バイクのガソリンタンクは金属製で、条件次第で錆が発生します。外側は塗装で保護されていますが、内部は鉄がむき出しのため錆びやすい構造です。
そこで今回は、タンクが錆びる原因と確認方法を紹介します。
目次
バイクのタンクが錆びる理由
タンクの錆びの理由①:水分の侵入
ガソリンタンク内部に水分があると、鉄と酸素が反応して錆が発生します。
水分が入る原因としては、ガソリンキャップの隙間のシールからの侵入や、洗車時の水の侵入、結露があります。
タンクの錆びの理由②:空気との接触
タンクにガソリンが満たされていない空間があると、空気中の酸素と水分が内壁に接触して錆が進行しやすい状態となります。
特に温度変化でタンク内部に結露ができることで水滴が発生すると、錆の進行が加速します。
タンクの錆びの理由③:ガソリンの劣化や付着物
ガソリンは時間が経ち劣化してくると、タールやカス状になった物質がタンク内壁に接触します。
それが湿気を保持することで錆びの発生を助長してしまうことがあります。
タンクの錆びの理由④:塗装の剥がれ・傷・内部処理の甘さ
タンクの内壁が防錆処理されていなかったり、内壁のコーティングが剝がれたりしてしまうと、比較的早く錆が発生します。
タンクの錆びの理由⑤:長期放置・使用頻度が低い
バイクに普段乗っているとガソリンの流動があるので、錆びの進行が抑えられることもありますが、長期間バイクに乗らずにそのまま放置をしてしまうと、水分が滞留して錆が進みやすくなります。
バイクタンクの錆びの確認方法
錆びの確認方法①:タンク内のガソリンを抜く
タンクに入っているガソリンを抜くことで、タンクの内部を観察しやすくなります。
錆びの確認方法②:フューエルコックやポンプ、センサーを外す
タンクの出口側のコックやポンプ、センサー類を外して、ガソリンの出口を開けてタンクの内部を見やすくします。
錆びの確認方法③:懐中電灯や光を当てて覗く
タンクキャップやポンプの所から内部を観察できるので、ライトを当ててみましょう。
茶色の斑点や膜状の付着物が見えたら錆のサインです。
錆びの確認方法④:手を入れて確認する
タンクの穴が大きく手が入る場合には、可能であれば直接触って確認しましょう。
指を入れてザラザラとした感触があれば、錆が発生している証拠です。
錆びの確認方法⑤:燃料フィルターの確認
燃料フィルターがついているバイクは確認しましょう。
フィルターに錆びのカスが多く堆積していれば、タンクの内部が錆びている可能性が高いです。
タンク内部が錆びている状態の例
タンク内部を覗いたときに赤茶色やオレンジ色の斑点が壁に広がっていたら、錆が始まっているサインです。
壁面に触れるとザラつきがあり、指先に粉がつくこともあります。
さらに進行すると、金属粉や赤錆のかけらがフィルターや燃料出口の穴に詰まり、燃料の流れを妨げてしまうこともあります。
ガソリン自体が濁っていたり、微細な金属粉のような浮遊物が混じったりしている場合も、タンク内部で錆が進行している可能性が高いです。
バイクのタンクが錆びるとどうなる?
タンクに錆が発生すると、様々なトラブルが連鎖的に発生します。
ここでは、錆が引き起こす具体的な問題を解説します。
燃料系統の詰まり
タンク内にある錆が流れて燃料系統に入り込み燃料コックやポンプ、フィルターに詰まってしまい、エンジン不調や始動不能に繋がることもあります。
タンクに穴が開く、錆びの進行
錆が進行するとタンクの金属壁が徐々に薄くなっていきます。
最悪の場合、タンクに穴が開いて燃料漏れが発生し、火災に繋がる危険性があります。
また、錆び取り作業を繰り返すことでもタンクの金属が薄くなり、穴が開くリスクが高まるのも注意点です。
燃料の品質悪化、異臭の発生
ガソリンを長期間タンクに残したままにすると、錆が燃料中に混入するだけでなく、ガソリン自体も劣化してタール状の物質に変化します。
劣化したガソリンは異臭を放ち、エンジンの始動にも悪影響を及ぼします。
このようにタンク内部が錆びると、修復不可能なレベルまで進行したり、穴が開いて火災のリスクを生み出したりします。
燃料系統の詰まりによるエンジン不調も深刻で、最終的にはバイクが走行不能になる可能性もあります。
早期発見と適切な対処が重要です。
バイクタンクの錆びの種類と特徴
タンク内部の錆は進行度によって対処方法が大きく異なります。
ここでは、錆びの種類とそれぞれの特徴を解説します。
薄い表面錆び
タンク内壁に点状または薄い膜状に付着している初期段階の錆です。
軽く擦るだけで落ちる場合が多く、市販の錆び取り剤を使用した洗浄で対処できます。
浮き錆び・剥離性の錆び
壁面から部分的に腐食が進んだり、錆が剥がれて浮いたりしている中程度の状態です。
市販の錆び取り剤での対処は可能ですが、複数回の処理が必要になり、作業時間とコストも増加します。
一度の処理では完全に除去できないことが多いです。
進行した錆び
金属の厚みまで侵食が進んだ深刻な状態です。
タンクの強度そのものに影響を及ぼしている可能性があります。
この段階では個人での対処は難しく、専門業者による再生コーティングなどの依頼を検討する必要があります。
修理には高額な費用とかなりの時間がかかります。
穴開き錆び
