バイクのエアクリーナーとは?
バイクメンテナンスで見落とされがちな部品が、エアクリーナー(エアフィルター)です。
この小さなパーツには大きな役割があります。
エンジンが吸い込む空気からホコリやゴミを取り除き、エンジン内部をしっかりと守るという役割です。
汚れた空気がエンジンに入り込むと、パワーダウンや燃費悪化はもちろん、最悪の場合はエンジン故障に繋がることもあります。
そこで今回は、バイク初心者の方にも分かりやすく、エアクリーナーの基本的な役割や構造を解説します。
また、なぜ定期的なメンテナンスが必要なのかという理由もお伝えします。
愛車の性能を長く保ち、安全なライディングを楽しむために、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
エアクリーナーを交換しなかったらどうなる?
エアクリーナーを交換しないとどんなトラブルが起きるのかということと、交換することで得られるメリットを解説します。
エアクリーナーを交換しないことによる問題
エンジン性能の低下
エアクリーナーの交換を怠ると、フィルターにゴミやホコリがどんどん蓄積されていきます。
道路を走るたびに吸い込んだ汚れが目詰まりを起こし、エンジンに必要な空気が十分に送り込まれなくなってしまうのです。
この状態が続くと、アイドリングが不安定になります。ひどい場合はエンジンが突然止まることもあるでしょう。
また、エンジンパワーが大幅に低下するため、いつものように加速しない、スピードが出ないといった症状も現れます。
特に怖いのは、走行中にエンジンがストップしてしまうケースです。
レッカー車を呼んでバイクショップまで運んでもらう必要があり、時間もお金もかかる大変な事態になってしまいます。
エンジン始動不良
エアクリーナーが汚れると、エンジンに送り込まれる空気量が減ります。
その結果、エンジン始動に時間がかかるようになってしまいます。
セルボタンを長く押さないとエンジンがかからない、キックスタートでも何度も蹴らないと始動しないといった症状が現れる事態にもなりかねません。
エアクリーナーの詰まりがひどくなると、最終的にはエンジンがまったくかからなくなることもあるので気を付けましょう。
燃費が落ちてしまう
エアクリーナーが詰まるとエンジンの調子が悪くなります。
アイドリングが不安定になってエンストしやすくなるため、ライダーは無意識にアクセルを多めに開けて走るようになります。
これが燃料消費量の増加につながり、結果として燃費が大幅に悪化してしまうのです。
エンジンにダメージが出る
フィルター機能が低下すると、本来キャッチすべき不純物や劣化したフィルターの破片がエンジン内部に入り込みます。
このような異物は、エンジン内部で摩耗や破損を引き起こし、深刻なダメージをもたらします。
排気ガスが臭くなる
空気を吸い込む量が少なくなってしまうので、空気の量に対してガソリンが多くなってしまいます。
そのため、排気ガスからガソリン臭がしたり、黒い煙が出たりするようになります。
エアクリーナーを交換するメリット
エンジンの性能が安定する
汚れたエアクリーナーを新品に交換すれば、エンジンは再びきれいな空気を十分に吸い込めるようになります。
本来のエンジン性能を取り戻し、スムーズで安定した走行が楽しめるでしょう。
燃費が良く、効率的な運転ができる
新しいエアクリーナーは、アクセル操作に対するエンジンの反応を格段に向上させます。
軽いアクセルワークでも十分なパワーが得られるため、燃費が大幅に改善されます。
ガソリンスタンドに寄る回数も減り、時間とお金の節約にも繋がるのです。
エンジンの寿命の延長につながる
エンジンの中に入っていく空気がきれいな状態なので内部パーツの摩耗を最小限に抑えられます。
これがエンジンの長寿命化につながり、愛車と長く付き合えるようになります。
きれいな排気ガスで快適な走行ができる
ガソリンに対して必要な空気量が確保できるのでエンジンが効率よく燃焼できます。
その結果、排気ガスがクリーンになり、嫌な臭いも大幅に軽減されます。
ライダー自身はもちろん、周囲の人にとっても快適な環境を作り出せるでしょう。
エアクリーナーの交換の時期と目安
ここでは、エアクリーナーの交換の時期と目安を紹介します。
エアクリーナーの交換時期
一般的な交換目安は、走行距離1〜2万kmまたは使用期間1〜2年です。
ただし、車種や使用環境といった要因によっても変わるため、そこは認識しておきましょう。
エアクリーナーには主に3つのタイプがあり、それぞれメンテナンス方法が異なります。
乾式エアクリーナー
多くのバイクで採用されている一般的なタイプです。汚れが蓄積したら圧縮空気で清掃できるため、ある程度のメンテナンスが可能です。
湿式エアクリーナー
乾式と同様、数千km走行後に清掃できますが、清掃回数には限界があります。最終的には新品への交換が必要です。
ビスカス式エアクリーナー
湿式のようにオイルを含浸させたタイプですが、清掃はできません。汚れたら交換するしかないため、交換時期の見極めが重要になります。
