであぶって乾燥させるという方法もあります。

プラグの確認や交換方法が分からないときには、バイク屋さんに点検・交換してもらいましょう。

対処法③:セルボタンをグリスアップする・油を差す

ここでは、セルボタンをグリスアップする・油を差すことについて紹介します。

セルボタンの接触不良

セルボタンが接触不良になると、セルボタンを押してもセルモーターが回らないことがあります。

セルボタンはスイッチ機構になっていますが、その接点に汚れやゴミが付着することで接触が悪くなり、電圧が正常に流れなくなってしまうからです。

また、スイッチの端子がサビなどで劣化することでも接触不良となります。

セルスイッチを分解して清掃グリスアップする

セルスイッチは右側のスイッチボックスの中に入っています。

スイッチボックスを分解して、セルスイッチの裏側を清掃しましょう。

汚れやゴミを落としたらグリスアップするか、接点復活剤を差すなどして潤滑を確保しましょう。

一部のバイクにはグリスアップは不可

スズキの原付の一部では、セルボタンの清掃までは問題ありませんが、グリスアップをするとさらに接触が悪くなったり、最悪壊れてしまったりすることがあります。

スズキの原付でスイッチの接触が悪くなってきたときには、清掃までにとどめておき、接触が悪いときには交換をしましょう。

対処法④:詰まったチャンバーを洗浄する

ここでは詰まったチャンバーの洗浄について紹介します。

チャンバーが詰まる

2ストロークの原付は、マフラーの部分がチャンバーという名称になります。

2ストロークは、オイルとガソリンを一緒に燃やして動かすエンジンの構造上、チャンバーにカーボンが溜まってしまいます。

2ストロークの原付である程度スピードが出ればチャンバーにそこまでカーボンは溜まりませんが、街乗りでの低速運転や短時間だけのチョイ乗りを繰り返すと溜まりやすくなるので、覚えておきましょう。

チャンバー内を洗浄する

家でもできるチャンバーの清掃方法は、洗浄スプレーや洗浄液を使ったやり方がオススメです。

チャンバーを取り外し、チャンバー内にスプレーをして数十分放置した後、水で洗い流しましょう。

真っ黒な液体が出てくれば、汚れが落ちている証拠です。

この作業を何度か繰り返し、出てくる水がきれいになったら完了となります。

もう一つの方法として、パイプユニッシュを使う方法もあります。

チャンバー内にパイプユニッシュをいれて、1週間ほど放置することで汚れを落とします。

ただし、パイプユニッシュは固まりやすいので、定期的にチャンバーを動かして滞留しないようにすることが重要です。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は原付バイクのエンジンがかからない原因や対処方法をご紹介しました。

通勤通学や日常の足に便利な原付バイクのエンジンがかからなくなると、途端に困ってしまいますよね。

セルスイッチを押してもキュルキュル音がするだけでエンジンが始動しない状況には、様々な原因があります。

今回ご紹介した知識を参考に、愛車の状態をしっかり把握して、トラブルに対処することができれば、これからも原付バイクを安心して便利に使い続けることができるでしょう。

定期的なメンテナンスも忘れずに、快適なバイクライフをお過ごしください。