バイクに乗る上で欠かせない装備のひとつが「ヘルメット」です。
バイク事故での死傷者において、頭部損傷が致命傷となるケースは圧倒的に多いため、適切なヘルメットの着用が生死を分ける決定的な要因となります。
だからこそ、正しい規格を満たし、自分に合ったヘルメットを選ぶことはとても重要です。この記事では、ヘルメットの必要性、選び方の重要ポイント、購入方法ごとのメリット・デメリット、さらにおすすめのメーカーまでわかりやすく解説します。
目次
ヘルメットが必要な理由
危険①:頭部に重大なダメージ
ヘルメットが衝撃を適切に吸収できない場合、衝撃は直接頭部に伝わります。その結果、脳震盪、脳挫傷、頭蓋骨骨折など、生命に関わる重篤な傷害を引き起こす可能性が極めて高くなります。
脳損傷は一度発生すると回復が困難で、後遺症が残るケースも多く、人生そのものに深刻な影響を与えます。適切なヘルメットの選択は、生死を分けるほど重要な選択です。
危険②:顔面や顎などの顔面へのダメージ
性能不足のヘルメットや、フルフェイスではないオープンタイプのヘルメットでは、顔面部分の保護が不十分です。
転倒時には顔面が路面や障害物に直接接触してしまうことが多く、眼球の損傷や顎・口まわりの骨折などのケガにつながりかねません。
危険③:規格不適合品の使用は注意
日本国内では、PSC(消費生活用製品安全法)マークおよびSG(製品安全協会)マークを持つヘルメットの使用が認められています。海外製品ではECE規格が基準となります。
これらのマークがない製品は安全試験を通過しておらず、法的にバイク用として使用できません。
危険④:視界、シールド性能不足
視界の狭さ、曇りやすいシールド、傷だらけのバイザーといった要素は、視認性を著しく低下させます。
危険の察知遅れや判断ミスにつながり、事故発生リスクを大幅に高めます。
特に夜間や悪天候時には、シールドの状態が視界に決定的な影響を与えるため、定期的なメンテナンスと交換が不可欠です。
ヘルメットは命を守る最重要装備ですが、性能不足や不適合の製品を使用していると、その保護機能は発揮されません。
このほかにも、適切に締められていないあご紐や、劣化した内装パーツの不備も、ヘルメットの脱落や保護性能低下に繋がり、危険性を増大させます。
ヘルメット選びでの注意点
ヘルメットを選ぶときには注意点を押さえることで、失敗を避けることができます。ここでは、ヘルメット選びでの注意点を紹介します。
注意点①:性能・規格の有無を確認する
国内での販売品はPSCマークは必須です。
加えてSG、JIS、ECE、SNELLなどの走行安全規格を複数取得しているヘルメットだとより安心です。
注意点②:サイズ・フィッティング
メジャーで頭囲を測定した上で、必ず実際に試着して確認してください。局所的な圧迫や痛みがないか、頭部全体に均等にフィットしているかを確認します。
頬は少し押さえられるくらいが適正で、痛くなるほど圧迫されてはいけません。ヘルメット各メーカーのフィッティングサービスがあるので、ぜひ利用しましょう。
注意点③:重量
ヘルメットの重量はさまざまです。ヘルメットの重量は首への負担と疲労に直結します。
そのため、高速道路や長距離ツーリングでは、軽量ヘルメットを選ぶと良いでしょう。
試着時には実際に被って首を動かし、長時間着用時の負担を想像しながら選択してください。
注意点④:ベンチレーション
夏場、渋滞、市街地走行では蒸れが集中力を低下させ、安全性を損ないます。
額・頭頂・後頭部の吸排気の数と通り道、シールド下端のデフロスト開口(曇り抜き)を確認しましょう。曇り対策はピンロックシートが王道で、ベンチレーションと併用すると視界が安定します。
注意点⑤:あご紐の方式の違い
ヘルメットのあご紐には主に2つの方式があります。
Dリング式は、紐とDリングで結ぶ伝統的な方式です。軽量で確実性が高く、レースでも使用されますが、慣れるまで着脱に時間がかかります。
ラチェット式は、左右を合わせてワンタッチで接続できる便利な方式です。着脱が簡単で日常使用に便利です。
どちらもしっかりと締めれば安全性が確保されるので、自分の使用スタイルに合わせて選択してください。
注意点⑥:内装のスペース確認
眼鏡をかける人や最近主流になっているインカムの装着などを考えている場合は、スピーカーが入るスペースがあるのか、配線を収納できるスペースがあるのか、眼鏡がスムーズにかけることができるのかをしっかりと確認しましょう。
バイクのヘルメットはここで買え!
