バイクには数多くのパーツがあり、「フロントフォーク」「スイングアーム」「キャリパー」など、名前だけでは何を指すのかわかりにくい部品も少なくありません。

今回は、バイクのパーツ名称を5つの部位に分けて解説します。

また、整備やカスタムで役立つ正式名称に加え、取り外すと違反になるおそれがある保安部品についても紹介します。

【図解】バイクのパーツ名称一覧|まずは「5つのブロック」で覚える

バイクを構成する部品のおおよその数は、数千点にも及びます。

当然ながら初心者がすべての名称を覚える必要はありません。

まずは、「車体・外装」「操作系」「エンジン・駆動系」「足回り」「電装・保安部品」の5つに分けて考えるだけで、バイクショップや整備の会話は驚くほど理解しやすくなります。

バイクのパーツは「5つのブロック」で覚えると迷わない

バイクの部品を、グループ分けした形で見てみましょう。

ブロック 主なパーツ 主な役割
車体・外装 フレーム・タンク・シート・カウル 車体を支え、ライダーを支える役割を担う
操作系 ハンドル・レバー・ペダル・スイッチ 加速・減速・方向転換を操作する
エンジン・駆動系 エンジン・クラッチ・チェーン・スプロケット バイクを走らせる動力を生み出す
足回り フロントフォーク・サスペンション・ホイール・ブレーキ 曲がる・止まる・衝撃を吸収する
電装・保安部品 バッテリー・ライト・ウインカー・ホーン 電気を供給し、安全に走行する

【一覧表】バイクパーツ名称 早見表

よく呼ばれる名前 正式名称・表記 英語名
マフラー サイレンサー(消音器) Muffler / Silencer
フォーク フロントフォーク Front Fork
ブレーキローター ブレーキディスク Brake Disc
リアサス リアサスペンション Rear Suspension
アクセル スロットル Throttle
ギアペダル シフトペダル Shift Pedal
ブレーキキャリパー ブレーキキャリパー Brake Caliper
スイングアーム リヤアーム(メーカー表記の場合あり) Swingarm
スプロケ スプロケット Sprocket
FI フューエルインジェクション Fuel Injection (FI)

初心者はどこから覚える? 優先度の高いパーツ10選

最初からすべてを覚える必要はありません。

まずは、普段よく目にしたり操作したりする次の10個を覚えるだけでも十分です。

①ハンドル
②ミラー
③燃料タンク
④シート
⑤フロントフォーク
⑥ブレーキレバー
⑦クラッチレバー
⑧シフトペダル
⑨ブレーキペダル
⑩チェーン

車体・外装と操作系のパーツ名称と役割

バイクのパーツの中でも車体・外装や操作系は、頻繁に見ることが多い部分です。

ツーリングや日常点検、洗車でもよく目にするパーツのため、初心者が最初に覚えておきたいパーツでもあります。

車体・外装まわりの名称

パーツ名 主な役割
フレーム バイク全体を支える骨組み
燃料タンク ガソリンを入れるタンク。ニーグリップにも使う
シート ライダーや同乗者が座る部分
カウル 走行風や飛び石から車体を保護する外装
フロントフェンダー 前輪の泥や水はねを防ぐ
リアフェンダー 後輪の泥や水はねを防ぐ
サイドカバー 車体側面を覆い、内部を保護する
テールカウル シート後方の外装部分
グラブバー(タンデムバー) 車体の取り回しや同乗者がつかまるためのバー

「フレーム」「カウル」「フェンダー」、この3つの違いに戸惑う初心者は少なくありません。

そんなときは「骨組み・外装・泥よけ」と役割で覚えてしまうと、整理できるでしょう。

操作系の名称

操作系は、走る・曲がる・止まる際にライダーが直接操作するパーツです。

教習所で毎回触れる部分でもあるため、優先して覚えておきましょう。

パーツ名 主な役割
ハンドル 進行方向を操作する
グリップ ハンドルを握る部分
スロットル(アクセル) エンジン回転数を調整する
クラッチレバー ギアチェンジ時にクラッチを切る(MT車)
ブレーキレバー 前輪ブレーキを操作する
マスターシリンダー ブレーキの油圧を発生させる
スイッチボックス ウインカー・ホーン・ライト・セルなどを操作する
メーター 速度や回転数、燃料残量などを表示する
ミラー 後方を確認する
ステップ 足を乗せる部分
タンデムステップ 同乗者が足を乗せる部分
シフトペダル ギアを切り替える(MT車)
ブレーキペダル 後輪ブレーキを操作する
サイドスタンド バイクを駐車するときに立てる
センタースタンド 車体を安定して立てる(一部車種のみ)
キーシリンダー エンジンの始動・ハンドルロックを行う

