高速道路やバイパスでの長距離ツーリングで、多くのライダーが感じるのが右手のつらさです。

一定速度で走っているだけなのに、スロットルを握り続けることで前腕や手首が疲れてきます。

後半になるほど集中力が落ちて、休憩のたびに手を振って血を通わせるような経験、ありませんか?

その悩みを大きく軽減してくれる装備が、バイクのクルーズコントロール(クルコン)です。

近年は四輪だけでなくバイクにも本格的に普及し始め、長距離ツーリングの快適性を大きく支える存在になっています。

今回は、バイクのクルーズコントロールの仕組みや搭載車、効果的な使い方まで紹介します。

バイクのクルーズコントロールとは?仕組みとメリットを解説

クルコンの仕組み

バイクのクルーズコントロールとは、設定した速度をバイク側が自動で維持してくれる機能です。

スイッチ操作で作動させると、スロットルを握り続けなくても一定速度で走行できるため、右手の負担を大幅に減らすことができます。

特に、高速道路や流れの安定した幹線道路では、その効果を強く実感できるでしょう。

クルコンの種類

クルーズコントロールには、大きく分けて2つのタイプがあります。

ひとつはCC(クルーズコントロール)で、設定した速度を一定に保つシンプルな仕組みのものです。

もうひとつはACC(アダプティブ・クルーズコントロール)で、前を走る車との距離をセンサーで検知し、自動的に加減速を行います。

ACCは四輪では一般的になってきていますが、バイクではまだ搭載車が限られています。

主に大型ツアラーやフラッグシップモデルに採用されている段階です。

クルコンのメリット

クルーズコントロール最大のメリットは、疲労を軽減できることです。

スロットルをひねる右手だけでなく、肩や首の力みも減って、走行中に余裕が生まれます。

長距離を走った後でも体力を残しやすく、ツーリング全体の満足度を高めてくれる装備です。

【排気量・カテゴリー別】クルーズコントロール搭載車おすすめ一覧

ヤマハ MT09、トレーサー9GT

MT-09 SPは、年式によってクルーズコントロールを装備するモデルがあり、スポーティな走りとツーリング時の快適性を両立した一台です。

タイヤやサスペンションなど走りの性能が高く、軽快な操作感を残しながらも長距離の疲労軽減にも対応します。

高速巡航での安定感があり、ライディングポジションも無理がないので、街乗りからツーリングまで幅広く使えます。

トレーサー9GTは、ヤマハのスポーツツーリングモデルです。

走行性能、快適性、装備のバランスが取れているのが魅力で、トレーサー900シリーズでは年式やグレードによってクルーズコントロールを標準装備しています。

高速道路での長距離走行でも、右手の疲労を大きく軽減できます。

上位のGTモデルなら、大型ケースや加熱グリップ、TFTメーターといったツーリング装備も充実しています。

トライアンフ タイガー900GT

イギリスのトライアンフが作るミドルクラスアドベンチャーモデルです。

GT系(特にTiger 900 GT/GT Pro)はロードツーリング向けの装備が充実していて、クルーズコントロールを標準で搭載するモデルがあります。

走破性、快適性、電子制御装備がバランスよく備わっていて、舗装路と未舗装路の両方のツーリングに強い一台です。

400ccクラスの現状と今後の期待

現状

400ccクラスでは、現時点でメーカー純正のクルーズコントロールを搭載したモデルはほとんど存在しないのが実情です。

最大の理由は、価格とのバランスです。

クルーズコントロールは電子制御スロットルやセンサー類と密接に関わる装備なので、車両価格を抑えたい400ccクラスではコスト増につながりやすく、採用が見送られてきました。

また、400ccクラスは街乗りや通勤、近距離ツーリングを中心とした入門から中級者向けという位置づけのモデルが多く、長時間の高速巡航を前提としない設計思想も影響しています。

