片方のミラーだけで走っているバイクは違法?それとも大丈夫?
ごくまれに見かけることがある、片方だけのミラーで走っているバイク。
日常で出くわすと、意外と驚いてしまうのではないでしょうか。
ミラーが片方だけで走っているバイクを見かけると、「あれって違法じゃないの?」「危なくないのかな?」と思うこともあると思います。
そこで今回は、バイクのミラーが片方でも許される条件と、バイクミラーの保安基準、バイクミラーを後付けする方法について解説します。
バイクのミラーに関する知識を深めて、より安全な運転を心がけていきましょう!
目次
バイクのミラーが片方でも許される条件
ここでは、ミラーが片方でも認められる条件を解説します。
ミラーに関する法律
道路運送車両法には、「最高速度が50km/hを超える二輪自動車、側車付二輪自動車及び三輪自動車は自動車の両側に1個ずつ後写鏡を備えなければならない」と明記されています。
この規定により、基本的にバイクは左右両方にミラーを取り付けなければ違反となります。
ただし、「50km/hを超える」という条件があるため、最高速度が30km/hに制限されている原付1種(50cc以下)は片側のみのミラーでも法的に問題ありません。
また、51cc以上の原付2種バイクについては、平成18年12月31日以前に製造された車両のみが片側ミラーでも認められています。
それ以上の排気量のバイクは、左右両方にミラーがないと整備不良として違反になります。
現行のバイクには左右にミラーが付いている
現行のバイクでは原付の50ccから大型バイクまで、すべての車種で左右両方にミラーが備え付けられています。
これは安全性を重視した設計で、法的には片側のみでも問題ない50ccの原付でさえ、しっかりと左右にミラーが装着されています。
なお、1990年代やそれ以前の原付スクーターには、右側ミラーのみが装備されたモデルも販売されていました。
バイクミラーが片方だと危険?どれくらい視界が狭くなる?
ここでは、バイクのミラーが片方だけになることの危険性について解説します。
視界が半分になる
右側のみのミラーでは、後方の視界が大幅に狭くなってしまいます。
両側にミラーを装着したバイクと比較すると視界が単純に半分になるため、安全性が著しく低下します。
死角が増える
バイクのミラーを1つだけ装着する場合、右側にだけつけることが多いです。
右側は車道側のため比較的視界は確保できますが、それでも見えない死角が存在します。
この死角に後続の車やバイクが入り込むと、その範囲の危険に気付くことができません。
さらに、左側にミラーがないと、歩道側の後方確認が全くできず死角がさらに広がります。
死角の増加により、白バイや緊急車両が接近してきても気付かないという事態にも繋がるでしょう。
このように、ミラーを片方だけ装着した状態では圧倒的に後方の視界が狭くなるので、非常に危険です。
直接目視で確認することもできますが、走行中に前方を注視しながら後方状況もさっと確認できるミラーがあることで、より安全なバイク運転が可能になります。
バイクのミラーの保安基準について知ろう
ここでは、バイクのミラーの形状や取り付け方法に関する保安基準について解説します。
ミラーの取り付け位置
後写鏡の反射面の中心が車両のステアリングヘッド中心を通り、自動車の進行方向に平行な鉛直面から水平面から測定して280mm以上外側に取り付けなければならないとされています。
さらに、バイクのミラーは単に左右に装着すれば良いわけではなく、左右ミラー間の距離も重要になります。
ステム(バーハンドル)の中心から280mm以上離れた位置にミラーの中心を配置する必要がありますが、ハンドル幅が短くなるカスタムを行うと、ミラー取り付け位置が、280mmより内側に入ってしまうケースが意外に多く見られます。
また、オフロードバイクなどで木や枝との接触を避けるためにミラーを内側に曲げている方もいますが、これは保安基準に適合しません。
車検のないバイクにも同様の基準が適用されるため、パトカーや白バイに停止を求められることもあります。
ちなみに、車検対象の251cc以上のバイクでは、ミラーの取り付け位置が先述した280mm以下の場合、車検に合格できないので注意しましょう。
ミラーの構造
後写鏡は歩行者との接触時に衝撃を緩衝できる構造で、歩行者に傷害を与える恐れのないものでなければなりません。
その安全性を考慮すると、ミラーの形状にも十分注意が必要です。
インターネットでバイク用ミラーを検索すると様々な商品がありますが、中には鋭利な形状のものや折りたたみ機能のないものなども販売されています。
ネット上では保安基準適合品と非適合品がおよそ半々の割合で混在しており、購入するミラーが保安基準をクリアしているか判断が困難な場合が多いのが現状です。
一方、バイク用品店では保安基準に適合したミラーが販売されています。
