フロントにタイヤが2本ついた個性的なバイクに目を奪われてしまった人もいるはずです。「トリシティ300」は、ヤマハが提案する新型の三輪モデルでシティーモデルとして注目されているオートバイです。今回は個性あふれる、トリシティシリーズから「トリシティ300」をピックアップして試乗レポートをお届けします。基本操作から、試乗してわかったこと感じたことをお伝えします。

トリシティ300のプロフィール・必要な免許

日本国内ではあまり見かけない300ccバイクですが、世界の小型排気量では比較的メジャーで人気があります。 300㏄以上は車検があるので、維持費を考えると「車かバイク」で悩みどころではありますがパワーやトルクを考えると余裕を持って走行できる楽しみがあります。

フロント2輪のトリシティの秘密は独自機構のLMW(リーニング・マルチ・ホイール)にあります。前輪を2本にしたことで、抜群の安定感とパワーの両立だけでなく、個性的なデザインがバイカー達のハートを鷲づかみしました。

三輪の魅力であり安定感は雨の日の接地感の高さからもうかがえます。雨に濡れたマンホールは、バイクがもっとも注意しなければならない障害物。ですが三輪のトリシティ300なら、難なくクリアできます。250㏄よりも馬力があり、街乗りのバイクとして非常に優れています。

生年月日(販売年):2020年9月30日
車両タイプ:中型
サイズ( 全長、全幅、重量、シート高) :2,250mm/815mm/1,470mm/795㎜
燃料消費率:38.4km/L(60km/h) 2名乗車時、31.5km/L(クラス2, サブクラス2-2) 1名乗車時
燃料タンク容量:13L(無鉛レギュラーガソリン指定)原動機種類、気筒数
冷却方式:水冷・4ストローク・SOHC・4バルブ
排気量:292cm3
変速機形式:Vベルト式無段変速/オートマチック
変速機・操作方式など:セルフ式

トリシティ300に乗るのに必要な免許は、以下の2つのどちらかです。

  • 普通二輪免許(AT含む)
  • 大型二輪免許(AT含む)

普通二輪免許(AT含む)は16歳以上から、大型二輪免許(AT含む)は18歳から免許が取得できます。大型二輪免許を取得すれば、すべてのバイクを運転することができます。将来的に大型二輪にも乗りたいのであれば、普通二輪免許(AT含む)を取得してから大型二輪免許(AT含む)を取得しましょう。251㏄以上のバイクに乗る場合には、車検が必要となりますので覚えておいてください。
車検

【車両】重量感があるフォルムのトリシティ300

トリシティ300

トリシティシリーズは、2014年発売の「トリシティ125」以来、ヤマハがもっとも力を入れている「LMWモデル」です。その中でも、今回紹介するトリシティ300は3輪であることが大きな特徴です。キャノピータイプと呼ばれる後輪が2つのバイクは、スクーター感覚で高齢者の足になったり、ピザの配達車でも見かけることが多いと思います。

LMWモデルというのは、複数のホイールを傾斜させて曲がるバイクという意味でもあり、見た目には三輪車なのですが、走るとパワーのあるオートバイとしての機能を備えているという意味がこめられています。前輪が2本で後輪が1本になっているので、ハンドルは大きく切らなくても曲がれるなどのメリットも多いです。また、タイヤはリジットでトレッド幅が広いので車体の安定感が違います。それだけでなく、車体が左右に傾かないように固定することができるので、両足が離れても車体が倒れたりせずに止まれます。

メリット(安定性抜群)

  • 3輪のため安定性があって、立ちごけの心配なく乗れる。
  • 今回はタンデムで走行しましたが、乗り降りしやすかった。
  • シート下にはヘルメットが2つ入る程の収納スペースがある。

身長の低い人は、油断するとバイクが変に傾いてしまい立ちごけしてしまいことがあります。ところが、三輪の安定感は想像以上なもので不安がまったくありません。タンデムしてもバランスが取りやすく、乗り降りに不便を感じませんでした。シートはかなりゆったりしたスペースがあり、フルフェイス2つが楽々収納できます。お土産などを購入して帰る時も、これだけスペースがあれば余裕です。

デメリット

  • スマホホルダーの取り付け場所がない
  • 取り回しがキツイ
  • 足つきがよくない

走行中にスマホを見ることはないにしても、ナビを使うためにスマホホルダーは欲しかったです。どうしてもポケットに入っていると、音声が聞き取りにくいですし使いにくいですよね。道の駅に停止しては、現在地をチェックしたりはしましたが、ないのは辛い。ツーリングというより、街走りをメインにした車種なんでしょうか?

