エンジンの回転数が上がらない、パワーが出ない……それ、「熱ダレ」かもしれません!

バイクオーナーにとって、愛車と過ごす時間はいつでも楽しいものです。暑い時期でも、それは変わりません!

ですが、暑い時期にしばらく乗っていると「エンジンの回転数が上がらない」「パワーが出ない」といった症状が出ることもありますよね。

実はそれ、エンジンの過熱によって起こる「熱ダレ」かもしれません。

そこで今回は、空冷エンジンのバイクで起きやすい「熱ダレ」の対策について解説します!

エンジンの熱ダレを防いで、愛車を長持ちさせましょう!

そもそも、バイクの熱ダレって何?どんな状態のこと?

夏はツーリングに最適なシーズンですが、エンジンにとっては過酷な状況にさらされる時期でもあります。

渋滞や街中をゆっくりと走行しているとエンジンを冷却することができません。

また、エンジンの回転数を高めで走行しているとエンジンに負荷がかかり、温度が上昇してパフォーマンスが落ちてしまいます。

「熱ダレ」とは?

熱ダレとは、エンジンが過酷な状態で使われることによって、エンジンのパワーが落ちてしまう現象です。

エンジンの中にはエンジンオイルが入っています。

このエンジンオイルには内部の潤滑や汚れの洗浄などの効果がありますが、冷却の働きも担っています。

しかし、気温が高くなる夏にだらだらとしたスピードで走る状況が多くなると、エンジンオイルが持つ冷却能力を超えてしまい、エンジンが熱ダレを起こしてしまいます。

熱ダレが起こると、エンジンのパワーが出なくなったりレスポンスが悪くなったりして走行しづらくなります。

最悪の場合、アイドリングが不安定になってエンジンがストップしてしまいます。

空冷エンジンは熱ダレになりやすい

熱ダレはエンジンのタイプによって起こりやすさが変わってきます。

最近のバイクは「水冷エンジン」といって、オイルの他にエンジンを冷やすための冷却水がエンジン内部を回っているものが多いです。

水冷エンジンはオイルと冷却水の2つでエンジンを冷やすことができるので、熱ダレが起こる確率は低いです。

それに対し空冷エンジンはオイルでのみ冷やすため、水冷エンジンのバイクに比べて熱ダレが起こりやすくなります。古めのバイクは空冷エンジンのものが多いです。

オイルのみの冷却では足りないため、走行風をエンジン本体に当てて、強制的に冷却します。

そのため、気温が高い時や渋滞、ストップ&ゴーが多いなどの状況下ではエンジンの温度が上がりすぎてしまい、熱ダレが起きやすくなります。

熱ダレが起きるとバイクの走行が難しくなってしまうので、以下のような対策が必要です。

対策①:エンジンオイルを粘度の高いものに交換する

1つ目の対策は、エンジンオイルを粘度の高いものに交換することです。

熱ダレを防ぐためには、エンジンオイルの温度が上がりすぎないようにし、冷却能力を損なわないようにしなければなりません。

エンジンの調子を崩さず、エンジン内部の保護をする為、まずはこの方法を試してみましょう。

エンジンオイルの粘度

エンジンオイルにはメーカーによる違いはあるものの、粘度の表示は統一されています。

エンジンオイルのパッケージを見ると10W-40というような表記が書いてあります。

「10W」の方はエンジンが冷えているときのオイルの粘度を表していて、バイクでは10W〜20W位までのものが多いです。

この数字は0Wから20Wまでありますが、この数字が大きくなるにつれてオイルの粘度が高くなって行きます。

「W」は「ウィンター」の略でエンジンオイルが冷えているときの粘度を示しています。

「40」の方は、エンジンが温まった時の粘度を表しており、30〜60位までのものが多いです。

「40」から数字が上がっていくにつれて、温度が上昇してもオイルの粘度を高く保つことができます。

一般的な空冷エンジンであれば10W-50、ハーレーや旧車などの空冷エンジンには20W-50の粘度が最適です。

時期によって粘度を変える

エンジンオイルは夏と冬で粘度を変えることが必要です。

夏は粘度が高めのエンジンオイルを使って、熱ダレの恐怖から解放されましょう。

しかし、夏に使っていた粘度が高めのオイルを冬も使っていると、冷えた状態からエンジンをかける時にエンジンオイルの粘度が邪魔をして抵抗になってしまいます。

そうなるとエンジンがかかりにくくなります。エンジンがかかりにくくなることがあります。

また、エンジンが適正温度になるまでにも時間がかかるので、エンジンの内部の隙間が熱で膨張しにくくなります。

そうなると熱ダレでなく、冷えすぎてエンジンが損傷してしまうので注意が必要です。

そうならないよう、冬はメーカー指定の粘度のオイルに交換しておくのがいいですよ。

対策②:渋滞を避ける(走行風で冷やせない状況を作らない)