乾式エアクリーナー交換の目安
乾式エアクリーナーはその名の通り、オイルを使わないドライタイプのフィルターです。走行するうちにホコリやゴミが蓄積し、徐々に詰まってきます。
定期的なメンテナンスとして、2,000km走行ごとに汚れを圧縮空気で飛ばして清掃しましょう。
ただし、この方法では微細な汚れまでは除去しきれません。そのため、交換の目安の1万km程度になったら交換しましょう。
湿式エアクリーナー交換の目安
湿式エアクリーナーは、フィルターにオイルを含浸させたタイプです。
多少の吸気抵抗はあるものの、微細なホコリやゴミまでしっかりキャッチできる優秀な性能を持っています。
清掃して再利用できるのが大きな特徴です。専用クリーナーで汚れを落とした後、フィルターオイルを塗布すれば元通りに使えます。
交換の目安は、フィルター素材そのものが劣化してボロボロになった時です。
ビスカス式エアフィルター交換の目安
ビスカス式エアフィルターは、乾式のように吸気抵抗が少ないものの、オイルは染み込ませているというのが特徴です。
表面は乾式のように見えますが、オイルが染み込んでいるので清掃はできません。
乾式や湿式のものよりも長く使うことができますが、こちらも交換が必要で2万km程度が交換時期の目安となっています。
エアクリーナーの交換方法と費用
ここでは、エアクリーナーの交換方法と費用を紹介します。
エアクリーナーの交換
エアクリーナーの交換は、バイク屋さんなどの業者に持っていくことで作業の依頼ができます。
エアクリーナーは車種や年式によって形状や金額が異なるので、車体番号から調べて正確な品番で注文するようにしましょう。
エアクリーナー交換の費用①:カウル付きスポーツバイク
カウルが付いたスポーツタイプの車種はカウルとタンクカバー、さらに燃料タンクを外した下にエアクリーナーボックスがあるので、時間と工賃が多くかかってしまいます。
このタイプのバイクの工賃は1万〜1.5万円程度かかります。
フィルター代と合わせると2万〜2.5万円程度になります。
エアクリーナーの交換費用②:ネイキッドタイプ
ネイキッドタイプのバイクは、カウルがないのでエアクリーナーまでアクセスするのがスポーツバイクより容易になっています。
車種によってはタンクを外さなくても交換できる車種もあります。
工賃は5千〜1万円の範囲でリーズナブルです。
フィルターと合わせると1万〜1.5万円程度で交換できます。
エアクリーナーの交換費用③:アメリカンタイプ
アメリカンタイプのバイクは、エアクリーナーボックスが見えている車種が多いので簡単に交換できるのが特徴です。
多くは右側のエンジン横に取り付けられているので、フタを外して簡単に交換できます。
工賃は3千〜5千円程度です。
フィルター代込みでも5千〜1万円程度で交換できます。
エアクリーナーは自分でも交換できる?
ここでは、エアクリーナーを自分で交換するメリットやデメリット、交換する方法を紹介します。
メリット
自分で交換する最大のメリットは、工賃の節約です。
バイク屋や業者に任せる必要がないので、ほとんどフィルター代だけで済みます。
また、自宅の作業スペースで交換できるのでマイペースに時間をかけて丁寧に確認しながら作業を進められるのは大きな魅力です。
デメリット
車種によって作業の難易度が大きく異なる点が最大のデメリットです。
アメリカンバイクのように簡単にアクセスできるものもあれば、スポーツバイクのようにカウルやタンクの脱着が必要な車種もあります。
特に注意が必要なのは、現代のバイクに装備されている各種センサーやホース類です。
取り付け忘れたり、接続を間違えたりすると、エンジンが始動しない、エンジンチェックランプが点灯するといった深刻なトラブルに発展するリスクがあります。
エアクリーナー交換の簡単な手順と注意点
簡単に手順を確認しておきましょう。
1. 外装パーツの取り外し
シートやカウルなど、必要な外装類を外します。車種によってはタンクの取り外しも必要です。
2. エアクリーナーボックスへのアクセス
ボックスが見えたら慎重に開け、古いフィルターを取り外します。この際、ボックス内にゴミが入らないよう細心の注意を払いましょう。
3. 新品フィルターの取り付け
新しいエアクリーナーを装着します。表裏の向きを間違えないことが重要です。
4. 組み立てと動作確認
取り外しと逆の手順で外装類を元に戻します。最後にエンジンを始動し、アイドリングが安定しているか、アクセル操作に対する反応が正常かを確認して作業完了です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回はバイクのエアクリーナーの交換時期や目安などを紹介しました。
エアクリーナーはエンジンがきれいな空気を吸い込むための、人間でいうマスクのような大切な部品です。
空気中の汚れやホコリを防ぐ優れものですが、定期的なメンテナンスや交換をしないとエンジンの不調、最悪の場合は故障に繋がります。
今回紹介したエアクリーナーの交換時期や目安、費用、交換方法を理解して愛車の健康を守り続けましょう。