「バイクですり抜けしないやつは損してる」……それってホント?
車の間を縫うようにして走っていく「すり抜け」運転。
バイク乗りの間でも、賛否の分かれる行為です。
「すり抜けで車の先に行けるのがバイクの良いところでしょ」と考えている人にとっては、すり抜けをしない人は何を考えているのか分からないと感じることもあるかもしれません。
そこで今回は、バイクですり抜けをしない人は何を考えているのかを解説します!
すり抜けの危険性についても解説しますので、ぜひ最後まで読んでいってくださいね。
目次
バイクですり抜けしない人の意見①:事故に繋がりそうで危ないからしない
ここでは、バイクでのすり抜けが事故に繋がりそうだからしないという意見について紹介します。
車の間は狭い
車の間のすり抜けは狭いスペースを通過するため、危険という意見がありました。
バイクでのすり抜けは、主に車の左側で行われることが多いです。
歩道や側溝の段差と車との間隔が狭いと、すり抜け中に車のミラーに接触する危険性や、突然開くドア、予期せぬ歩行者の飛び出しなどに対応できずに事故につながる可能性があります。
速いスピードですり抜けすると危険
速いスピードですり抜けすると危険という意見がありました。
すり抜けは、渋滞中や車が低速で走行しているときに行うライダーが多いです。
しかし中には時速60km/hくらいで普通に走行している車の横をさらに速いスピードで、すり抜けをするライダーもいます。
法定速度で走行している車の横をバイクですり抜けると、それに驚いた車のドライバーがハンドルを切ってしまい、バイクの通る隙間が狭くなってバイクと接触する可能性があります。
速度が出た状態での接触は転倒や大きな事故につながる恐れがあるので注意が必要です。
車とトラブルになる
車に煽られて事故になるなど、大きなトラブルにつながるという意見がありました。
車のドライバーの中にはバイクのすり抜けに対して不快感を示す人がいます。
そういったドライバーが乗る車の狭い隙間を通ると、途中で幅寄せされたり、追い越しをされた後に左側の走行ラインをふさがれたりすることがあります。
バイク側も反発して右側からすり抜けを試み、無理やり追い越しをするようなことにつながりかねません。
エスカレートすると、転倒や接触などの交通事故になるおそれがあります。
交差点付近で事故の確率が高い
交差点付近でのすり抜けによる事故が多いという意見がありました。
交差点付近の事故といえば右左折時に多発します。
左折をするとき、車の教習では内側に寄ってからウィンカーを出して曲がるように教わりますが、その瞬間にバイクが真横をすり抜けていると、そこで接触事故が起きる危険性があります。
また、車がしっかりと合図を出していてもライダーが気付かずにすり抜けをしてしまい、車に衝突することもあります。
さらに、右折レーンがない交差点では右折待ちの車の横をすり抜けてくるバイクと、対向車が衝突する右直事故が起こりやすいです。
バイクですり抜けしない人の意見②:すり抜けてもそこまで早くならないから意味がない
ここでは、すり抜けをしてもそこまで早くならないので意味がないという意見を紹介します。
すり抜けしても追いつかれる
街中の道路や渋滞中の道路ですり抜けをしても、していないバイクの到着時間と比べてそこまで変わらないという意見がありました。
すり抜けは目的地まで早く行くことができると思いがちですが、実際には信号や交差点でのストップ&ゴーの場面が多く、一度追い越した車に再び追いつかれることも少なくありません。
この繰り返しで走行しているため、目的地に到着しても少し早いくらいで、ほとんど変わらない到着時間になることが多いです。
高速道路などの幹線道路なら早くなる
高速道路や幹線道路での大渋滞をすり抜けしたときには効果があったという意見がありました。
高速道路や幹線道路などの大きな道路であれば、車道が広いので長時間すり抜けを続けることができます。
このような道で数十kmの大渋滞があった場合には、すり抜けによる時間短縮の効果を実感できることがあります。
数台程度のすり抜けは意味がない
すり抜けは数台程度だけなら意味がないという意見がありました。
すり抜けは多くの車を抜いていかないとあまり効果を実感できません。
少しだけすり抜けをするのであれば、していないのとあまり変わらないので、安全を優先して車の後ろについて走行したほうがよいでしょう。
無意識にすり抜けをする
無意識にすり抜けをするという意見がありました。
すり抜けをするライダーの中には、習慣的に無意識ですり抜けをしてしまう人がいます。
すり抜けが便利で速いという思い込みから、渋滞に遭遇したら「必ずすり抜けをしなければいけない」と決めつけているケースが多いです。
どんな状況でもすり抜けを試みるため、軽い渋滞の場合や車間が狭い場所での無理な操作が増え、かえって流れに乗れず遅くなったり、危険な状況を招いたりすることもあります。
結果として、すり抜けによって期待していた時間短縮の効果が得られない場合も多いのです。
