クイックシフターとは?
クイックシフターとは、クラッチレバーを使わずにシフトチェンジができる装置です。
元々レースで培われた技術で、シフトチェンジ時のタイムロスを削減し、スムーズな加速を実現するために作られました。
この技術を公道でも活用できるようにしたもので、より快適な運転を可能にします。
クラッチ操作に慣れていない初心者ライダー、ツーリング中にクラッチレバーを握る手や腕の疲労を軽減したい人、レースでのタイムロスを最小化したい人など、幅広いライダーにとって有用な装置です。
今回はクイックシフターを使うべき人の特徴やおすすめのクイックシフター、クイックシフターの効果を最大限に活かせるツーリングコースをご紹介します。
目次
クイックシフターを使うべき人
ここでは、クイックシフターを使うことで得られるメリットと、その恩恵を特に実感しやすいライダーのタイプについて紹介します。
クイックシフターを使うメリット
加速中のロスが少ない
クイックシフターはクラッチレバーを操作することなく、足元のシフト操作のみで変速できる便利な装置です。
クラッチレバーを握る動作が不要になるため、シフトチェンジにかかる時間を大幅に短縮でき、加速時のパワーロスを最小限に抑えることが可能です。
これにより、非常にスムーズで快適なギアチェンジを実現できます。
ライディングに集中できる
ツーリングではシフトチェンジの頻度が増加するため、クラッチ操作を省略することで快適な走行ができます。
ワインディングや市街地走行など複雑な操作が要求される場面では、多くの操作に気を取られて運転への集中が散漫になりがちです。
このような場面でクイックシフターを使うと、ハンドル操作やバンク角度、路面の状況をしっかりと確かめながら余裕をもって走行できます。
また、サーキット走行では操作の簡略化により、極限状態でもライディングテクニックに集中でき、ラップタイムの短縮に繋がります。
クイックシフターを使うべき人
次のような方には、クイックシフターを活用することをオススメします。
・クラッチ操作に慣れていない人
・ツーリングが多い人
・高齢の人
・レースやサーキットを走行する人
一つずつ解説していきます。
クラッチ操作に慣れていない人
バイクに乗り始めの頃はクラッチ操作に慣れておらず、運転がギクシャクしてしまいがちです。
発進時の半クラッチさえマスターしてしまえば、その後はシフト操作のみでスムーズな運転が可能になります。
操作に慣れたライダーでも日常の運転が格段に楽になるためオススメです。
ただし、街乗りや渋滞時などの低速走行では、クイックシフターが作動しない場合もあるため注意しましょう。
ツーリングが多い人
元はレースでの高速走行のために開発されたものですが、ツーリング時の頻繁なシフトチェンジをスムーズにしてくれるため非常に重宝します。
発進時の半クラッチ操作は必要ですが、一度走り出してしまえばクラッチ操作が不要になり、楽にツーリングを楽しめます。
市街地の信号や一時停止ではクラッチ操作が増えますが、これも大幅に軽減可能です。
郊外やワインディング走行時には、スムーズなシフトチェンジによりアクセルやブレーキ操作により集中でき、純粋にバイクの運転を楽しみながら走ることができます。
最初は慣れが必要ですが、すぐに使いこなせるようになるでしょう。
高齢の人
年齢を重ねると、クラッチ操作が身体的な負担となり、ツーリング中の頻繁なクラッチレバー操作で疲労してしまうことがあります。
クイックシフターを活用することで左手の疲労を大幅に軽減し、体力的な負担を抑えながらツーリングを継続できます。
レースやサーキットを走行する人
レースやサーキット走行ではクイックシフター機能を積極的に使うことをオススメします。
クイックシフターは元々、走行タイムを少しでも早く縮めることができるように開発されたもので、シフトチェンジのショックやロスタイムを防ぐことで加速の邪魔をしないようにしている優れモノです。
高速走行時やクラッチレバーを握る時間の削減により、シフトチェンジが頻繁なサーキットでも非常にスムーズで速い走行を実現できます。
現在のサーキット走行シーンでは必須アイテムとなっているため、使わない理由がありません。
おすすめのクイックシフター
ここでは、オススメのクイックシフターをそれぞれのライダー向けに紹介します。
初心者、高齢の方、ツーリング重視のライダー
ヒールテッククイックシフターイージー
初心者ライダーやツーリング重視のライダーには、操作が簡単なクイックシフターがオススメです。
ヒールテックのクイックシフターイージーは車種専用の配線を純正の配線に割り込ませて取り付ける方式です。
取り付け完了後はスマートフォンアプリで設定を行い、すぐに使用を開始できます。
アプリは日本語対応のため、初心者でも迷うことなく簡単にセッティングでき、クイックシフターの恩恵をすぐに体感できるでしょう。
