148㎝の低身長女子がバイクの免許を取得するまでの記録|「バイクは怖い」というイメージが180度変わるまで

これから免許を取得したい小柄な女性の皆さん。今回は低身長(148㎝)女子である「私」の、二輪免許取得までの記録をご紹介したいと思います。

二輪免許を取得したのは2021年のこと。教習所に申し込みをしたのは7月10日、初めてバイクに乗車したのは8月24日の教習1時間目です。卒検は10月10日、そして28歳の誕生日、10月12日に免許併記をしています。

特に、身長150cm以下の低身長女子にとって、バイクは「怖いもの」というイメージがあるはずです。私だって同じです。ですが、二輪免許を取得して、バイクは「楽しい、優しい、素敵な世界!」ということを知ったのです。それでは、さっそく、免許取得までの1カ月半を、皆さんにお話しながら振り返っていきます。

バイクに興味を持つ前のわたしの紹介

これまでの私の人生はバイクとは無縁のものでした。家族はもちろん親戚、友達、誰もバイクに乗っていません。コンビニの駐車場に集結しているライダーを見るのも怖い、目合わせたら睨まれそう、ライダー=怖い人たちと思っていたほど。普通免許だってAT限定です。

そもそも、自転車で坂道を下るときでさえ、怖くて怖くてしかたがないくらい、スピードには抵抗感しかなかったのです。当然ですが、自転車はおろか、まさか自分がバイクに乗ることなんて、想像することさえありません。そんな私を変えたのは、他でもない夫です。

バイクに興味を持ったきっかけ

バイクに興味を持つようになったきっかけは、夫がバイクに興味を持つようになったからです。夫はYouTubeでモトブログを視聴していましたが、見ているだけで怖い私は、何が楽しいのかわからずの状態です。自転車の坂道下るのも速くて怖いのに…と思いながら、言ってしまえば「渋々」YouTubeを見ていたのです。

2020年9月、ある日突然、夫は私に内緒で三輪のバイクを購入、びっくりとしか言いようがありません。バイクなんて危ないし怖いからやめてほしいと思ったものの、これは三輪だから転ばない、ダンデムシートを付けたからという夫の言い分もありじゃあ…まぁ…やだけど…もう仕方ないと、なかばあきらめの境地でいました。

初めてダンデムしたときは、40km/時速でも怖くて絶叫したものです。それから数ヶ月後、夫は大型二輪に興味を持ち教習所に通い始めました。

夫の影響でバイクと関わる機会が増え、ふと、「一緒に笑い合えてたらすごく幸せだなぁ」そんなふうに思ったとき、「わたしも夫と一緒に走りたい」と初めてバイクに興味を持ったのです。

二輪車教習所での体験

こうしてはじまった教習所ライフ。身長148cmの私は、どのような壁に直面して乗り越えてきたのか、2ヶ月についてくわしくお話しします。

入校前審査の引き起こし

最初の難関は教習所の入校前審査です。バイクの引き起こしに挑みます。。身長148cmの私は、目の前に横たわるバイクにすっかり圧倒されてしまいました。もはや、バイクではなく「牛」が倒れているようにしか見えません。

そう、入校前審査では、公道でバイクを倒したときに引き起こせるよう、引き起こしができるかどうかをチェックされるのです。

引き起こしをしてみて

なんとか…なんっとか、入校前検査はクリア。片側だけなので、次はできるかどうかわからないものの、バイクの引き起こしに成功しました。あの時の「できた!」という感動は忘れられません。

世の中には自分の力ではどうにもならないこともあります。それでも、自分の努力次第では手に入れることができることもあるのではないでしょうか。たくさんの努力が必要でもそれをあきらめたくないと、改めて強く思った瞬間でもありました。

教習スタート

いよいよ教習の始まり…ですが、始まってみれば、クラッチ?ギア?えっ?なにそれ…?という状態でした。一応、普通自動車免許(AT限定)を取得しているのに、何の役にも立ちません。
そして何より足付きの悪さ。身長148cmなのでこればかりはしかたのないことかもしれませんが、両足、つま先ツンツン状態で、まったく踏ん張りもききません。

取り回し中、サイドスタンドを払う時、跨る時、停止時、降りる時、スタンドをかける時。どこでもかしこでもバイクを倒すような始末です。忘れもしない、教習1時間目。初めてスタンドを払って、跨ろうとした時のこと。バイクに跨ることすらできませんでした。停止のたびにバランスを崩して転倒。もっと身長があればいいのにと、何度思ったことか。

教習が始まってからも低身長で苦労しました

見事に転倒から始まった教習。外周を3時間することに。基礎として発進、停止の練習をやりました。補習だって受けています。何度も転んで、転んで、転んで。プロテクターを装着していても足はアザだらけ

一本橋での教習では、一本橋から落ちた拍子に、橋に対してバイクのタイヤが横ずれして、上手く転けられずに、文字通り「べしゃっ」となりました。最初の頃は、本当に怖くて、行きたくなくて、教習所に向かいながら気持ち悪くなることさえあるほど。恐怖心のせいで身体も強張り悪循環だったと思います。

ですが、ある先生の教習を受けて、「バイク楽しい!乗れてる!」と楽しくなっていったのです。足を下ろす場所、タイミング、バランスがなんとなくわかるように。その先生は「自分で操作してるから、バイクが思うように動いてくれる、今のはまぐれじゃないよ」と、うまくいったときには言葉にしてくれる先生でした。何度も何度も繰り返し練習して、成功率も上がったことで、わたしの自信につながったことは間違いありません。

