バイクの免許を取得している皆さん。もしくは、これからバイクの免許を取得するという皆さん。教習所に申し込むとき、バイクは死亡事故が多いと聞いて悩まれたこともあるのではないでしょうか?

実際に、高速道路の走行中にコケてしまった、右折時に乗用車と衝突してしまった、さらには、断崖絶壁から砂浜に落下してしまったという話まで耳にします。そこで今回は、バイクの事故割合と主な原因について説明したいと思います。

バイク事故の統計

バイクには乗用車のようにボディがありません。乗用車であれば、ガードレールに衝突したり、後続車に追突されたりしても、ボディが衝撃を吸収するので、見た目には大きな事故だったとしても、意外と運転手は軽傷で済むこともあります。

しかし、バイクは「生身」で乗っているため、ガードレールと衝突すれば、ガードレールとバイクに体を挟まれることも、後続車に追突されれば、直接背中に衝撃を受け、吹き飛ばされることも起こり得ます。

では、ここで実際に、バイクの死亡事故の割合をみてみましょう。バイクの死亡事故発生率は1.3%です。自動車が0.4%、自転車が0.6%なので、バイクは自動車と比べて3.25倍、自転車と比べておよそ2倍となります。

交通死亡事故そのものはドクターヘリの運用拡大やドクターカーの導入など、救急搬送体制が整えられ、助からない命が助かるようになっていることで減少傾向にあります。しかし、数値を比較してみると、バイク事故での死亡率が高いことがわかるでしょう。

では、バイク事故の重傷率はどれくらいでしょうか。バイクは17.5%、自動車では3.1%、自転車が9.8%となっており、バイクは自動車のおよそ5.6倍、自転車のおよそ1.8倍です。バイクでは死亡事故も多いですが、重傷となる事故も多発していることがわかります。

次は、軽傷率を比較します。バイクでは81.3%、自動車では96.5%、自転車では89.6%となっており、バイクより自動車の軽傷率が高いと分かります。

つまり、死亡率、重傷率、軽傷率をまとめるとバイクは死亡事故が多く、命は助かったものの重傷となることも多く、自動車のように軽傷では済まないことが多いといえるでしょう。

だからこそ、安全運転を心がけ、自分の身は自分で守らないといけません。もちろん、被害者になるだけでなく加害者になることもあります。被害者にも加害者にもならないよう、まずは安全運転を心がけることが大切です。

事故類型別

では、バイクの死亡事故は、どのような原因で発生しているのでしょうか?最も多いのが、単独事故です。電柱やガードレールに衝突する単独事故が全体の4割と高い割合を占めています。

原因は、スピードの出し過ぎです。交通量の少ない時間帯だと、どうしてもスピードを出してしまいがちですよね。スピードを出し過ぎてしまった結果コーナリングを失敗し、電柱やガードレールに衝突してしまいます。

また、ツーリングではついつい周囲の景色に気を取られ、不注意で衝突してしまうこともあります。

そして、いわゆる「右直事故」も多く発生しています。直進するバイクと右折しようとする乗用車が衝突したり接触したりする事故です。バイクと乗用車の速度差があり、ライダーの死亡割合が高い事故ともいわれています。

道路交通法では、直進車が優先されるものの、乗用車やトラックからは、バイクが認識できないこともあり、事故につながりやすいです。

そのため、単独事故、右直事故に次いで、出会い頭での衝突事故が多いこともあげられます。いずれにしても、スピードを出し過ぎることなく、周囲に気を配りながら、安全運転を心がけて事故を避けたいものです。

致命傷部位

道路交通法でもヘルメットの着用が義務付けられていることからもわかるとおり、バイク事故の致命傷部位のおよそ半分が頭部です。その次に多いのが、胸部、腹部です。

死亡事故の発生時、25%の割合でヘルメットが脱落しています。ヘルメットを着用するだけでなく、事故の衝撃でも脱げないよう、きちんと被るようにすること、また、胸部の衝撃を軽減するため、胸部プロテクターを着用することも重要です。

統計からバイク事故に遭わないためにどうすればよいのか。

死亡事故も重傷事故も多いバイク事故。どうすれば、バイク事故を防げるのでしょうか。ここからは、統計を参考に、ライダーがバイク事故に遭わないよう、気を付けたいポイントをまとめます。

皆さん、ついつい気が緩んでしまっている項目もあるのではないでしょうか?現役ライダーの皆さんは、特に、日頃のライディングをよく振り返ってみてくださいね。

スピードの出し過ぎに注意

交通量の少ない直線道路では、スピードを出してしまいがちですが、法定速度は絶対に遵守しましょう。どんなに見通しがいい道路でも、スピードの出し過ぎでカーブを曲がり切れなかったり、道路の凹凸で横転してしまったりするので危険です。