教習所を卒業したばかりの人が意外と戸惑うのが、キルスイッチです。

キルスイッチがオフになっていると、エンジンが始動できず「故障した」と勘違いしかねません。

エンジンがかからないときは、まずキルスイッチがオンになっているか確認してみましょう。

メーターまわりの名称と警告灯の見方

メーターには速度だけでなく、燃料残量や走行距離、エンジンの状態など、さまざまな情報が表示されます。

ウインカー表示灯やハイビーム表示灯、エンジン警告灯、ABS警告灯などの意味を知っておくと異常にも気付きやすくなります。

車種タイプで違う名称・付いていない部品

バイクは車種によって装備が異なります。

例えば、スクーターにはクラッチレバーやシフトペダルがなく、アメリカンはフォワードコントロールオフロード車には高い位置にフロントフェンダーを装着した車種があります。

自分のバイクに付いていないパーツがあっても珍しいことではありません。

まずは、自分の車種にあるパーツから覚えていきましょう。

エンジン・駆動系・足回りのパーツ名称と役割

「走る・曲がる・止まる」というバイクの基本動作を支えているのが、エンジン、駆動系、足回りです。

ふだんは目に入りにくい場所にありますが、メンテナンスやカスタムの話になるとよく出てくるパーツなので、基本の名称だけでも押さえておくと役立つでしょう。

エンジンまわりの名称

パーツ名 主な役割
シリンダー ピストンが動く筒状の部品
ピストン 燃焼の力を受けて上下に往復運動する
シリンダーヘッド 燃焼室やバルブを収める
クランクシャフト ピストンの動きを回転運動へ変える
カムシャフト 吸排気バルブを開閉する
スパークプラグ 混合気に火花を飛ばして点火する
エアクリーナー 吸入する空気中のほこりやゴミを取り除く
FI(フューエルインジェクション) 燃料を電子制御で噴射する
キャブレター 燃料と空気を混ぜる(旧車など)
ラジエーター 水冷エンジンを冷却する
オイルフィルター エンジンオイルの汚れを取り除く

駆動系・排気系の名称

エンジンの力を後輪へ届けるのが駆動系、燃焼を終えたガスを安全に排出するのが排気系です。

チェーンやスプロケット、マフラーは、カスタムでも特に人気の高いパーツといえます。

パーツ名 主な役割
クラッチ エンジンの動力をつないだり切ったりする
ミッション(トランスミッション) ギア比を切り替える
ドライブチェーン エンジンの力を後輪へ伝える
フロントスプロケット 前側の歯車。チェーンへ動力を伝える
リアスプロケット 後輪側の歯車
スイングアーム 後輪とサスペンションを支える
エキゾーストパイプ(エキパイ) 排気ガスをサイレンサーへ送る
サイレンサー(マフラー) 排気音を抑え、排気を整える

足回りの名称

足回りは、走行中の安定性やブレーキ性能、乗り心地を左右する重要な部分です。

安全性に直結する部分だからこそ、名称に加えて役割まで理解しておくと安心感にもつながるでしょう。

パーツ名 主な役割
フロントフォーク 前輪を支え、衝撃を吸収する
リアサスペンション(リアサス) 後輪の衝撃を吸収する
ホイール タイヤを取り付ける車輪
タイヤ 路面と接し、走行・制動・旋回を支える
ブレーキディスク(ローター) ブレーキパッドで挟み減速する
ブレーキキャリパー ブレーキパッドを押し付ける
ブレーキパッド ディスクを挟みブレーキをかける
ドラムブレーキ ドラム内部で制動するブレーキ方式
ブレーキシュー ドラムブレーキ内部で制動する部品

呼び方が2つ以上ある場合

「サイレンサー=マフラー」「ブレーキディスク=ローター」「リアサスペンション=リアサス」というように、同じ部品なのに正式名称と通称の両方で呼ばれるケースは少なくありません。

呼び方の違いを知っておくと、バイクショップでの相談やネットで部品を探す際にも戸惑うことはなくなるでしょう。

電装・電子制御と「保安部品」|外すと違反になるパーツはどれか

電装系は、エンジンの始動やライトの点灯など、バイクを安全に走らせるために欠かせないパーツです。

また、公道を走るために義務づけられている「保安部品」の多くも、この電装系の中に含まれています。

電装系パーツの名称と役割

電装系は、発電した電気を蓄え、必要なパーツへ供給・制御する役割があります。

バッテリーやライト類など、日常点検でもよく目にする部品が中心です。

パーツ名 主な役割
バッテリー 電気を蓄え、エンジン始動や電装品へ電力を供給する
ヒューズ 電気回路を過電流から守る
レギュレーター・レクチファイア 発電した電気を安定させる
ジェネレーター(発電機) エンジンの回転で発電する
イグニッションコイル スパークプラグへ高電圧を送る
CDI・ECU 点火や燃料噴射を制御する
セルモーター エンジンを始動する
ヘッドライト 前方を照らす
テールランプ 後方へ車両の存在を知らせる
ブレーキランプ ブレーキ操作を後続車へ知らせる
ウインカー 進行方向を知らせる
ナンバー灯 ナンバープレートを照らす
ホーン 周囲へ警音を発する
リフレクター(反射器) 夜間に後方からの光を反射する

