最近、街中で颯爽とバイクを乗りこなす女性を見かける機会が増え、「バイク女子」という言葉もすっかり定着してきました。

この記事では、バイクを楽しむ女性たちの年代や若いバイク女子が増えないと言われる背景などを解説していきます。

バイク女子の年齢層で多いのは○○代

若いバイク女子の姿は、メディアやSNSなどではよく見かけますが、実際にはなかなか出会うことが難しいです。

しかし実際には中高年ライダー、いわゆるバイクおばさんの存在感が強くなっているようにも感じませんか?

その理由はどのようなものなのか数字と時代の流れを追ってみましょう。

<2023年度二輪車市場動向調査>
2023年度二輪車市場動向調査 全体
2023年度二輪車市場動向調査 男性
2023年度二輪車市場動向調査 女性

出典:2023年度二輪車市場動向調査

このように、2023年の時点で男性ライダーのバイク購入者で最も多い年代は50代で33%、次いで60代が30%、40代が16%となっています。

若年層の20代はわずか3%に留まり、男性ライダーの平均年齢は55.7歳という高齢化が進んでいます。

女性ライダーの状況も同様です。現在最も多い年代は50代で30%、次いで60代が19%、70代が17%という順番になっています。

若い20代と30代を合わせても12%に過ぎません。

<2007年度二輪車市場動向調査>
2007年度二輪車市場動向調査 男性
2007年度二輪車市場動向調査 女性

出典:2007年度二輪車市場動向調査

過去データを振り返っても、20・30代の購入者は当時から現在に至るまで大きく増加していません。

直近の女性ライダーのバイク購入者の平均年齢は54歳となっており、男性とほぼ同水準です。

バイクの人気が落ちた要因とは?

ここでは、バイクの人気が落ちてしまった要因について紹介します。

維持費の高騰

バイク全盛期の1980〜90年代と比較すると、物価上昇やコスト増により、車両価格、保険料、駐車料金などの総額が大幅に上昇しています。

バイク購入のハードルが、以前より確実に高くなっているということです。

統計データが示すように、バイク購入者の年齢層が高いのは、経済的余裕のある世代に購入者が集中しているためです。

若年層にとって、バイク購入と維持に必要な費用は大きな負担となっており、参入障壁となっています。

交通環境の変化

公共交通機関の発達、カーシェアやレンタルバイクサービスの普及により、バイクは通勤・通学の必需品ではなくなりました。

現在では主に休日のレジャー用途に限定される傾向があります。

この傾向は、特に都市部で顕著ですが、郊外や地方でもバイクの実用的な需要は減少傾向にあり、かつてのような人気は見られません。

趣味の多様化

現代において、趣味の選択肢はかなり多様化しています。

ゲーム、動画配信、アウトドアスポーツなど、バイク以外の魅力的な趣味や娯楽が多数存在し、若年層の関心は分散しているのです。

時間とお金を投資する対象として、他にも選択肢が多くなったことが、若年ライダー減少の一因となっています。

リターンライダー

1980〜90年代の大型バイクブームを経験した世代が、子育てや家庭の落ち着きとともに中高年期にバイクに復帰する「リターンライダー」が増加しています。

この層が現在のバイク市場の中核を担っています。

このように、ブーム時代と比較すると、若年層の減少、購入・維持費の高騰、趣味の多様化、リターンライダーの増加といった複合的な要因により、若いライダーの割合はなかなか高くなりません。

SNSやメディアの発達によりバイク免許取得者は微増していますが、平均年齢を引き下げるほどの影響力はまだありません。

若いバイク女子が増えない?

統計データから見ると、若いバイク女子は依然として増加していないのが現状です。

バイク購入者に占める割合は、10代で3%、20代と30代がそれぞれ6%と、非常に低い水準に留まっています。

ここでは、若い女性ライダーが増えない要因について解説します。

教習・装備・保険などの初期費用

初期費用の高さは、男女を問わず若年層の参入障壁となっています。

バイク教習の費用は、普通自動車免許を持っていない場合の普通二輪免許取得で17〜20万円、普通自動車免許保有者でも10〜15万円程度が必要です。

大型二輪免許となるとさらに高額で、所持免許なしの場合は28〜40万円、普通二輪免許保有者でも10〜12万円程度の費用がかかります。

若年層にとってこれだけの初期投資は、かなり大きな負担であり、免許取得をためらう大きな要因となっています。

さらに、ライディングに必要なヘルメット、ジャケット、グローブ、ブーツ、プロテクター類の購入も必須です。

物価上昇の影響でこれらの装備も高額化しており、総額で数万円から十数万円の追加出費が必要です。

保険についても、自賠責保険に加えて任意保険の加入が実質的に必須となっており、条件によっては年間10万円以上の保険料が必要になることもあります。

危険なイメージと家族の反対

「バイクは危険」というイメージは根強く、特に女性ライダーは家族の反対に直面しやすい傾向があります。

バイクは四輪車と比較して転倒や事故のリスクが高く、身体が露出しているため重傷に至りやすいのは事実です。

バイク事故はメディアで大きく報道されることが多く、痛ましいイメージが定着しています。

そのため、家族が安全性を懸念して反対するケースが多く、特に10代の未成年者は親の同意なしではバイクを購入できないため、家族の理解を得られないと断念せざるを得ません。