- 商品名:ヒールテック クイックシフターイージー
- 価格:税込50,490円
- 公式ホームページ:サイトはこちら
T-REV イージーシフター
T-REV イージーシフターは点火カット方式により、スムーズなシフトチェンジを実現します。
車種別にセッティングが完了した状態で出荷されるため、取り付けるだけですぐに使用開始でき、導入のハードルが低くなっています。
- 商品名:T-REV イージーシフター
- 価格:税別40,700円~85,800円、各車種ごとに異なる
- 公式ホームページ:サイトはこちら
大型バイク、レースなどタイムの短縮を目指しているライダー
ダイノジェット
ダイノジェットはバイクのECUシステムおよび関連パーツの開発・販売を手がける専門メーカーです。
ダイノジェットのクイックシフターはノーマルのシフトロッドをセンサー付きのものに交換することでクラッチレバーを握らずにシフトアップができます。
通常のシフトチェンジではアクセルを一旦戻す必要がありますが、レースではこのアクセルオフが勝敗を左右する重要な要素となります。
最大の特徴は、そのアクセルオフを排除し、アクセル全開状態を維持したままシフトアップできることです。
ただし、この機能を活用するにはパワーコマンダーやスタンドアローンセンサーキットの取り付けが必要です。
- 商品名:ダイノジェット クイックシフター
- 価格:税込52,580円
- 公式ホームページ:サイトはこちら
このように、後付けのクイックシフターも充実していますが、最近のバイクには純正でクイックシフターが付いている車種も多くなってきました。
既にクイックシフター搭載車をお持ちの方は、この機能を積極的に活用することで、より楽で快適な走行を実現できるでしょう。
クイックシフターを後付けする方法
燃料タンクを外す
クイックシフターは点火カット方式が一般的なため、イグニッションコイルが見えるように燃料タンクを外していき、メインハーネスにアクセスしやすくします。
各部接続
点火系統の配線に点火カット用の配線を接続し、シフトロッドにセンサーを取り付けます。
※製品によってはシフトロッド自体を交換する場合もあります
設定・調整
点火時間の調整やセッティング、ロッドの高さを設定したらクイックシフターの取付は完了です。
この後は実際に試乗して、正常に動作するかを確かめましょう。
このように、後付けクイックシフターの取り付け作業自体は比較的簡単ですが、その後のセッティング調整が重要かつ難しい作業となります。
純正アクセサリーとしてクイックシフターが用意されている車種の場合は、純正品を選択することでスムーズな取り付けと動作が期待できます。
それ以外の車種については、前述でご紹介した製品を選択して取り付けを進めていきましょう。
おすすめのツーリングコース
ここでは、クイックシフターの魅力をさらに味わえるツーリングスポットを紹介していきます。
奥多摩周遊道路(東京都)
東京都の奥多摩周遊道路は奥多摩村から檜原町まで続く一般道で、ワインディングのツーリングを楽しむことができます。
都心からのアクセスが良好で、美しい景色の峠道を楽しみながらライディングテクニックを磨くことができます。
夏期(4~9月)は8~19時、冬期(10~3月)は9~18時までと走れる時間帯が決まっているので注意しましょう。
ビーナスライン(長野県)
長野県のビーナスラインは全長約76kmに及ぶワインディングロードで、ツーリングの聖地として親しまれています。
沿道から眺める蓼科山の美しい姿がビーナスに例えられたことが名前の由来です。
かつては有料道路でしたが2002年の無料化以降、夏のツーリングシーズンには多くのライダーが訪れるようになりました。
起伏に富んだ長距離コースでクイックシフターを活用すれば、より快適で楽しい走行を体験できるでしょう。
阿蘇パノラマライン(熊本県)
熊本県の阿蘇パノラマラインは、阿蘇山のカルデラ中央部から山頂へ向かう絶景ルートです。
阿蘇中岳や草千里ヶ浜の雄大な景色を眺めながら走るワインディングは格別の爽快感があり、九州ライダーの人気ツーリングスポットとなっています。
コーナーと直線、起伏に富んだ多彩な道で、ライディングスキルの向上も期待できます。
冬季は路面凍結のリスクが高いため、暖かい時期の走行をオススメします。
まとめ
今回はバイクに取り付けるクイックシフターについて紹介しました。
クイックシフターはクラッチレバーの操作を必要とせずにシフトチェンジが可能な装置で、非常にスムーズな運転を実現します。
レースではタイムの短縮、ツーリングや街乗りでは疲労の軽減やギクシャクしない運転が可能になります。
今回紹介したクイックシフターの仕組みや取付方法を理解して、愛車の性能を引き出し、身体への負担を軽減したツーリングに出かけましょう。