トリシティ300は問題なく走行はできるものの、前輪が前に2本あるので取り回しがきつく感じました。どうしても前に負荷がかかるので、力が入ってしまうんですね。コツを掴むと簡単なんでしょうが、最初はびくりともしなかったので本当に困りました。足つきは身長にもよるとは思いますが、すごくいいとはいえません。女性がトリシティ300に乗りたいと思うかはわかりませんが、女性や小柄なかたは足つきに苦労しそうです。
バイク

【試乗レポート】転ばないけど、取り回しがキツイ⁈

バイクの免許を取得したら1度はやりたいのがタンデムツーリングです。小排気量では、エンジン音が気になりますし振動が大きいのも疲れてしまう。大排気量大トルクで余裕のある性能が良いのでしょうが、初めてタンデムシートに乗る人に不安を抱かせてしまうのも困りますよね。そこで、「面白いバイクでツーリングしょう」という名目で、山梨にタンデムツーリングをした時に借りました。見た目は「変わってるな」というのが第一印象です。大きさも丁度いいですし、乗りやすいと評判だったのでレンタルを決めました。
バイクレンタル
安定感があり転ばないはずのトリシティ300ですが車体に傷跡が残っていたので、普段二輪に乗り慣れたかたほど扱いにくいのかな?と少し不安に思ってしまいました。ツーリング前に試乗して、安定感がどの程度なのかを確認することにしました。まず、メーターは白黒の液晶タイプで視認性に優れたデザイン、不安はありません。ただし、本体はかなり重く取り回しが良いとはいえません。車体は237kgで、ホンダCB750が250㎏なことを考えると大排気量モデルと同等なことがわかります。乗った感じはツアラーの雰囲気、シート下にはフルフェイスヘルメットが2個収納できる広さです。

驚いたのは、信号などでの停止待ちにハンドル左側のスイッチを押すとフロントのリンクがロックされ自立することです。スイッチの2度押しか、スロットルを開ければロックが解除されるようになっています。ただし、条件があって「車速は10km/h以下」「スロットル全閉時」「エンジン回転は2000rpm以下」でなければ使えません。赤信号で停車する寸前にスイッチを押して止まれるのは便利ですし、青信号になればスロットル全開で走りだせます。ただ、個人的には、この機能はなくても問題はなかったように思います。
考える
公式サイトでは、このロック機能はあくまでも補助的なもので乱用するためではないとありました。確かに使いかたを間違えてしまうと、車速が10km/h以下であれば車体が傾いていてもロックがかかってしまうことになるので倒れやすくなります。もしかしたら、車体の傷はそれでついたのかもしれません。減速した状態で車体が傾いてしまうと、足つきが悪いトリシティ300を支えるのは大変なのかもしれません。

ただし、押し引きの際に使えば、重い車体を楽に移動させるし倒してしまうこともなくなりそうです。今まで二輪を乗り回していたのなら、慣れるまで時間がかかるのは仕方がないですね。ツーリングで安心して走るために、慣らしで走ったことで扱いにもなれました。初めて乗るのなら、試乗は必ずやったほうがいいです。特にタンデムは、いつもの二輪とは勝手が違うので慣らし試乗をおすすめします。
おすすめ
試乗で慣らしたこともあり、ライディングポジションさえ掴んでしまえば操作も非常に楽でした。タンデムのほうが安定感があるんじゃないかと錯覚するくらいに楽ちんです。防風効果は高く、高速道路走行でも横風にびくともしないのは驚きです。安定感抜群で走りやすかったし、気持ち的にもゆとりのある走りができました。街中の街道は少々渋滞していましたが、山中に入れば快調に進んでいきます。時折、すれ違うライダー達も気持ちよさそうで、気さくにピースサインを交わしながら、どんどん進んでいきます。スピードが乗っている時は快調ですが、カーブが多くなるとスピードがどうしても落ちるのでトリシティ300だと、大回りになりがちでキツかったです。当日は天気も良くて、タンデムしている相手は「気持ちよくて寝そうになった」といってました。振動も感じないようですし、絶景を楽しめたことで最高の1日になりました。

まとめ

トリシティ300はATバイクなので、ギア操作がなく比較的気軽に乗れる感じでした。安定性は抜群ですが、運転は単調になりがちです。これは、本当に好みでしかないので何ともいえませんが「バイクはギアチェンジが楽しい」と思う人にはつまらないかも。運転手より、タンデムシートに乗る人が快適に感じるバイクなんじゃないでしょうか。

試乗した感想としては、ツーリングなどの長距離よりも移動に使ったり、ちょっとした街乗りに適しているバイクだと思いました。トリシティシリーズは人気もありますし、トリシティ300を取り扱うレンタル店も多いので、購入を検討されているかたは1度試乗してみてもいいかもしれないですね。見た目と試乗した感じは違う印象を受けたので、購入前のチェックにぜひレンタルで試乗してみてください。

ニリーンでは、トリシティ300の他にも試乗レポートを行っています!こちらもぜひ読んでみてくださいね。
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