教習所では教官から何度も何度も、体が覚えるまで指導されるライディングポジション。バイクの基本乗車姿勢は、免許取得後、どのようなバイクに乗ることになってもある程度乗りこなすために必要不可欠なものでもあります。

ですが、バイクにもアメリカン、スポーツ、オフロードなど、様々なタイプがあり、それぞれ乗車姿勢も違ってきます。基本乗車姿勢に加えて、バイクのタイプごとの乗車姿勢を取ることができれば、ライディングスキルの向上はもちろん、長距離での疲労を抑えることにもつながるので、ぜひ意識していただきたいものです。

今回は、バイクの基本乗車姿勢を振り返りながら、バイクの車種ごとの乗車姿勢について説明していきたいと思います。

バイクの基本乗車姿勢

ライダーの皆さん、バイクの基本乗車姿勢といわれて自信を持ってポジショニングすることができますか?日常的にバイクを乗り回していれば自然にできるはずですが、ブランクがあると久しぶりにバイクに乗ろうとしたとき、ちゃんとできるのか、ちゃんとできているのか、気になりますよね。

もっとも、バイクの基本乗車姿勢は、体が覚えているものなので、乗ってみたらなんてことはないかもしれません。高校生以来、久しぶりに自転車に乗ったとしても、通学時に乗っていたのであれば、すぐに走り出すことができるはずです。

ここで、バイクの基本乗車姿勢について、まずは振り返っていきましょう。バイクの基本乗車姿勢は完璧というライダーの皆さんも、本当にできているのかどうか、ぜひ確認していただければと思います。

進行方向に目線を向け、遠くを広く捉えるようにします。そして、肩、肘、手首の力は抜き、両腕で脇を締め、アクセルの開閉をしやすい角度でハンドルに手を添えます。

さらに、いわゆる「ニーグリップ」といわれる、両膝でタンクを挟み込むのと同時に、足の土踏まずの部分をステップに乗せ、ブレーキペタルとチェンジペダルの上につま先が乗るようにしましょう。

車両タイプ別の乗車姿勢

ここまでご紹介してきたのは、あくまでどのようなバイクにも共通する基本乗車姿勢です。バイクにはスポーツタイプ、アメリカンタイプ、オフロードタイプ、スクーターなどがあり、基本乗車姿勢を踏まえながらも、それぞれの車両タイプによって、若干、乗車姿勢が違ってきます。

ここからは、基本乗車姿勢を踏まえたうえでの車両タイプ別の乗車姿勢についてご紹介します。

アメリカンタイプとは

アメリカンタイプのバイクの特徴は、ロー&ロングといわれる車高の低さ、長いホイールベースなどの独特なスタイリングです。車体には安定感があり、足付きもいいことから、ロングツーリングにも適しているといえます。

アメリカンタイプの乗車姿勢

アメリカンタイプのバイクはハンドルバーの位置が高いうえ、足を前方に投げ出すような位置にステップのある構造となっているため、基本的にはゆったりとライディングすることができます。乗車時には腕を伸ばしきらないこと。ハンドル操作に支障をきたすこともあるので注意が必要です。

同様に、膝も伸びきらないように気を付けることがあげられます。ステップに足を乗せるときに膝の位置を調整しましょう。

アメリカンタイプのバイク

アメリカンタイプの代表格といえば、やはりアメリカ発祥のハーレーダビッドソンではないでしょうか。国内ではホンダのレブルも、足付きの良さから女性から人気があります。

■ハーレーダビッドソン XL883N アイアン

ハーレーダビッドソンのファミリーでは「スポーツスター」に分類されるXL883Nアイアン。アメリカンタイプでありながら、スポーツクルーザーの要素を兼ね備えており、乗り慣れていないと乗りこなしにくいといわれるハーレーダビッドソンですが、初心者でも乗りやすいモデルです。

■ヤマハ ドラッグスター400

ドラッグスター400はヤマハのアメリカンクルーザーの代表格であり、年齢、性別を問わず乗りこなしやすいことから、長年に渡り愛されている車種であるといえます。アメリカンらしい高くて広いハンドルが特徴です。

スポーツタイプとは

スポーツタイプはサーキットの走行にも対応できる、ライディングそのものを楽しむことができるバイクです。特徴的なのは、車体を覆うフルカウルでしょう。排気量に対して車体は軽量で取り回しやすいこともあげられます。

また、走行性能・安定性ともに安定しており、車体を倒し込んで曲がり込むのにも適しています。

スポーツタイプの乗車姿勢

スーパースポーツのライディングポジションは前傾姿勢。ハンドルの位置が低いため前傾姿勢となるだけでなく、ステップも後方の高い位置に取り付けられているため、極端に膝が曲がる体勢となりやすいです。

前傾姿勢で背筋に負担がかかるので、まずは骨盤を立てることで対策します。腰から前傾姿勢をとるのではなく、シートに対して骨盤をまっすぐに立てるように意識しましょう。腹筋に力を入れ、背筋から丸めるようにすると、骨盤を立てやすいです。