商品によっては、パッケージに保安基準を明記したものもあるため、参考にしながらミラーを選びましょう。
ミラーの調節
後写鏡は、容易に方向調節ができ、かつ一定の方向を保持できる構造でなければなりません。
純正ミラーは手で調整が可能で、調整した方向にしっかりと固定できます。調整ができないものや破損により、緩くなっているミラーの使用は禁止されています。
そもそも、ミラーの角度がしっかりと調節できないものは、ライダーにとっても後方を安定して確認できないので、安全性のためにも使用は控えるようにしましょう。
ミラーの鏡面について
ミラーに著しいひずみや曇り、ひび割れがある場合は保安基準には適合しません。
また、ミラーの鏡面の面積にも基準があり、69㎠以上の大きさであることが規定されています。
さらに、鏡面が円形の場合は、直径94mm以上150mm以下でなければなりません。
鏡面が円形でない場合は、直径78mmの円が鏡面に収まるか、または鏡面が縦120mm×横200mm(または縦200mm×横120mm)の長方形に収まることが条件です。
ミラーの中には、スリムでおしゃれという理由で、極小サイズや細長いデザインのものもありますが、上述の条件を満たさなければ保安基準に不適合となるため注意が必要です。
この点についても、バイク用品店のミラーパッケージに記載されている場合があるので、しっかり確認しましょう。
このように、バイクのミラーに関する保安基準は多岐に渡ります。
ミラーの調整機能や取り付け位置など、普段は意識していない要素でも実際には保安基準で厳格に定められているため、ミラーを新たに取り付ける際は上記の基準に必ず従いましょう。
特に2007年以降に販売されたバイクには鏡面面積の基準も適用されるため、ミラーのカスタムを行う際は十分な注意が必要です。
バイクミラーを後付けする方法って?自分でもできる?
ここでは、バイクのミラーを後付けする方法について解説します。
左側にミラーの取付穴が空いていることがある
純正の状態でミラーが右側の片方にしか付いていないバイクでも、よく見ると左側のミラーが付きそうな場所に樹脂製のキャップが取り付けられていることがあります。
その場合には、キャップを外して確認してみましょう。内部にネジ山が切られていれば、ミラーをそのまま取り付けることが可能です。
片方だけ新しいミラーを追加すると、左右で形状が異なる可能性が高いため、見栄えや統一感を優先したい場合は、左右セットで交換することをオススメします。
ミラーのステーをつける
ミラーの取り付け穴が見つからない場合は、ミラー取り付け用のステーを先に装着してから市販のミラーを取り付けましょう。
ステーはハンドルに直接取り付けて固定し、その後ステーにミラーを取り付けます。
ステーはハンドルサイズや取り付けるミラーのネジサイズによって決まるため、通常は右側に既に装着されているミラーのネジサイズに合わせて選びます。
ミラーのネジの種類に注意する
ミラーのネジ山のサイズには、いくつか種類があります。
原付1種(50cc)の多くは8mm、原付2種(125cc)以上のバイクでは10mmのタイプが一般的です。
ミラー売り場では、8mmと10mmに分けて置かれていることが多いため、購入時は注意して確認しましょう。
特に、ヤマハの右ミラーは逆ネジ(右に回すと緩む)タイプが存在するため、ヤマハユーザーは要注意です。
どうしても8mmのバイクに10mmのミラーを取り付けたい場合(その逆も含む)は、8mm↔10mmの変換アダプターが販売されているので活用しましょう。
ヤマハの逆ネジは、アダプターで回避して通常のミラーを取り付けることができますが、右側だけ高さが上がってしまいます。
見た目の統一感を保つためにも、反対側用として高さ調整用のアダプターを購入することをオススメします。
バイク屋さんに取り付けてもらう
ミラーはスパナがあれば交換できますが、上述したように8mmや10mmのサイズ、ネジの回す方向や種類に違いがあるので、DIY作業に不安を感じてしまうかもしれません。
例えば、ネジ山を破損させてしまうと台座交換などの高額な修理費用が発生するため、不安な人はバイク屋さんやプロの整備士に依頼することを検討しましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回はバイクのミラーが片側でも認められる条件や詳細な保安基準、後付け方法などについて解説しました。
街で見かける原付スクーターやバイクの中には、右側だけにミラーを取り付けているケースもあります。
現行のバイクは基本的に左右両方へのミラー装着が義務付けられていますが、年式や排気量によっては片側のみでも問題ない場合や、新車時から片方しか装着されていないバイクも存在します。
今回解説したミラーに関する保安基準や片側が許されるバイクの種類、年式、後付けの方法を理解して、安全なバイクライフを送りましょう。