バイクですり抜けしない人の意見③:他の人の迷惑になるからしない
ここでは、すり抜けは他の人の迷惑になるのでしないという意見を紹介します。
トラブルが発生する
すり抜けをすると他の車とのトラブルが発生するという意見がありました。
すり抜けは自転車やバイクではよくみられる行為ですが、車ではできません。
そのため、バイクにすり抜けをされる車のドライバーの中には不快感を覚える人も少なくありません。
こうした状況で、特に無理なすり抜けによって車のドライバーの怒りを買ってしまうと、不要なトラブルに発展することがあります。
余計なトラブルを避ける為に、すり抜けはしないほうがよいでしょう。
当て逃げや事故が起きやすい
すり抜けは当て逃げや事故が起きやすいという意見がありました。
すり抜けはバイクが車と歩道の間や、車と車の間を縫うように抜いていくものですが、かなりスペースが狭くなっています。
車のミラーはバイクのハンドルやミラーに接触しやすい位置関係です。
逆に車のミラーを避けようとして歩道側の縁石に接触し、バランスを崩して車側に倒れてしまうケースもあります。
ハンドルやミラーは特に注意すべきポイントですが、バイクの左右に取り付けたパニアケースやリアボックスなども車に接触しやすいので注意が必要です。
すり抜け中に事故が起きてしまうと、自分だけでなく、他の車両や交通の流れにも悪影響を及ぼします。
特に渋滞中であれば、さらに大きな渋滞につながり、他の人に迷惑をかけることにもなりかねません。
車に乗れば危険度が分かる
車に乗っていればバイクのすり抜けの危険度が高いのが分かるという意見がありました。
ライダーの中には普段は車を運転する人も多く、そのような経験がある人は車側の視点も持っています。
そのようなライダーが車を運転中にバイクのすり抜けを経験すると、接近しすぎたときの危険性や恐れ、低速による不安定な走行、急なスピードのすり抜けによる認識の難しさなど、様々なリスクを車側の視点から実感できます。
一方、車の運転経験が少ないライダーには、こうした車側からの視点を持つことが難しく、すり抜けの危険性が実感しにくいです。
普段から車にも乗るライダーがすり抜けのリスクを理解すれば、無理なすり抜けを行うライダーが減るのではないでしょうか。
「バイクですり抜けしないやつはうざい」は間違い!すり抜けないことこそ安全運転の証!
ここでは、バイクのすり抜けの危険性を紹介します。
交通違反になる可能性がある
バイクのすり抜けは交通違反として見なされているわけではなく、グレーゾーンのような扱いになっています。
「すり抜け」という言葉自体は道路交通法には存在せず、「追い抜き」や「追い越し」という言葉で解釈されています。
そのため、追い抜きや追い越しが禁止された場所や車線変更禁止を示すオレンジ色の実線がある道路で、すり抜けをしてしまうと交通違反となり、パトカーや白バイに停められてしまう可能性があるのは認識しておきましょう。
時間に余裕を持って出発する
すり抜けが多いのは、通勤と帰宅時間帯です。
通勤や帰宅時間帯になると車の両側からすり抜けをしていくバイクのライダーが多くみられます。
交通事故が多発するのもこの時間帯です。
朝夕の通勤ラッシュで、渋滞が発生するのはほぼ確実です。
危険とリスクを伴うすり抜けを繰り返して渋滞による遅れを取り戻そうとするのではなく、あらかじめ渋滞を考慮した時間配分をし、余裕を持った時間に出発するようにしましょう。
交差点付近での事故
やむを得ずにすり抜けをすることもあると思いますが、すり抜け中の事故は交差点付近で特に多く、その中でも右左折時の巻き込み事故が大きな割合を占めています。
左折時には車から見ればバイクが死角になっているため、車の横に並んですり抜けをすると巻き込まれてしまう危険性が高まります。
また右折では、車の横からすり抜けて直進するバイクと、対向車線から右折してくる車が衝突する右直事故も頻発しています。
周りの交通状況を見る
すり抜けは車の隙間に注意を向けるため、周囲の交通状況を確認することが難しいです。
すり抜けをせずに車と同じようにしっかりと車列に加わることで、より広い視野で周りの交通状況を把握することができます。
また、すり抜けを控えることで、予期せぬ危険を回避し、より安全な走行を実現できるメリットもあります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回はバイクのすり抜け運転の問題点や危険性について解説しました。
すり抜け運転はバイクの特権のように見なされ、その便利さからすり抜けするライダーは多いです。
しかし、すり抜けは事故やトラブルに巻き込まれるリスクがあり、また状況によっては時間短縮効果があまりない行為とも言われています。
ライダーの間でもすり抜けをする派としない派に意見が分かれるのが現状です。
今回ご紹介した、すり抜けをしない人の考え方や危険性を理解した上で、状況に応じた適切な判断ができる、安全かつ運転技術の高い優良なライダーになりましょう。