特に、雨天時は視界が悪いうえスリップもしやすいので要注意です。

ヘルメットの正しい装着

どんなに防御力の高いヘルメットでも、正しく装着しなければ、本来の防御力は発揮されません。そればかりか、交通事故では事故の衝撃でヘルメットが脱げてしまい、何の役にも立たないことがあるのです。

ヘルメットの顎ひもは緩んでいませんか?ヘルメットのサイズは合っていますか?ヘルメットの顎ひもが緩かったりサイズが合っていなかったりすると、事故の衝撃で簡単に脱げてしまうので危険です。

道路交通法を守らないといけないからヘルメットを被るのではなく、今一度ヘルメットを着用する目的を思い出しましょう。

右折をするときはより慎重に安全確認

バイクは、乗用車やトラックからは死角となって認識されないこともあります。そのため、4車線の道路で右折しようとしている対向車の陰からバイクや原付が飛び出し、事故につながるケースが多く見受けられます。

バイクが死角になっている「かもしれない」運転でいきましょう。

事故の被害者にならないために

バイクの免許を取得し、バイクを運転する以上、事故を起こさないために安全運転をするのは当たり前ですが、事故を起こしてしまう側にならないことも大切です。

バイクは小回りが利くので、車の間を「すり抜ける」ことができます。バイクの運転に慣れてしまうと、どうしても「車が出てくるかもしれない」「前の車が曲がるかもしれない」という認識が薄まってしまいがちです。

初心忘れるべからずとはよく言いますが、ベテランライダーも「かもしれない運転」を徹底しましょう。

先日、免許の更新で講習ビデオを視聴してきました。そこで気になったのは…「車のドライバー目線」です。もちろん、同じ道路を走行する以上、バイクでも自動車でも共通項目があるのは当然なのですが、「すり抜け」を無意識にしているライダーと、バイクに乗らない乗用車のドライバーの認識に差があることに気が付かされたのでした。

あおり運転や事故が起きたときに

安全運転を心がけていても、バイク事故は起こってしまいます。最近では、あおり運転をされて事故を起こしてしまうこともあり得るのです。ここで重要なのが、ドライブレコーダー。あおり運転による事故なのに、証拠がないからと保険金が支払われなかったらやりきれないですよね。

交通事故が起きたときも、きちんと過失割合を判断してもらえるよう対策しておきたいもの。そこで、ここからはドライブレコーダーの選び方について説明していきたいと思います。

ドライブレコーダーの選び方

ドライブレコーダーを選ぶときに確認しておきたいのが、前後撮影できるか、バッテリーがどのくらいもつのか、画質が鮮明かどうか、防水機能が付いているかという点です。

前後撮影ができるかどうか、画角の広さ

前方向しか撮影できないドライブレコーダーでは、背後から追突されたときに、事故の様子を記録することができません。どのような事故も記録できるように、前後の撮影ができ、なるべく広範囲を撮影できるよう、画角の広いものを選ぶようにしましょう。

直結型か内蔵型

ドライブレコーダーのバッテリーは、充電不要の「直結型」と、その都度充電する「内蔵型」があり、内蔵型にも「電池式」と「充電式」の2種類があります。

日常的にバイクに乗るのであれば、高額ではあるものの「直結型」がおすすめ。週末のツーリングなど、乗る頻度が限られているのであれば、お手頃な「内蔵型」がいいでしょう。

画質

あまりにも画質が悪いと、事故の瞬間を記録しても、ナンバープレートを読み取れないことがあります。解像度はフルHD(1920×1080)以上、200万画素であれば安心です。

防水機能の有無

雨に降られることも、砂埃にさらされることもあるバイクのドライブレコーダーには、防水性・防塵性が必須です。防水性・防塵性の程度を指標であるIPコードが55以上のドライブレコーダーを選ぶようにしましょう。

ドライブレコーダーの紹介

では、実際どのようなドライブレコーダーがあるのでしょうか?ここでは、デイトナとミツバサンコーワのドライブレコーダーをご紹介します。Wi-Fiを搭載したデイトナのMiVue M777Dは、STARVIS CMOSイメージセンサー搭載で夜間でも明るい映像で撮影できることもあり、夜に走行することが多いライダーにおすすめです。

GPSを搭載したミツバサンコーワのEDR-21Gは、SONY製CMOSセンサーを搭載した高性能カメラが特徴の1つです。専用アプリから録画した画像をスマホで確認できるので、事故が起きたとき、すぐに役立つドライブレコーダーです。

この他にも、最近のバイク専用ドライブレコーダーはバイク事故にも安心な機能を搭載したモデルがたくさんあるので、気に入ったドライブレコーダーを愛車に取り付けてくださいね。

まとめ

バイクは死亡事故も重傷事故も起こりやすいです。乗用車のように軽傷で済むことは少ないと、きちんと覚えておきましょう。安全運転を心がけることはとても大切ですが、万が一、事故に遭ってしまったときのために、ドライブレコーダーも取り付けておくと安心です。