スポーツタイプのバイク

本格的なレーシングバイクのレーサーレプリカを受け継ぎながら、公道の走行を心ゆくまで堪能できるよう進化を遂げてきたスポーツタイプのバイク。

■カワサキ ninja250

スポーツバイクの代名詞のひとつといっても過言ではないカワサキのninjaシリーズ。小型から大型まで、幅広い排気量を取り揃えていますが、ここで取り上げるのはコンパクトスポーツのninja250です。

スーパースポーツを乗りこなすうえでネックとなりやすいシート高も比較的低く、小柄なライダーでも乗りこなしやすいです。

■ホンダ CBR250RR

カワサキのninjaシリーズにも引けを取らない、代表的なホンダのスポーツバイク、言わずと知れたCBRシリーズです。ここで取り上げるのは250RR。スーパースポーツブームの1994年の生産終了後、2017年に生産再開した、根強い人気を誇るスーパースポーツだといえるでしょう。

カワサキのninja250同様、ホンダCBR250RRも足付きが良く、幅広いライダーにとって乗りこなしやすいスーパースポーツです。

オフロードタイプとは

オフロードとは未舗装の道路のことをいいます。つまり、山道、林道、砂利道などの悪路です。オフロードバイクはオフロードを走行することを前提とした走破性に加え、軽量で取り回しやすく、直立姿勢を取れることに特徴がみられます。

オフロードタイプの乗車姿勢

オフロードバイクでは、特に、オフロードの走行時にはスタンディング、いわば立ち乗りのライディングポジションをとります。悪路ではシッティングしていると、衝撃を臀部で受け止めることになるため、スタンディングすることで臀部にかかる負担を軽減。

そのため、オンロード走行時は、スタンディングはせず、基本乗車姿勢で問題ありません。

オフロードタイプのバイク

オフロードバイクは公道を走行できるモデルと走行できないモデルとがあります。公道を走行できるモデルであれば、サーキットを飛び出し、街乗りしたり、ツーリングしたりできます。

排気量250ccクラスを中心としたラインナップのため、オフロードとして活用するだけでなく、車種によっては原付二種のように気軽に乗り回すことも可能です。

■ヤマハ セロー250

オフロードライダーから愛され続けているヤマハのセロー250。オフロードの走破性はもちろんですがオンロードの走行性も安定しており、オンオフ関わらず乗り回せます。

オフロードバイクは、基本的には長距離ツーリングには不向きといわれていますが、セロー250であれば、長距離時にシッティングを続けていても、他のオフロードバイク程、負担もありません。

■ホンダ CRF250L

ホンダのオフロードバイクCRF250Lは、オフロードの醍醐味ともいえるダイナミックなスタンディングで悪路を走行することができますが、実は、初心者でも乗りこなしやすい、バランスの取れた安定感が持ち味となっており、オフ車デビューにもおすすめです。

スクータータイプとは

ちょっとそこまでの「足」となるスクーターにはギヤはなく、足はフロアボードに置いたまま、シフトチェンジをすることなく走らせることができます。走行性、走破性はありませんが、抜群の安定感があり、一定の速度で走行することが可能です。

スクータータイプの乗車姿勢

スクーターバイクのライディングポジションは、シートにゆったりと腰をかけ、両足をフロアボードに置きます。スクーターバイクはニーグリップをするような構造にはなっていないので、とにかく楽な姿勢をとることがポイントです。

スクータータイプのバイク

ライディングスキルに左右されることなく、誰にとっても日常の足となるスクーターバイク。基本的には、原付、原付二種など、小型のバイクです。スクーターバイクは燃費が良いといわれていますが、特に、移動のために活用するのであれば、燃費の良さにはこだわりたいところです。

■スズキ レッツ

原付に分類されるスズキのレッツは、スクーターでも、特に足付き、取り回しともに良いので女性でも乗りこなしやすく、燃費にも優れているので、通勤通学に利用するのにおすすめです。

■ヤマハ JOG

スズキのレッツ同様、原付に分類されるヤマハのJOGはヤマハのスタンダードスクーターのひとつだといえます。特徴は、フロアボードの下部に燃料タンクを配置することで低重心化を実現、安定したコーナリングはバイク初心者にとっても安心です。

まとめ

今回は、バイクのライディングポジションについて、基本乗車姿勢から、バイクのタイプ別の乗車姿勢まで、幅広くご紹介しました。ビギナーライダーからベテランライダーまで、ライディングポジションの確認はできましたでしょうか。

その他、ダンデムの同乗者は片手でダンデムバー、もしくはダンデム用のベルトをつかみ、もう片手でライダーの肩、腰などをつかみます。ライディングポジションによって、バイクで走行するおもしろさも、走行時の疲労感も、すべてが違ってきます。

バイクライフを満喫するためにも、定期的にランディングポジションを見直してみることをおすすめします。

 

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