ヘルメットを買う方法は、大きく分けて実店舗での購入とネットでの購入の2つの方法があります。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
実店舗での購入
メリット①:実際に確認できる
実店舗では、実際にヘルメットを手に取って、重量や質感を確かめることができます。
カタログやネットで見た色と実際に見た時の色が微妙に違うように見えることがあるので、実際に確認できるのは重要です。
メリット②:頭のサイズを測ることができる
多くの実店舗には、各メーカーの認定資格を持ったスタッフが常駐しています。正確な頭囲測定だけでなく、頭の形状(縦長・横長・丸型など)を考慮した専門的なフィッティングサービスを受けられます。
また、ネットとは違い、試着もすることができるのでヘルメット購入の失敗は少ないです。
メリット③:即日持ち帰りできる
在庫があり、サイズが適合すれば、購入後すぐに持ち帰って使用できます。待ち時間なく、その日からライディングを楽しめるのは実店舗購入の大きな魅力です。
デメリット①:価格が高い
実店舗では定価または準定価での販売が一般的です。オンライン販売と比較すると価格は高いという印象を持つことが多いです。
その分、専門的なサービスとアフターケアが含まれていると考えるべきです。
デメリット②:在庫がなければ時間がかかる
希望のモデルやサイズの在庫がない場合、メーカーからの取り寄せとなり、数日から数週間の待ち時間が発生します。
再来店の手間もかかるため、その点は認識しておきましょう。
おすすめの実店舗
・バイク用品店(ナップス、にりん館、ライコランド)
・ヘルメット直営店
ネットでの購入
メリット①:多くの種類を見ることができる
オンラインショップでは、実店舗では取り扱いのない豊富な種類とカラーバリエーションから選択できます。複数のショップを比較することで、自分の理想に近いヘルメットに出会える可能性が高まるでしょう。
また、在庫数もすぐに確認できるので購入の参考にできます。
メリット②:自宅で購入、自宅に届く
自宅でリラックスしながら、時間をかけてじっくりと検討できます。営業時間を気にする必要もなく、自分のペースで比較検討が可能です。購入後は自宅に配送されるため、店舗への往復の手間も省けます。
デメリット①試着できない、イメージと違う
試着なしでの購入は、サイズ不適合のリスクを伴います。メーカーや製品によって同じサイズ表記でも実際のフィット感は異なるため、オンライン購入では「思っていたサイズと違う」という失敗が起こりやすくなります。
また、画面上の色と実物の色味が異なる場合も多く、特に微妙な色合いにこだわる場合は注意が必要です。
デメリット②返品・交換が面倒
上記のようにサイズや色味が合わなかった場合、返品や交換が出来るお店もありますが、その手続きには時間と手間がかかります。
返送料の負担、再発送までの待ち時間、再度のサイズ確認など、複数回のやり取りが必要になる場合もあります。
おすすめのネットショップ
・楽天
・ヤフーショッピング
・WEBIKE
バイクのヘルメットおすすめのメーカー
ここでは、おすすめのヘルメットメーカーを紹介します。
アライ
アライは、帽体の設計思想が衝撃をかわすことに重きを置いている伝統的なブランドです。
メリットは、衝撃吸収性能や安全を重視した設計のヘルメットに伝統があり、長年の信頼やファンが多いことです。
デメリットは、やや重めのヘルメットがあることや、価格が高くなりがちな点です。
アライのヘルメットに向いている人
アライは上記のように安全に重きを置いたヘルメットになっています。そのため、安全を重視している人、サーキットでの走行を前提としている人におすすめです。
ショウエイ
ショウエイは細部までこだわった高品質モデルのヘルメットを生産しています。メリットは品質や信頼性が高く、安心して長く使えるという点です。また、通気性や静粛性、インカムの装着のしやすさなどバランスの取れたモデルが多くあります。
デメリットは、価格がやや高く頭の形が合わない人もいるので、フィッティング確認が必須となるというところです。
ショウエイヘルメットに向いている人
安全性と快適性の両立を求める方、長距離ツーリングを楽しむ方に最適です。
OGK KABUTO
OGK KABUTOは国内で高い人気を誇るブランドです。メリットはアライやショウエイと比べてコスパがよく、比較的手ごろな値段で購入することができる点です。
デメリットとして、アライやショウエイと比べて、最高峰モデルでは性能差が出てしまうことが挙げられます。
OGK KABUTOヘルメットに向いている人
コストを抑えながらも国内モデルを使いたい人、普段は街乗りやツーリングが主体の人におすすめします。
バイクのヘルメットについてのQ&A
ここでは、ヘルメットについての良くある質問とその回答をまとめます。
ヘルメットの寿命は何年?
ヘルメットの一般的な使用寿命は3〜5年程度とされています。ただし、この期間内であっても交換が必要になる場合があります。
事故や転倒による衝撃を受けた場合はもちろん、紫外線による素材の劣化、走行中の振動による内部構造の疲労、汗による内装の劣化、保管状態の悪さなどにより、寿命より早く性能が低下している場合は早めの交換が必要です。
衝撃を受けたヘルメットは使える?
事故や転倒などで強い衝撃を受けてしまったヘルメットは、帽体内側の素材が変形して隙間が空いてしまいます。このようなヘルメットは交換をおすすめします。
ヘルメットの手入れ方法は?
内装が取り外し可能なモデルでは、定期的に中性洗剤で手洗いし、直射日光を避けて陰干しすることで清潔に長く使用できます。
ヘルメット外装は、クリーナーを使って吹き上げることで、汚れが落ちコーティングもできます。保管する際は紫外線や直射日光を避けましょう。
初心者におすすめのヘルメットは?
初心者には、安全性を最優先としながらも快適性にも配慮したフルフェイスヘルメットを推奨します。
通勤や街乗りが主体であれば、通気性と軽量性を重視したモデルが疲労軽減に効果的です。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回はヘルメットの重要性、購入方法、選び方について解説しました。
ヘルメットは命の安全性に直結する装備であり、妥協は許されません。安全規格、正確なサイズ、用途に適した性能を満たすヘルメットを選ぶことが不可欠です。
実店舗での購入は専門的なフィッティングサービスを受けられる点で、特に初心者に推奨できます。価格よりも安全性を優先し、自分の頭部形状に正確に適合したヘルメットを選択してください。
ぜひ今回の情報を参考に、安全で快適なバイクライフを楽しみましょう。
















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