そのため、右手の負担軽減よりも車体の軽さや扱いやすさ、価格の手頃さが優先される傾向があります。

今後に期待できること

近年は電子制御技術の進化とコストダウンが進み、トラクションコントロールやライディングモードといった装備がミドルクラスにも広く普及してきました。

この流れを考えると、将来的には400〜600ccクラスでもクルーズコントロール搭載モデルが登場する可能性は十分にあります。

特に高速道路を使ったツーリング需要が高いアドベンチャー系やスポーツツアラー系のモデルでは、快適性を高める装備として注目されています。

今後のモデルチェンジに期待が高まっているところです。

クルコン未搭載車でも快適なライドがしたい!「後付け」と「スロットルアシスト」

クルーズコントロールが搭載されていないバイクに乗っている場合でも、長距離ツーリング時の右手の疲労を軽減する方法はあります。

代表的なのが「後付けクルーズコントロール」と「スロットルアシスト」です。

後付けクルーズコントロール

後付けクルーズコントロールは、スロットルの開度を機械的または電子的に保持して、速度を安定させやすくする装備です。

純正クルコンのように自動で速度調整するものではありませんが、高速道路など一定ペースで走る場面では右手を休ませる効果が期待できます。

価格はやや高めで、車種によっては取り付けに制限がある点には注意が必要ですが、長距離ツーリングを頻繁にする人にとっては有力な選択肢です。

スロットルアシスト

スロットルアシストは、スロットルグリップに装着して手のひらで回転を支えるシンプルなアイテムです。

握力を使わずにアクセルを維持しやすくなるため、手首や前腕の負担を軽減できます。

価格が手頃で取り付けも簡単なので、初めての疲労対策として導入しやすいのが大きな魅力です。

クルコン未搭載車でも、自分の走り方や予算に合った装備を選べば、快適性は大きく向上します。

長く走るほど、その差を実感できるはずです。

失敗しない「旅バイク」の選び方|クルコン以外の重要スペック

長距離ツーリングの快適性は、クルーズコントロールの有無だけで決まるものではありません。

実際には、複数の要素が組み合わさって「疲れにくさ」が大きく変わってきます。

特に重要なのが、ウィンドプロテクション、ライディングポジション、シートの3つです。

スクリーン

風防性能の高いスクリーンが装備されていれば、走行中に体へ直接当たる風圧を抑えられ、肩や腕への負担を軽減できます。

これにより、高速道路での疲労感は大きく変わってきます。

無理のないポジション

無理のないライディングポジションは、長時間の走行時の集中力を保つうえでも重要です。

ハンドル位置やステップ位置が自然な姿勢を作ってくれるバイクは、肩こりや腰痛が起こりにくく、安全運転にもつながります。

シート

体圧を分散するシートは、お尻や太ももの痛みを防ぎます。

距離が伸びるほど、快適性の差として実感しやすいポイントです。

クルーズコントロールは、こうした装備と組み合わさって真価を発揮します。

バイク選びでは、電子制御だけでなく疲れにくい構造かどうかを総合的に見ていくことが大切です。

クルーズコントロールは万能ではない?使用時の注意点とコツ

クルーズコントロールは、長距離ツーリング時の右手の負担を大きく軽減してくれる便利な機能ですが、どんな場面でも使えばよい万能装備というわけではありません。

安全に活用するためには、使用するシーンを正しく見極めることが重要です。

注意点①:使う場面によっては向き不向きがある

クルーズコントロールが最も効果を発揮するのは、高速道路や交通量の少ないバイパスなど、一定速度で安定して走行できる状況です。

このような場面ではアクセル操作から解放され、肩や腕の疲労を抑えながら走行できます。

結果として、余裕を持ったライディングにつながります。

一方で、市街地や信号の多い道路、車の出入りが激しい場所では、頻繁な加減速が必要になるため、クルーズコントロールは向いていません。

注意点②:雨天や路面が不安定な場所

雨天時や路面状況が不安定な場面でも注意が必要です。

濡れた路面や砂利、落ち葉がある状況では、思わぬスリップにつながる可能性があります。

こうした場合は、自分で細かくアクセル操作できる状態を保って運転する方が安全です。

クルコン使用時のコツ

使用時のコツは、いつでも解除できる意識を持つことです。

多くのバイクではブレーキ操作やクラッチ操作でクルーズコントロールが解除されますが、その動作を事前に把握して、無意識に反応できるようにしておくことが重要です。

完全に操作を任せきりにせず、周囲の状況を常に確認する姿勢が安全につながります。

クルーズコントロールは、適切な場面で正しく使って初めて効果を発揮する装備です。

上手に付き合えば、疲労を抑えつつ余裕のある快適なツーリングを支えてくれる心強い味方になります。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回はクルーズコントロールの仕組みや使い方などを紹介しました。

長距離ツーリングで右手がつらくなる悩みは、多くのライダーに共通しています。

クルーズコントロールは、その負担を大きく軽減し、走ることをより快適で楽しいものに変えてくれる魅力的な装備です。

搭載車を選ぶのもひとつの方法ですし、後付けクルコンやスロットルアシストといった補助アイテムを使えば、今の愛車を快適にすることもできます。

今回の記事を参考に、自分の走り方やツーリングスタイルに合った選択をして、余裕のあるバイクツーリングを楽しみましょう。