2016年の『シン・ゴジラ』、2022年の『シン・ウルトラマン』でヒットを飛ばした庵野監督の「シン」特撮シリーズ第3作、『シン・仮面ライダー』
バイク好き、かつ特撮好きの筆者としては、かねてより注目していた映画だった。
つい先日劇場に足を運んで見てきたので、今回はバイク好きの観点から『シン・仮面ライダー』の持つ「バイク映画としての魅力」について書こうと思う。

※この記事には『シン・仮面ライダー』の内容についてのネタバレが含まれます。
核心的なネタバレはないよう努めてはいますが、「全く何も知らずに見たい!」という方はご注意ください。

『シン・仮面ライダー』サイクロン号のベース車両はホンダ CB650R!

バイク好きとして気になるのは、やはり主人公の乗るバイクのベース車両である。
調べてみると、公式Twitter上でベース車両は「Honda CB650R」(主人公が変身する前のベース車両はHonda CB250R)だという発表があった。

子供の頃「仮面ライダークウガ」や「仮面ライダー剣」を見て育った筆者としては、「仮面ライダーの乗るバイクといえばオフロード」という印象が強かったので、『シン・仮面ライダー』でネイキッドスポーツのCB650Rがベース車両として選ばれたのは少々意外だった。

だが、東京モーターサイクルショーでの展示を見ると、驚きは納得に変わった。

一見しただけではベース車両が分からないほどのカスタムを施されても、「元々そういう車両」であったかのように、見事にフィットしている。大型で作りのしっかりしたCB650Rならではだ。
これならば、画作りにも迫力が出るだろうと確信させてくれるタフさを感じた。

バイクアクションへの期待を高めながら、劇場へ。はたして、映画ではどのような活躍を見せてくれるのだろうか……。

 

制作陣の惜しみない「バイク愛」。ホンダCB650Rをベースとした新サイクロン号の活躍が光る。

さて、本編ではどんな活躍が見られるのか。期待に胸を高鳴らせて席に着けば、そこには作り手の方々の惜しみない「バイク愛」に満ちた世界があった。

バイクの魅力は「乗り物としての魅力」「メカとしての魅力」「バイクというものが持つロマンの魅力」の3つに大きく分けられると思うが、『シン・仮面ライダー』はバイクの持つ魅力のどの側面をも満たしてくれている。

まず、乗り物としての魅力について。『シン・仮面ライダー』はとにかくバイクに乗って移動したり、自動車やバイクとのチェイスシーンが多いのだが、そこでの運転テクニックはまさに圧巻の一言。
カーブあり、距離を詰めてのバイクチェイスのシーンでは、「これはどうやってぶつからないように運転してるんだろう?」と、思わずバイクスタントの方の運転技術に見入ってしまった。
また、主人公が怪人の出た場所に急行するときも、道中の移動が端折られることなく、バイクに乗って走るシーンが挿入される。直線の道路を駆け抜けていく「乗り物としてのバイクの魅力」が存分に発揮されていた。

メカとしての魅力については、現代のCG技術によって極上のカッコ良さへと仕上げられていた。怪人のところへ急行するときにバイクが変形して加速するなど、「メカとしてのカッコよさ」の極みではないか。
また、「主人公がライダーキックを放つ為に、サイクロン号が排気筒を下に向けてガスを噴出し高くジャンプする」などのシーンがあり、「ヒーローの相棒メカ」としての魅力も余すことなく詰め込まれていた。

バイクというものが持つロマンの側面も、『シン・仮面ライダー』では丁寧に描写されている。
作中の随所にバイクが「映える」画作り(雄大な自然をバックにしたカット等)が溢れており、「カッコいい!」「自分も実際に行ってこんな写真を撮ってみたい!」と思わせるようなカットがふんだんに盛り込まれていた。
バイクがカッコよく撮れる構図に興味がある方(カメラ・写真が趣味の方)も、満足してもらえるのではないだろうか。

全編を通して筆者が感じたのは、「とてもバイクを大切にしてくれている!」ということだった。
怪人から逃れる為に主人公がヒロインと秘密基地に潜伏するシーンでも、バイクは大事に屋内へとしまわれていた。
作中の状況としては「そんな派手なバイクが外に置いてあったら、一目で仮面ライダーの基地だと分かってしまうだろう」という事情があるのだろう。しかし、バイク好きとしてはサイクロン号が単なる移動手段としてではなく、バイクとしても大切に扱われているのを見ると、なんだか嬉しい気持ちになるのだ。
また、些細なシーンではあるが、作中にはサイクロン号が自走して主人公とヒロインのあとをぽてぽてついてくるシーンがある。大人しくついてくる様子はまるで忠犬のようで、不覚にもかわいらしさを感じてしまった。

 

『シン・仮面ライダー』ってどんな話?ストーリーの中心にも、バイクが大切な要素として散りばめられている!