同世代のコミュニティが少ない

若い女性ライダーの絶対数が少ないという状況自体が、さらに拍車を掛けています。

なぜなら、同世代の仲間を見つけることが難しいからです。

バイクは一人でも楽しめる趣味ですが、同世代のコミュニティがあれば情報交換や励まし合いができ、継続しやすくなります。

同世代の女性ライダーコミュニティが形成されれば、口コミやSNSを通じて広まり、若いバイク女子が増えていく好循環が生まれる可能性があります。

このように、経済的な理由や、安全上の問題、同世代やそもそも女子ライダーが少ないなどの理由で若いバイク女子はなかなか増えません。

ただし、最近ではSNSや動画サイトでの女性向けイベントが増えてきたこともあり、少しずつですがバイク女子人口は増加傾向にあります。

バイク女子は何歳までバイクに乗ることができる?

近年、中高年女性ライダー、いわゆる「おばさんライダー」が増加しています。

ここでは、その要因と年齢に関する疑問について解説します。

おばさんライダーが増える理由①:時間と資金の余裕が生まれた

子育てや仕事が一段落し、時間的にも経済的にも余裕が生まれる50代前後の世代で、バイクへの回帰や新規参入が増えています。

若い頃に乗っていたリターンライダーだけでなく、この年代で初めて免許を取得してライダーデビューする女性も多く見られます。

時間的、経済的な制約から解放されることで、趣味としてのバイクに投資できるようになることが、中高年女性ライダー増加の大きな要因です。

おばさんライダーが増える理由②:講習会やコミュニティの増加

女性向けライディングスクール、ツーリングイベント、SNSを通じたオフ会やミーティングなど、女性が参加しやすい環境が整ってきています。

女性限定のツーリングイベントも増加しており、気軽に参加できる機会が増えているのが理由の一つと言えるでしょう。

おばさんライダーが増える理由③:扱いやすいモデル・パーツの充実

身長の低い女性でも安定した足つきが得られるバイクや、足つき性を改善するパーツが充実していることも大きな要因です。

以前のバイクはシート高が高く、女性には扱いにくいモデルが多数でしたが、現在ではローシート仕様モデルや、標準で低いシート高のバイクが増えています。

また、シート高が高いバイクであっても、ローダウンキットで車高を下げることができるパーツが、多くの車種で展開されています。

このような技術的進歩によって、女性がバイクに乗るハードルは大きく下がりました。

何歳まで乗ることができるか

バイクに乗ることができる年齢に法的な上限はありません。

グラフでもわかるように、60代、70代の女性ライダーもいます。

バイクのABSやトラクションコントロールなどの安全装備や、安全なツーリングルート、装備、運転時間など、安全に配慮してさえいれば何歳でもバイクに楽しく乗ることができます。

女子がバイクに乗るべき楽しさと魅力とは?

バイクが女性を惹きつける理由は、年齢を超えた普遍的な魅力にあります。

ツーリングによる開放感、バイクや装備で自分らしさを表現できる自己表現性、仲間とつながるコミュニティの喜びといった要素が、多くの女性ライダーを魅了しています。

近年、SNSや動画サイトでの女性ライダーの発信が増加し、ツーリンググループも多数結成されるなど、女性バイク乗りの認知度と人気は着実に上昇しています。

女性ライダーのロールモデルが可視化されることで、「自分も始めてみたい」と思う女性が増えているのです。

また、コロナ禍を経て密を避ける行動様式が定着したことも、バイク人気を後押ししました。

ヘルメットを着用し、一人で楽しめる趣味として、バイクが改めて注目されたのです。

女性向け装備や低シートモデル、ローダウンパーツなどの充実といったハード面の進化も見逃せません。

これらの技術的進歩により、心理的、身体的なハードルは確実に下がっているのです。

バイクにはリスクが伴うことは事実ですが、適切な安全対策を講じることで、そのリスクは大幅に軽減できます。

危険性を理解した上で、「それでも今の自分で乗りたい」という前向きな意欲が、多くの女性ライダーを駆り立てていると言えるでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回はバイク女子の年齢層と、中高年女性ライダーが多い実態について紹介しました。

バイク女子と言えばSNSやメディアで映える20〜30代の若い女性をイメージしがちですが、統計データが示す現実は異なります。

実際に最も多い年代は40〜60代の中高年女性ライダーで、女性バイク購入者の平均年齢は54歳という高水準になっています。

若い年代が苦労しているのは、免許取得費用、車両購入資金、安全装備の準備など経済的ハードルの高さです。

加えて、同世代の女性ライダーが少ないことで孤立感を感じやすく、コミュニティ形成が困難という社会的要因もあります。

その点、仕事や子育てが落ち着き、経済力もある中高年の女性はバイク趣味を容易に始めることができます。

近年はバイク女子向けのイベントや、SNSや動画サイトでの女性ライダーの存在で、少しずつでありながらも、若い女性ライダーが増えています。

バイクに乗れる年齢に上限はありません。

ぜひ今回の記事を参考にして、楽しいバイクライフを送りましょう。