2つ目の対策は、渋滞を避けるなどして、走行風で冷やせないという状況を作らないことです。

エンジン自体の対策も必要ですが、ツーリングのルートや時間も考えなければなりません。

特に空冷エンジンのバイクは渋滞に巻き込まれてしまうと、エンジンがダメージを追う可能性があるかもしれないので注意しましょう。

空冷エンジンのバイクは特に渋滞に注意

バイクは車よりも冷却能力が足りない時があります。渋滞で困るバイクは水冷エンジンよりも空冷エンジンの方が圧倒的に多いです。

空冷エンジンは渋滞でスピードが出ないと走行風で冷却できなくなるので、油温がどんどん上がっていきます。

こうなってしまうと渋滞中に冷却不足になって熱ダレを引き起こします。

また、外車のバイクは国産のバイクよりも日本の気候に弱いです。

BMWやドゥカティなど外車のタンクには「長時間のアイドリングは避けること」という注意書きのデカールが貼られています。

空冷と水冷のどちらでも、渋滞に巻き込まれてしまうとエンジンから音がしたり、パフォーマンスが落ちてしまいます。

国産の場合は空冷、外車の場合は水冷・空冷のどちらでも渋滞に注意しましょう。

渋滞をさけて走行風が当たるようにする

渋滞が予想されるタイミングをずらしてバイクに乗ることをオススメします。

日中ではなく早朝、車が多い土日ではなく平日、交通量が少ない道をあらかじめリサーチしておいてからツーリングに出かけましょう。

そうすることでバイクのスピードがある程度出せるので、走行風をエンジンに当てて冷却しながら走行できますよ。

対策③:油温計をつけ、適度に休憩を入れる

エンジン内部のオイルの温度を把握しておくことで事前にトラブルの発生を避けて走行することが可能ですよ。

油温計の取り付け

バイクにはエンジンオイルの温度を把握できるものは最初からついていませんので、油温計の取り付けをオススメします。

エンジンには温度計を取り付ける為のサービスホールが付いています。

油温計には、温度のピークを記憶してくれるもの、温度が異常の時には画面に警告が表示されるものなど、様々なものがあります。

エンジンオイルの把握以外にどのような機能が欲しいかによって選びましょう。

油温計を取り付ける際、エンジン本体に温度センサーを取り付ける関係上エンジンオイルが抜けてしまいます。

そのため、オイル交換の時に油温計を取り付けることで手間が少なくて済みますよ。

また、水冷エンジンのバイクは水温の把握も可能です。2つの温度を計ることができる油温計もあります。

どちらのバイクも、エンジンの温度を把握しておくことでトラブルを事前に予防しましょう。

温度を見ながら休憩を入れる

温度計を付けていると走行中もエンジンオイルの温度を観察しながら走行できます。

渋滞に巻き込まれなくても、信号が多い街中や真夏の気温ではどうしてもエンジンオイルの温度は上がってしまいます。

エンジンオイルの最適温度は85℃くらいだといわれていますが、一般的には85〜100℃くらいまで上昇します。

空冷エンジンのバイクは夏場に低速で走行していると100℃を超えることが多くあります。

100℃以上になるとエンジンにはよくない影響が出ます。油温計を見て、温度が上がってきたときは交通の状況をみて休憩しましょう。

休憩をする時は日が当たる所にバイクを停めるのではなく、出来るだけ木陰や屋根の下などに停めてエンジンを少しずつ冷やしていきましょう。

エンジンを冷やしたいからといってエンジンに水を直接かけたりはしないでください。

エンジンが急激に冷やされてしまうと、エンジンが割れて壊れてしまうので絶対に止めましょう。

また、バイクの温度が100℃近くになっているということは周辺のフレームは足がやけどするくらい熱くなっています。

熱が自分にも伝わってきて、ヘルメットの中も汗だくになってきたりしますので、ライダー自身の冷却もかねて休憩しましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は夏ツーリングにむけてのエンジンの熱ダレ対策について紹介しました。

バイクのエンジンは温度の上昇が激しいです。エンジンの熱ダレはパワーがなくなったり、回転がばらついて調子が悪くなってしまう原因となります。

熱ダレを防ぐには、なるべく止まらずにとにかくスムーズに走行することです。

スムーズな走行をするためは、ツーリングの日程やルートを選び、エンジンを酷使しないようにしましょう。

また、油温計を取り付けて自分のバイクの油温を知っておき、適度に休憩しながらツーリングをすることでトラブルを回避しましょう。

未だに多い空冷エンジンのバイクには入念な熱ダレ対策をして、真夏の暑い時期でも気軽に楽しくバイクに乗りましょう。

 

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