『シン・仮面ライダー』のストーリーを一言で要約すると、「主人公の本郷猛とヒロインの緑川ルリ子が、最初は意見が噛み合わずもどかしい思いをしながら、敵から叩きつけられる様々な『幸せの形』に抗い、自分たちの思う『幸せの形』を貫くべく奮闘する」話である。

主人公の本郷猛は、心優しくも、人とのコミュニケーションが苦手(いわゆる「コミュ障」)で、バイクに乗るのが唯一の趣味のキャラクターとして描かれている。一方、ヒロインの緑川ルリ子は自分以外は信じず、悪の組織ショッカーの野望を打ち砕くべく奔走している女性だ。

バイク以外に趣味がないコミュ障の本郷と、ショッカー打倒以外は眼中にないルリ子。一見、到底良いパートナーになるとは思えない組み合わせである。
しかし、『シン・仮面ライダー』の劇中では、そんな二人の絆を紡いでいくのに、仮面ライダーの愛馬サイクロン号が一役買っているのだ。

まず、『シン・仮面ライダー』での本郷とルリ子の移動は、ほとんどサイクロン号によるタンデム(二人乗り)で行われる。
タンデムを経験したことのある諸兄ならお分かりかとは思うが、タンデムは乗せられる側の信頼がなければ成立しない。誰だって、危ない運転をする人の後ろに乗りたいとは思わないだろう。
しかし、ルリ子は迷わず本郷のバイクの後ろに乗る。最初はショッカーから逃れる為に仕方なく乗っていたのが、映画が進むにつれて「本郷を信頼しているから」乗るようになっていく。二人の信頼関係の変化を示すアイテムとして、バイクが印象的に使われているのだ。

また、筆者が特に「良いな」と感じたのは、怪人のアジトからサイクロン号で二人が撤退したあと、キャンプ道具を広げて簡単な食事を取るシーンだ。
このシーンでは本郷が「僕はいつも野宿だ」と語り、画面にはランタンのわずかな光に彩られたキャンプ用の小さい鍋とコンロが醸し出す浪漫が満ちる。
実際のバイク旅には不便がつきものだが、その不便を超えるだけの魅力があると思わせるような、バイクならではのロマンが詰まったシーンだった。

映画の終盤で主人公の本郷とヒロインのルリ子が紡いできた絆を象徴するシーンでも、やはりバイクと、バイクのもたらす楽しさ・喜びがキーワードになっている。ルリ子が最後に本郷にかけたような言葉を受け取れたなら、バイク乗りとして冥利に尽きると思えるのではないだろうか。(どのような言葉だったのかは、実際に映画を見て確かめてみてほしい)

 

『シン・仮面ライダー』はバイクのロマンが楽しめる良い映画。公開終了前に劇場に見に行こう。

仮面ライダーを構成する要素の一つとして、「バイク」を丁寧に扱ってくれた『シン・仮面ライダー』。バイク乗りのロマンがたっぷり詰まった、素敵な映画だった。
血飛沫が飛ぶようなシーンもあるので、グロテスクな要素が苦手な人にはオススメしないが、メカとして・旅の相棒として・仲間との絆を繫ぐものとして「バイクが好きだ!」と思う方には、是非一度見てもらいたい。

折角なので、見に行く際には映画館までバイクで行くのはいかがだろうか。帰るときには、あなたも昔憧れたヒーローの気分になれるはずだ。
上映中の映画館は、公式HPから確認できる。事前にバイク駐車場があるか、チェックしてから行くのがオススメだ。

また、近くにバイク駐車場がなくとも、時間貸し駐車場を借りるという手もある。
ニリーンの兄弟サイト「いつでもニリーン」では、時間貸しのバイク駐車場を掲載中。映画館にバイクで行く際に、是非ご活用を。