タンクに穴が開いた大きな錆びは錆びの除去だけではなく、補修や、再生などで高額な修理となる可能性が高く、新品のタンクの購入を検討する必要も出てくるでしょう。
バイクタンクの錆び取り方法
ここでは、タンクの錆び取りを自分でする場合と業者に依頼する場合のメリット・デメリットと、自分で錆び取りをする方法を紹介します。
自分でするメリット
DIYでタンクの錆を取る一番のメリットは、費用を抑えられる点です。
材料代と自分の時間だけで済むので、業者に依頼するよりも大幅に安く済みます。
また、自分のペースで作業を進められ、整備の知識や技術を習得する良い機会にもなります。
軽度な錆や部分的な補修であれば、DIYでも十分に対応できるでしょう。
自分でするデメリット
作業には手間と労力がかかり、慣れていないとミスをしてタンクを傷めてしまう可能性があります。
さらに、タンクの内部は形が複雑で見えない部分も多いため、錆が残ってしまい完全に仕上げるのは難しいことがあります。
軽度の錆には対応できますが、重度の錆や穴開き状態にはDIYでは限界があり、補修に失敗すると状況を悪化させる可能性もあります。
個人での錆び取りの方法
市販の錆び取り剤を使用した基本的な手順を説明します。
まず、タンク内のガソリンを完全に抜き取り、中性洗剤と水で内部を洗浄します。
その後、錆び取り剤を入れ、つけ置きします。
錆びの大小によって錆び取り剤の水との割合を変更します。
数時間で錆が浮いてくるので、液を排出します。
商品によってはこの時点でコーティング効果も得られますが、より確実な防錆を望む場合は、タンクライナーを使用してタンク内部をコーティングしましょう。
個人で錆び取りをするときにおすすめの商品
錆び取り剤
バイク用品店で売られています。金属や塗装を傷めにくく、希釈して使用します。
タンクライナー
錆び取り後の錆再発防止に効果的です。
中性洗剤
錆び取り前の洗浄に使います。
マスキングテープ
燃料コックやポンプの穴を防ぐために使います。
ドライヤー
タンク内部の水分を乾燥させるために使います。
業者に依頼するメリット
業者に依頼するメリットは、技術と設備が整っているため、仕上がりの品質が安定している点です。
個人では対応が難しい穴開き補修や、形状が複雑なタンクにも対応できるのは大きな強みとなっています。
また、施工内容によっては保証やアフターメンテナンスが付くこともあり、安心感があります。
業者に依頼するデメリット
材料費に加えて技術料や工賃がかかるため、どうしてもコストが高くなりがちです。
また、業者に依頼する以上、スケジュール調整やタンクを持ち運んで預ける手間も必要になります。
加えて、業者によって仕上がりの品質に差があるため、信頼できる依頼先を見極めることが大切です。
おすすめの錆び取り業者
バイク整備店
バイクの整備店やカスタムショップ、旧車の整備ショップはバイクの隅々まで整備をするので信頼と実績があります。
見積もりを出してくれる業者
錆び取りメニューやコーティング、保証制度がしっかりとしている業者は信頼できます。
実績やレビューが多い業者
タンクの錆び取りの様子をネットに上げている業者や、レビューが多い業者であれば安心して依頼できます。
定期的なメンテナンスの重要性
ここでは、定期的なメンテナンスの重要性について解説します。
給油はこまめにする、満タンにする
給油をこまめにすることでガソリンが動き、錆が起きにくくなります。
また、長期保管時にはタンクを満タンにして空気との接触面積を減らしましょう。
空気との接触面積を最小限に抑え、結露や酸化による錆の発生を防ぐことができます。
給油口の確認
給油口のパッキンが劣化すると、洗車時や雨天時に水分が浸入しやすくなります。
定期的にパッキンの状態を確認してください。
また、給油口付近には通気口や排水穴がありますが、これらが詰まると水分がタンク内に溜まる原因となるため、清掃と確認を怠らないようにしましょう。
燃料フィルターの確認
燃料フィルターがあるバイクは、フィルターに錆が付着していないかを確認しましょう。
錆が見られる場合には、すでにタンクが錆び始めている証拠です。
定期的に走行、内部の確認
定期的にバイクを動かして走行させることで、タンク内のガソリンを動かし、水分の停滞を防ぎましょう。
また、タンクの内部をライトを使って確認し、錆びや錆びの兆候がないか確認しましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回はタンク内側の錆びができる理由と対策について紹介しました。
バイクを長期間使用しないことや、給油口キャップのパッキン劣化により水分が適切に除去できない状態が続くと、タンク内部に錆が発生しやすくなります。
錆はタンク内に堆積するだけでなく、燃料系統に入り込んでエンジンの不調を引き起こしたり、最悪の場合はタンクに穴を開けて、燃料漏れに繋がったりといったこともあります。
定期的なタンク内部の確認と、初期段階での錆び取り、そして予防メンテナンスを習慣化することで、愛車のタンクを錆から守りましょう。
ぜひ、今回紹介した方法を参考に、適切なメンテナンスを行ってください。
















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