合言葉は「目線、前傾、ニーグリップ!」。これをひたすら呟いて、腕のリーチが短い分、前傾姿勢もしっかりと。あとは全力でニーグリップといった具合です。まあ…相変わらず転びもしていましたけれど。

ついに卒検

教習所に通って1カ月半、こんな私でも、なんとかかんとか卒検の日を迎えることができました。偶然にも大型教習に通っていた夫と同じ日に卒検でした。もうドキドキしてしかたありません。前日は夫に「ここ何速で走るの?ウインカーは?」と質問しまくりです。夫は「普通に走れば大丈夫だから」と、全然教えてくれません。私だけ落ちたらどうしよう…と不安に駆られながら、卒検の会場に向かいました。

当日の検定は夫が1番目、私は3番目。夫は特にこれということもなく平穏無事に終了。先生からも「とても丁寧な運転でした」と言われたよう。そしてついにわたしの番です。大きな声で名前を伝え、深呼吸してスタート。乗車で転ばないように…ここで倒れたら悲しすぎます。慎重に乗車、そして発進。

課題をこなしていきます。そして、教習中、最後まで転倒していた私の苦手なポイント、急制動前の右へ曲がってからのすぐ停止に挑みます。ここはなんとか転ばず通過。後で聞いたところ、実は夫も苦手なポイントだからと、心配して遠くから見ていたそうです。その後も転倒することなく、降車完了しました。

卒研終了後

「ありがとうございました!」とバイクから降りた瞬間、まずはほっとしました。そして先生からは「課題は問題なかったです」と声をかけられました。そして、「ニーグリップは大事だからね!これからどんなバイクに乗ってもしっかりニーグリップしてバイクにしがみつくことを意識してくださいね」と激励とも受け取れる言葉をいただくことに。

そして、夫のもとに駆け寄った私の第一声は「転ばなかったー!!」でした。転倒からの一発不合格回避に、夫も胸をなでおろしていました。そして発表。夫婦そろって合格。夫婦で同じ日に卒業できたことは本当に幸せです。

免許センターへ

二輪免許の卒検から2日後。夫婦そろって免許センターに足を運び、晴れて夫婦ライダーになりました。ちなみにこの日は私の誕生日だったのです。今年から運命が変わる予感しかない!そんなワクワクした気持ちでした。

初めてのバイクにGN125Hを選んだ理由

免許取得からトントン拍子に話は進み、バイクを購入するに至りました。身長148cmの初心者ライダーである私が選んだのは、スズキのGN125Hです。公道デビューの不安を軽くできるよう、コンパクトな車体で足付きのいいバイクを選ぼうとしたとき、私の好みを知っている夫が、レトロデザインに目を付けて選んでくれたのです。ひとりでもたくさん乗ってたくさん練習できるようにという意図もあったよう。もちろん、今では、私にとって大切な友達に他なりません。かけがえのない存在です。


GN125Hはシート高740㎜のため足付くがよく、車重122kgと取り回しがしやすいのが特徴です!

公道デビュー、夫とのツーリング

念願だった夫とのツーリング。実は、免許取得から2ヶ月後と、時間が空いてしまいました。それまではひとりで練習だってしています。初めてのツーリングは家の近くのコンビニにホットコーヒーを飲みに行くという、まさかのコンビニコーヒーツーリングです。

なかなか一緒に走れなかった分、近距離コンビニコーヒーツーリングだったとしても感動です。嬉しい!夢が叶った!一緒にバイク乗ってる!そんな気持ちでした。免許を取得して本当によかったと叫びそうなほど。これからも、安全第一はもちろん、夫婦でバイクを楽しんでいきたいと、コーヒーを飲みながら思ったものです。

同じように低身長でバイク免許取得に悩んでいるライダーに伝えたいこと

身長150cm以下の低身長女性ライダーの皆さん。女性に限らず、低身長の男性も同様かもしれません。現在、身長148cmでもバイクライフを満喫している私の伝えたいことは、低身長でも大丈夫だということです。

たくさん転んでも、他の教習者以上に苦労しても、心が折れなければ、絶対に乗れるようになります。低身長には厚底ブーツもおすすめ。ほんの2センチ、されど2センチ。厚底ブーツを履いてからの安心感が桁違いです。ぜひ皆さんの味方にしてください。

バイクに出会って変わったこと

バイクに出会ってから、私の日々の生活にも変化がみられるようになりました。今まで苦手だった早起きもバイクに乗りたいから、むしろ早く目が覚めちゃうくらいです。

バイクに出会って、人生は変わります。大げさだけど、大げさじゃない。人一倍苦労もしたけれど、振り返ると、教習所ライフは充実したものだったと、楽しかったということができます。気持ちにも変化がみられ、今なら「頑張ればできる!」という「できなかったことができたときのよろこび」から人生に対して前向きになれたように思います。

おわりに

バイクに乗ってみたい、でも……と尻込みしている低身長女子の皆さん。バイクに乗るだけで、景色がキラキラして見えるので、あきらめないでほしいと、身長148cmの低身長ライダーの私は思います。

『バイクは怖い』というイメージから『バイクは楽しい、優しい、素敵な世界!』に変わる日は絶対にきます。まずは一歩を踏み出してみませんか?