最近のバイクで増えた電子制御

近年のバイクには、ABSやトラクションコントロール、クイックシフター、TFT液晶メーターなど、安全性や快適性を高める電子制御が数多く採用されています。

名称 主な役割
FI(フューエルインジェクション) 燃料を電子制御で噴射する
ABS 急ブレーキ時のタイヤロックを防ぐ
CBS(コンビブレーキ) 前後ブレーキを連動させる
トラクションコントロール タイヤの空転を抑える
クイックシフター クラッチ操作なしでシフトチェンジできる
ライディングモード 走行特性を切り替える
TFT液晶メーター 多くの情報を表示するカラー液晶メーター
ETC車載器 高速道路料金を自動で支払う
USB電源 スマートフォンなどを充電できる
グリップヒーター グリップを温めて冬場の快適性を高める

保安部品とは?公道走行に必要なパーツ

ヘッドライトやウインカー、ミラー、ホーンなどは、公道を走行するために欠かせない保安部品です。

カスタムする場合も、保安基準に適合した製品を選ぶ必要があります。

パーツ名 役割
ヘッドライト 前方を照らす
テールランプ 後方へ車両の存在を知らせる
ブレーキランプ ブレーキ操作を知らせる
ウインカー 進行方向を知らせる
ミラー 後方確認を行う
ホーン 危険を知らせる
ナンバープレート 車両を識別する
ナンバー灯 ナンバープレートを照らす
リフレクター 夜間の被視認性を高める
スピードメーター 速度を表示する
マフラー(消音器) 排気音を基準内に抑える

250cc以下でも保安基準は適用される

250cc以下や原付は車検がありませんが、公道を走る以上、保安基準は排気量にかかわらず、公道を走るすべての車両に適用されるルールです。

灯火類やマフラーを交換する際は、適合品かどうかを必ず確認してください。

パーツ名称を「使える」ようにする|購入・整備依頼・カスタムの場面別ガイド

パーツ名称は、覚えること自体が目的ではありません。

部品を注文する、バイクショップに不調を伝えるといった実際の場面で使いこなせて、はじめて役立ちます。

純正パーツを注文するときの調べ方

純正部品は、メーカーのパーツカタログで車種・年式・車台番号をもとに検索するのが基本です。

普段の呼び方と正式名称が異なるパーツもあるため、品番も合わせて確認しておくと、注文の際に戸惑わずに済みます。

社外品や海外通販では英語名も役立つ

海外製パーツや海外通販サイトでは、英語表記が一般的です。

フロントフォークなら「Front Fork」、ブレーキキャリパーなら「Brake Caliper」、スイングアームなら「Swingarm」というように表記されます。

英語名を知っておくだけで、探せるパーツの幅は大きく広がるでしょう。

バイクショップへ症状を伝えるコツ

「部品の名前が分からない」からといって、無理に正式名称を使う必要はありません。

「前輪の近くから音がする」「チェーン付近で異音がする」というように、場所と症状を具体的に伝えるだけでも、原因を特定する手がかりになります。

間違えやすいパーツを覚えておこう

初心者が混同しやすいのが、「エキパイとサイレンサー」「ブレーキディスクとキャリパー」「スプロケットとチェーン」です。

似たような場面で登場するパーツですが、担っている役割はそれぞれ異なります。

違いを理解しておくと、整備やカスタムの情報も読み解きやすくなります。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、バイクパーツの名称や保安部品について紹介しました。

バイクには数多くのパーツがありますが、初心者が最初から全ての名称を覚える必要はありません。

まずは「車体・外装」「操作系」「エンジン・駆動系」「足回り」「電装・保安部品」の5つのブロックを意識するだけでも、バイクの構造はかなり理解しやすくなります。

ヘッドライトやウインカー、ミラーなどの保安部品は、安全に公道を走るために欠かせない重要なパーツです。カスタムや部品交換をするときも、保安基準に適合しているか確認しましょう。

今回の記事を参考に、バイクの部品名称を覚えて愛車への理解をより深めてください。